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起業のすゝめ 12 中小企業は上場を目指せ!?

では、最後、3つ目の仕組みです。

 

会社内部の仕組みを整え、対外的な仕組みを整えることによって、会社としての体制が整うことになります。

 

しかし、実はこれだけでは、将来的に事業を安定的に伸ばしていくための事業を支える仕組みとしては不十分なのです。

 

では、会社内部の仕組み、対外的な仕組みのほかにどのような仕組みが必要なのでしょうか?

 

前回、前々回と話をしてきた会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みは、いずれもハード面の話です。

要するに、後々トラブルとなった際に、解決の指針になるものです。

 

しかし、いかに立派なハード面の仕組みを整えたとしても、そこに入るソフト面の仕組みを整えなければ、ただの飾りにすぎません。

会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みをきちんと活用するため、役員・従業員を教育するための仕組み、すなわち、役員・従業員に、自分の行っている行為が不正なものなのかどうかを理解させる機会を設けるようにしてください。

 

多くの経営者は、会社内外の仕組みを作ることで満足してしまい、その仕組みを適正に運用するというところまで考えていません。

 

ぜひみなさんは、会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みを活用するため、役員・従業員を教育するための仕組みを整えていただければと思います。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 11 中小企業は上場を目指せ!?

2つ目の仕組みは、対外的な仕組みです。

 

対外的な仕組みは、契約書・約款・利用規約等対外的な契約にかかわる文書を整備することです。

契約は、契約書という書面を交わさなくても、口頭でも成立します。

 

しかし、口頭では、後々、どのような約束があったのか分からなくなってしまうことがあります。

そこで、契約書という「書面」を作成することによって、契約の内容を証拠化し、将来的な紛争を回避していくことが重要になります。

 

そして、契約書という「書面」を作成するにあたり、最も重要なことは、自社そして当該取引に適した契約書等を準備することであり、それにつきます。

 

たとえば、同じ「売買契約書」、「業務委託契約書」や「ライセンス契約書」であったとしても、契約の実態や業種により内容が異なる場合があります。

そのため、本来は、契約実態に合った契約書を作成しなければならないにもかかわらず、定型のひな型を使用して、自社に不利な契約を締結してしまうといったことが珍しくありません。

 

トラブルを回避するための契約書が、逆に余計なトラブルになってしまう可能性すらあるのです。

 

毎回ゼロから契約書を作成していると、時間も手間もとても多くかかってしまいますので、ひな形を利用することが悪いというわけではありません。

しかし、ひな形を使用する場合には、自社そして当該取引に、どの条項が必要で、どのような条項が不足しているかを判断し、適切に修正する技術が要求されるのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 10 中小企業は上場を目指せ!?

前回、創業当初から、事業を支えるための仕組みづくりをしておく必要がある、ということをお伝えしました。

 

では、どのような仕組みを整えておけばいいのでしょうか。

整えなければならないのは、大きく分けて3つの仕組みです。

 

まず、1つ目は、会社内部の仕組みです。

 

実際、上場するためには、社内規程を整備しなければなりません。

社内規程は、従業員、役員が遵守すべき事項を具体化したものであり、規程の整備は内部統制の浸透や運用にとって重要となります。

 

社内規程は、大別すると、①基本規程、②組織規程、③人事労務規程、④総務庶務規程、⑤業務規程の5種類に分けられます。

 

各規程の作成にあたっては、会社のすべての業務を過不足なく網羅していることが必要です。

 

業務上のルールや処理手順が規程として明文化されていないと、各業務処理に内在する問題点を継続的に改善できず、ノウハウが会社に蓄積されない等の弊害が生じる可能性があります。

また、業務範囲や責任関係が暖昧となり業務に支障をきたす可能性もあります。

 

このような意味で、社内規定の整備は必要不可欠なものなのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 9 中小企業は上場を目指せ!?

さて、前回、最終的に上場するかどうかは、メリット、デメリットを勘案して、総合的に判断すべきですが、上場できるような体制を整えておくという意味では、上場を目指すべきという話をしました。

 

では、なぜ、上場できるような体制を整えておく必要があるのでしょうか。

 

このことについては、いろいろな考え方があると思いますが、私は、つぎのように考えています。

 

会社が、安定的に伸びていくためには、将来性のある事業を行っているだけでなく、事業を支えるための仕組みを整えておくことが必要不可欠です。

どんなに売上があっても、現金が枯渇すれば、会社は潰れます。

 

実際、1億円以上の売上があるにもかかわらず、うまくいっていない会社はたくさんありますし、何10億の売上があったにもかかわらず、潰れてしまった会社はたくさんあります。

 

そうならないように、事業を支えるための仕組みづくりが重要なのです。

 

また、現実問題として、実際にトラブルとなってしまった後に、そのトラブルを解決しようとすると、多大な時間と費用が掛かります。

そのため、仕組みの整備は、できるだけ早く行うことが重要なのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 8 中小企業は上場を目指せ!?

先日(平成29年9月13日)、「中小企業の上場戦略~本気で会社を発展させたいなら中小企業は上場を目指せ!!~」というタイトルのセミナーを開催しました。

 

たしかに、上場することで生じるメリットはたくさんあります。

株主である創業者にとっては、創業者利潤の実現、株式価値の増大というメリットが、会社にとっても、資金調達能力の向上、知名度や信用度の向上、優秀な人材の確保が可能となるというメリットがあるといわれています。

 

他方、上場することで生じるデメリットもあります。

一般的には、情報の開示義務の発生、創業者の経営権の喪失、上場維持コストの発生というデメリットがあるといわれています。

 

このように、上場には、メリットもありますが、デメリットもあります。

 

そのため、すべての会社において、上場することが、ベストなわけではありません。

しかし、本気で会社を発展させたいなら、上場できるような体制を整えなくてはなりません。

 

最終的に上場するかどうかは、メリット、デメリットを勘案して、総合的に判断すべきですが、上場できるような体制を整えておくという意味では、上場を目指すべきなのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 7

先週、債権の管理をしっかりすることが、取引先の危険な徴候を読み解く大前提であるとお伝えしました。

 

そのうえで、取引先につぎのような事象が生じたら要注意です。

 

たとえば、

・支払金額の値下げ、支払期限(納期)の延期を求めてくる。

これは、資金繰りが厳しいことを端的に表す事象です。

 

・主要な取引先が倒産、契約打切りになった。

この事実が、即経営の悪化につながるわけではありません。

しかし、短期的には資金繰りが悪化する可能性があります。

 

さらに進んで、つぎのような事情が生じたら、具体的な回収行動に入る検討をする必要があります。

 

・赤字決算が続く

・ノンバンクから借金するようになる

・利益を考えないほど大幅な値引きを始める

 

このような徴候が現れたような場合、もうその会社は倒産寸前ですから、速やかに回収行動に入りましょう。

 

債権を回収できないリスクを防ぐためには、債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けること。

これに尽きます。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 6

さて、情報を収集し、事前にできる限りリスクは低減しておいたとしても、取引先が破たんし、債権回収が滞ってしまうといった事態も起こりえます。

 

しかし、会社が破たんする場合、事前に何らかの兆候が表れていることも珍しくありません。

その兆候を読み取っていれば、他社にとっては想定外の事態でも、自社にとっては、想定内であり、事前に対策をとることができた・・・ということも起きるかもしれません。

 

では、どのようにして取引先の危険な徴候を読み解けばいいのでしょうか。

 

何よりも重要なのは、債権の管理をしっかりすることです。

取引先の信用調査を行い、 しっかりした契約書も作成し、万全の体勢で取引が開始できたとしても、その後の与信管理をおろそかにすると、結果的に債権回収に支障が生じます。

 

そこで、まずは、取引先に対し、現在いくらの債権・債務があるかを正確に把握しましょう。

 

たとえば、取引基本契約に基づいて、継続的に取引するような場合は、少なくとも注文書・注文請書といった書面を取り交わし、どのような債権・債務が生じているのか、きちんと証拠に残すようにしてください。

 

そして、入金があったらただちに請求額と入金額をつき合わせ、1円単位で一致しているかどうかを確認します。

1円でも一致しないときは、なぜ一致しないのか、すぐにその理由を確認しなければなりません。

 

自社側に問題がない場合には、単に取引先が請求したとおりに支払わないというだけですから、要注意です。

請求したのに支払わないというのは、取引先が破たんする、もっとも顕著な徴候だからです。

 

このように、債権の管理をしっかりすることが、取引先の危険な徴候を読み解く大前提です。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 5

前回、(1)法人の登記事項証明書の調査と(2)インターネットの2つを使って調査するだけでも、リスクを低減することができるという話をしました。

 

ですが、当然、事前にできる限りリスクは低減しておきたいところですよね。

 

そこで、このほか、(3)不動産の登記事項証明書の調査、(4)ヒアリング・現場調査、(5)決算書の調査、(6)調査会社の報告書を活用することで、さらにリスクの低減を図っていくことが重要です。

 

たとえば、(1)法人の登記事項証明書を行い、本店所在地を把握し、本店所在地の(3)不動産全部事項証明書を入手することで、当該不動産の所有者は誰であるか、金融機関から借入れについて抵当権が設定されているか等を確認することで、担保としての価値や、会社の財務状況がわかることもあります。

 

同様に、(4)取引先のオフィスを訪問し、取引先の代表者や取引担当者から話を聞く等、「直接」見聞きすることで得られる情報は意外に多く、また参考になります。

たとえば、詐欺会社は、(ア)すぐに逃げられるように必要最小限の備品しか置いていない、逆に信用度を増そうとして(イ)必要以上に華美な調度品を揃えている等の特徴があると言われています。

取引先の代表者や取引担当者からのヒアリング・取引先オフィス等の訪問は必ず行うべきでしょう。

 

このほか、(5)決算書や(6)調査会社の報告書からも様々な情報を得ることができます。

 

情報を収集し、事前にできる限りリスクは低減しておきましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

※法律を学び、攻めの経営を!第8回企業法務セミナー

本気で会社を発展させたいなら中小企業は上場を目指せ!!を開催いたします。

開催日時:9月14日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:15名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください

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起業のすゝめ 4

さて、これまで、

・売掛金の回収ができないことは、会社にとって最悪の事態であること

・取引にあたって、事前にリスクを分析し、管理しておくことが必要不可欠であること

・リスク分析、管理にあたり、取引開始前に、信用できる取引先か入念にチェックすること

という話をしてきました。

 

では、信用できる取引先かどうか、どのように見極めたらいいのでしょうか。

 

調査の基本は、(1)法人の登記事項証明書の調査と(2)インターネットです。

この2つだけでも、かなりの情報を得ることができます。

 

たとえば、商号が頻繁に変更されているような会社は、会社が乗っ取られたり、支配権を巡って争いがあったりする可能性があります。

 

また、会社成立の年月日は、後に変更することができませんので、歴史がある老舗の会社であるのか、それとも新参の会社であるのかを把握することができます。

 

さらに、インターネットで、会社の評判や口コミを調べてみたり、グーグルマップ等で本店住所地を入力して調べてみることによって、どのような会社であるかを推認することもできます。

 

このように、(1)法人の登記事項証明書の調査と(2)インターネットの2つを使って調査するだけでも、リスクを低減することができるのです。

(弁護士 國安耕太)

 

※法律を学び、攻めの経営を!第8回企業法務セミナー

本気で会社を発展させたいなら中小企業は上場を目指せ!!を開催いたします。

開催日時:9月14日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:15名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください

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起業のすゝめ 3

会社を維持し発展させるためには、リスクを適切にコントロールして、企業の維持や発展に大きな影響が生じることのないようにしなければなりません。

 

そのためには、自社の取引や自社の体制のどこにリスクがあるのか、分析し、必要に応じて対処することが重要です。

特に、債権回収におけるリスクの管理は非常に重要です。

 

債権の回収が出来ないと、会社のキャッシュが不足する、要するに会社に現預金が足りないという事態が生じます。

取引先は、お金を払うことができなければ、商品やサービスを提供してはくれませんし、従業員も働いてくれません。

次々と債権の回収が出来なくなれば、現金が枯渇し、黒字倒産の可能性もでてきます。

債権の回収が出来ないことは、会社にとって最悪の事態なのです。

 

このように、会社にとって、債権回収は至上命題であり、そのリスクの管理は必要不可欠といえるのです。

 

ところが、現実の会社経営にあたっては、債権の管理は、意外と疎かにされている感が否めません。

 

それは、経営者が3つの落とし穴に陥ってしまっているからかもしれません。

 

この3つの落とし穴を意識して経営をしていくことができるかどうかで、会社の維持や、発展の速度に違いが出てくるでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

※法律を学び、攻めの経営を!第8回企業法務セミナー

本気で会社を発展させたいなら中小企業は上場を目指せ!!を開催いたします。

開催日時:9月14日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:15名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

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起業のすゝめ 2

会社を維持し発展させるためには、リスクを適切にコントロールして、企業の維持や発展に大きな影響が生じることのないようにしなければなりません。

 

そのためには、自社の取引や自社の体制のどこにリスクがあるのか、分析し、必要に応じて対処することが重要です。

特に、債権回収におけるリスクの管理は非常に重要です。

 

債権の回収が出来ないと、会社のキャッシュが不足する、要するに会社に現預金が足りないという事態が生じます。

取引先は、お金を払うことができなければ、商品やサービスを提供してはくれませんし、従業員も働いてくれません。

次々と債権の回収が出来なくなれば、現金が枯渇し、黒字倒産の可能性もでてきます。

債権の回収が出来ないことは、会社にとって最悪の事態なのです。

 

このように、会社にとって、債権回収は至上命題であり、そのリスクの管理は必要不可欠といえるのです。

 

ところが、現実の会社経営にあたっては、債権の管理は、意外と疎かにされている感が否めません。

 

それは、経営者が3つの落とし穴に陥ってしまっているからかもしれません。

 

この3つの落とし穴を意識して経営をしていくことができるかどうかで、会社の維持や、発展の速度に違いが出てくるでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業のすゝめ 1

私は、中小企業、だいたい従業員数が10名から300名程度、売上規模でいうと1億から60億くらいの会社のリスク管理、労務管理体制の整備を主たる業務としています。

 

そんな私は、日々業務を行う中で、強く感じることがあります。

それは、なぜ経営者は、法律をもっと知ろうとしないのか、です。

 

みなさんが、起業を決意されたのは、単にお金のためだけですか?

 

違いますよね。

顧客ひいては社会に提供したい何かがあるからではないですか?

やり遂げたい何かがあるからではないのですか?

 

そうであるならば、会社を長期にわたり存続させていくため、会社を守るため、必要最低限の知識は備えておかなければなりません。

 

知っていることで防げるトラブルはたくさんあります。

これまで、単に知らなかったというだけで、多くの会社が不利益を被り、市場から退場していきました。

非常に残念です。

もちろん、専門的な事項は専門家に任せるべきですが、経営者にとって、必要最低限の事項を知らないということは罪なのです。

 

ぜひ、会社を発展させるためのツールを手に入れてください。

(弁護士 國安耕太)

 

*次週は、お盆休みのため、配信いたしません。

 

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起業塾42:インターネット販売の基礎12(インターネット販売とその他の広告規制)

先週まで、特定商品取引法の規制をみてきましたが、このほかにも、広告に関する規制として、消費者契約法や景品表示法(不当景品類および不当表示防止法等があります。

 

消費者契約法は、消費者が契約を勧誘されている際に、事業者の不適切な行為があった場合、消費者に契約を取り消すことを認めたり、契約書に消費者の権利を不当に害する条項が記載されていた場合に、当該条項を無効とする等、消費者を保護する法律です。

 

たとえば、事業者が重要事項について事実と異なることを告げたことで、消費者が、当該告げられた内容を事実であると誤認して、それによって契約の申込み等の意思表示をしたときは、これを取り消すことができます。

 

また、景品表示法は、商品・サービスの内容等について、実際のものまたは競争事業者にかかるものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として禁止されています。

 

このような消費者契約法や景品表示法の広告規制は、インターネット販売においても適用され、これらの規制に違反した場合は行政処分や罰則の適用を受けることになります。

 

したがって、インターネット販売を行う事業者は、特定商取引法の規制だけでなく、消費者契約法や景品表示法の広告規制にも従わなければなりません。

 

以上のとおり、インターネット販売を行うにあたっては、気を付けなければならない法的規制が多々あります。

思わぬところで足元をすくわれないよう、インターネット販売を行う際は、事前に法的規制を調査しておくことをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法等(第11回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾41:インターネット販売の基礎11(インターネット販売と特定商品取引法2)

本日のテーマは、前回に引き続き、インターネット販売と特定商取引法です。

インターネット販売は、特定商品取引上の通信販売に該当するため、インターネット販売を行う事業者は、特定商取引法の規制に従う義務があります。

 

たとえば、インターネット販売を行う事業者は、

(ア)商品等の販売価格、送料

(イ)商品・指定権利の売買契約の申込みの撤回・売買契約の解除に関する事項

(ウ)販売業者等の氏名、住所と電話番号

等の事項を表示しなければなりません(特定商品取引法8条、施行規則8条)。

 

また、広告をするときに商品の性能・品質・効能等の事項について、

(ア)著しく事実に相違する表示をしたり、

(イ) 実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させるような表示

をしてはならないとされています(特定商品取引法12条、施行規則11条)。

 

さらに、商品等の販売条件等について、原則として、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならないとされています(特定商品取引法12条の3)。

 

このように、インターネット販売を行うにあたっては、特定商取引法の規制を熟知しておかなければなりません。

 

知らず知らずのうちに、この規制に違反していた、というようなことがないよう注意してください。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法等(第11回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾40:インターネット販売の基礎10(インターネット販売と特定商品取引法1)

本日のテーマは、インターネット販売と特定商取引法です。

 

みなさん、特定商取引法(特定商取引に関する法律)という法律はご存知でしょうか。

 

特定商取引法は、特定商取引、すなわち、(1)訪問販売、(2)通信販売および(3)電話勧誘販売に係る取引、(4)連鎖販売取引、(5)特定継続的役務提供に係る取引、(6)業務提供誘引販売取引ならびに(7)訪問購入に係る取引を規制する法律です(1条*1)。

 

このうち、(2)通信販売とは、販売業者等が、郵便等によって売買契約等の申込みを受けて行う商品の販売等のことをいい、郵便や電話機、ファクシミリ装置のほか、情報処理に用いられる機器を利用する方法が含まれることから(特定商品取引法2条2項*2、施行規則2条2号*3)、インターネット販売も、これに該当します。

 

このため、インターネット販売を行う事業者は、特定商取引法の規制に従う義務があり、違反した場合は行政処分や罰則の適用を受けることになります。

 

すなわち、インターネット上で商品等を販売する事業者は、特定商取引法の規制に従って、

①一定事項を表示しなければならず(11条)、また、

②誇大広告が禁止されている(12条)ほか、

③承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供が禁止される(12条の3)

等の規制を受けることになります。

 

各規制の詳細については、次週以降でみていくことにします。

(弁護士 國安耕太)

 

*1 特定商品取引法1条

「この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」

 

*2 特定商品取引法2条2項

『「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。』

 

*3 特定商品取引法施行規則2条2号

「法第二条第二項 の主務省令で定める方法は、次の各号に掲げるものとする。

二 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法等(第11回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾39:インターネット販売の基礎9(インターネット販売と商標権3)

さて、商標権のラストです。

これまで商標権に関する一般的な話をしてきましたが、今回は、インターネット販売で特に気を付けなければならない点について、解説します。

 

商標権の効力は、一定の場合に制限されています(商標法26条1項)。

たとえば、自社名と同じ会社名が他人によって登録されてしまった場合に、自社名を使用することが出来なくなってしまうと、自社は営業活動をすることが出来なくなってしまいます。

そこで、「自己の名称を普通に用いられる方法で表示する」場合には、商標権の効力は及びません(商標法26条1項1号)。

 

このほか、判例上認められた制限もあります。

その1つが、用尽(消尽)論です。

用尽論は、一旦商標権者によって販売等拡布された商品についての商標権は、以後の商品の再譲渡や再販売等については及ばないという理論のことです。

この考え方は、裁判例上も支持されていますが、注意しなければならないのは、    たとえ商標権者から購入した真正商品であっても、これに別途の行為を及ぼした場合には、商標権侵害となる場合があるということです。

たとえば、真正商品を購入してきて、これを小分けし、詰め替えた物に同じ登録商標や類似商標を付して販売する行為は、商標権侵害となります(大阪地判昭和51年8月4日、大阪地判平成6年2月24日等)。

 

また、並行輸入にも注意しなければなりません。

並行輸入とは、知的財産権者が、外国で製造した真正商品の輸入に関し、当該権利者の総代理店等のルートがあるにもかかわらず、知的財産権者より外国の市場に置かれた商品を現地で購入したうえで、総代理店等を通さずに輸入することをいいます。

しかし、商標法上は、我が国の登録商標の指定商品と同一の商品に、登録商標と同一の商標を付したものを輸入し、国内で販売する行為は、商標権者の許諾がない限り、商権侵害となります(商標法2条3項・25条)。

 

適法な並行輸入となるよう気を付けなければなりません。

 

このようにインターネット販売をするにあたっては、商標法上の規制にも注意する必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法(第11回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾38:インターネット販売の基礎8(インターネット販売と商標権2)

さて、先週に引き続き商標権です。

 

先週お伝えしたとおり、商標権者等は、自己の登録商標と同一または類似の標章を使用する者に対し、差止請求(商標法36条)等をすることができます。

 

では、商標の同一性または類似性の判断は、どのように行えばいいのでしょうか。

 

この点に関して、判例は、

「商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断する」(最判昭和43年2月27日、民集22巻2号399頁、氷山印事件)

 

「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されない」最判平成20年9月8日、判時2021号92頁、つつみのおひなっこや事件)

としています。

 

ポイントは、

(1)外観、観念、称呼という3つの要素を考慮して類似性を判断する

(2)その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断する

(3)一部を抽出し、その一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されない

という3点です。

 

ただ、明らかに似ていないものであればともかく、実際に類似性を判断することは、非常に難しいと思いますので、迷ったときは、弁護士・弁理士といった専門家に相談することをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法(第11回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾37:インターネット販売の基礎7(インターネット販売と商標権1)

さて、先週まで、著作権をみてきましたが、今回からは、商標権です。

インターネット販売を行う場合、著作権と共に問題となってくるのが、この商標権です。

 

商標法は、商標権者は、登録商標の使用をする権利を専有する(商標法25条本文)と定めています(この専有できる権利を、専用権といいます。)。

そして、かかる専用権の効果として、他人が登録商標と同一の標章を使用することを禁止できる、すなわち排他的独占権が認められています。

 

また、商標法は、商標を使用する専用権の範囲に入る行為ではないが、その範囲に他人が入り込む蓋然性の高い行為を捉えて侵害とみなし、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条1号)。

すなわち、登録商標に類似する標章の使用も禁止することができます。

 

さらに、侵害の予備的行為も侵害とみなして、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条2号等)。

したがって、第三者が権原なく、これらの行為をした場合、商標権侵害に該当します。

 

そして、商標権侵害がなされた場合、商標権者等は、差止請求(商標法36条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(商標法39条、特許法106条)等をすることが認められています。

 

そのため、何らかの標章を使用する際は、当該標章が登録されていないか、調べておいた方が無難です。

 

また、自社のブランド戦略として、社名や商品名、インターネットサイトの名称等の商標権を取得する、ということも検討してみても良いと思います。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

第12回経営者勉強会

日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾36:インターネット販売の基礎6(インターネット販売と著作権3)

前回、前々回に引き続き、著作権についてです。

 

前々回、少し触れましたが、一定の場合には著作権者の許諾なく著作物を利用することができます(著作権法30条以下)。

この中でも特に問題となるのが引用(著作権法32条)です。

 

条文上、引用は、

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法32条1項)

と規定されています。

 

ところが、最高裁(最判昭和55年3月28日、民集34巻3号244頁、パロディ事件)は、条文上明示されていない明瞭区分性と主従関係という2つの要件を用いており、この2つの要件と条文上の文言との関係は必ずしも明らかではなく、学説も錯綜しています。

 

一つの考え方は、「引用」(32条1項)といえるためには、①公表された著作物であること、②公正な慣行に合致するものであること(明瞭区分性と主従関係)、③報道、批評、研究その他の目的上正当な範囲内でなされること、が必要であるとするものです。

 

ただ、このように引用にあたるかは、一律に判断することができません。

そのため、安易に引用にあたると判断して、著作権者に無断で他人の著作物を利用するのは非常に危険です。

 

引用をする場合には、このくらいは大丈夫だろうと自己判断せず、きちんと相談することをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第8回経営者勉強会

日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾35:インターネット販売の基礎5(インターネット販売と著作権2)

前回に引き続き、著作権についてです。

 

著作権法上、著作者とは、著作物を創作する者をいい(著作権法2条1項2号)、著作者は、著作者人格権(著作権法18条1項、19条1項及び20条1項に規定する権利)および著作財産権(著作権法21条から28条までに規定する権利)を享有する(著作権法17条1項)とされています。

 

したがって、著作権者の許諾なく、著作物を利用する行為は、著作権侵害となるのが原則です(ただし、一定の場合には著作権者の許諾なく著作物を利用することができます。著作権法30条以下)。

 

そして、著作権は、複製権、上演権等の複数の権利の束(これらひとつひとつの権利を「支分権」といいます。)で構成されています。すなわち、各権利は、個別の独立した権利として存在しているということです。

 

たとえば、著作権者から、複製の許諾を得ていたとしても、ホームページにアップロード(送信可能化、自動公衆送信)するためには、別途その旨の許諾が必要となります。もし、ホームページにアップロード(送信可能化、自動公衆送信)するための許諾を得ていないのであれば、それは、著作権者の許諾なく、著作物を利用する行為となり、著作権侵害となってしまいます。

 

同様に、音楽の著作物について、演奏の許諾を得ても、その演奏を録音・録画するためには、別途複製について許諾が必要ということになります。

 

なお、支分権のうち、インターネット販売との関係で、最も問題となりやすいのは、㋐複製権(著作権法21条、2条1項15号)と㋑翻案権(著作権法27条)という2つの支分権です。

①既存の著作物と全く同一の作品を作出した場合や、②既存の著作物に修正増減を加えているが、その修正増減について創作性が認められない場合は、㋐複製権の侵害になり、③既存の著作物の修正増減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われるに至っていない場合は、㋑翻案権の侵害となります。

 

このため、他の販売サイトに記載されている商品説明をそのままコピーしたり、多少表現を変更しただけで使用することは、㋐複製権または㋑翻案権の侵害になる可能性が高いです。

 

したがって、このような行為は、極力避けるべきであるといえます。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾34:インターネット販売の基礎4(インターネット販売と著作権1)

インターネット販売を行う場合、販売のためのウェブサイトを作成することになります。

もちろん、自社のホームページを活用する場合や、楽天のようなインターネット上のショッピングモールで販売する場合等その形態は様々であるとは思います。

しかし、いずれの場合でも著作権に関する知識は欠かせません。

 

たとえば、商品を販売する際に、カタログ写真をコピーして載せることができるのか、他の販売サイトに記載されている商品説明をそのまま使用できるのか、商品の写真に第三者の著作物が写り込んでいた場合どうなるのか等、インターネット販売を行う際には、著作権が関連してきます。

 

では、そもそも著作権とは、どのような権利なのでしょうか。

 

著作権法は、主として著作物に関する規律を定めた法律です。

すなわち、著作物の創作者である著作者に「著作者の権利」(著作者人格権および著作権)を定めることによって、著作者の利益を保護するものです。

 

つぎに、「著作物」とは一体なんなのでしょうか?

 

著作権法上、著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号)とされています。

「思想または感情」の表現であることが要求されていますから、思想・感情を表現したものとはいえないもの、単なる事実やデータは著作物にはあたりません。

したがって、たとえば、列車の時刻表や料金表は著作物にはあたりません。

 

また、「創作的な」表現でなければなりませんから、表現が平凡、かつありふれたものである場合には、創作性が否定される場合があります。

したがって、たとえば、機械の部品などのカタログ写真は、機械のメカニズムを利用して被写体を忠実に再製しただけにすぎず、著作物にはあたりません。

 

したがって、商品を販売する際に、カタログ写真をコピーして載せたとしても、著作権侵害となる可能性は低いでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第8回経営者勉強会

日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾33:インターネット販売の基礎3

前回、前々回と、インターネット販売に特有の契約の成立に関する問題をみてきました。

このほかにも、インターネット販売に関しては、通常の取引とは異なる電子商取引特有の規定が設けられていることがあります。

特に注意しなければならない規定として、電子契約法3条があります。

 

「民法第九十五条ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。

一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。

二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。」

 

これだけ読んでも、なにをいっているのかよくわからないかもしれません、

この規定は、要するに、

(1)消費者が申込を行う前に、消費者の申込内容等を確認する措置を事業者側が講じた場合、または消費者自らが確認措置が不要である旨意思の表明をした場合を除き、

(2)操作ミスによる消費者の申込の意思表示は無効となる

ということを明らかにしています。

 

つまり、(1)の場合を除き、後々、消費者から、

「あれは誤操作だった」(全く申込みを行う意思がないにもかかわらず、操作を誤って申込みを行ってしまった)、「あれは契約内容を勘違いしていた」(操作を誤って申込みの内容を入力してしまったにもかかわらず、それを訂正しないままに内心の意思と異なる内容の申込みであると表示から推断される表示行為を行ってしまったような場合)として、契約の無効を主張されてしまう危険性がある、ということです。

 

したがって、インターネット販売を行う場合は、このような問題が生じないよう、きちんと消費者の申込内容等を確認する措置を講じておく必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第8回経営者勉強会

日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

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起業塾32:インターネット販売の基礎2

前回、契約は、申込の意思表示と、承諾の意思表示の合致によって成立するということを例にとり、インターネット販売では、店舗での販売とは異なった配慮が求められるため、注意が必要であるという話をしました。

 

その際には触れなかったのですが、実は、法律上、承諾の意思表示の効力発生時期に関する規定があります。

 

まず、隔地者に対する意思表示は、「その通知が相手方に到達した時」から効力が生じます(民法97条1項)。

 

ただし、こと契約に関しては、「承諾の通知を発した時」に効力が生じるとされています(民法526条1項)。

 

したがって、郵送で契約を締結する場合、承諾の通知の発信時に契約が成立することになります。

これが大原則です。

 

ところが、電子消費者契約および電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法電)4条は、「民法第五百二十六条第一項および第五百二十七条の規定は、隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、適用しない。」と定めています。

そのため、電子商取引の場合は、承諾の通知の到達時に契約が成立することになります。

 

通常、この違いが大きな問題となることはありませんが、契約の成否が争われた場合等には問題となりうるところですから、インターネット販売を行う方は覚えておくとよいでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

 

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

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対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第8回経営者勉強会

日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第11回経営者勉強会

日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと特定商取引法

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾31:インターネット販売の基礎1

契約は、申込の意思表示と、承諾の意思表示の合致により、成立します。

 

申込の意思表示、というのがわかりにくいかもしれませんが、買主の立場からすれば、これが欲しいです、売ってください、と相手方に申し込むことが申込の意思表示になります。

これに対し、いいですよ、売りますよ、と買主である相手方に答えることが、承諾の意思表示です。

 

コンビニで買い物をする場合を例にとると、棚から商品を手に取ってレジに持っていく行為が申込の意思表示で、店員がこれをバーコードリーダーで読み込む行為が承諾の意思表示ということになるでしょう。

 

では、インターネット販売では、何が申込の意思表示または承諾の意思表示となるのでしょうか。

 

まず、申込の意思表示ですが、これはわかりやすいと思います。

購入者が、購入ボタンを押す行為です。

 

つぎに承諾の意思表示ですが、たとえば、販売店が、注文を承諾したという内容の返信メールを送信した場合は、承諾の意思表示となるでしょう。

 

ただ、この場合、もし商品の在庫がなかったら、成立した売買契約の不履行となってしまいます。

 

そのため、たとえばアマゾンでは、注文を承諾したという内容の返信メールではなく、あくまでも注文を受領したことを確認するだけにすぎないものであることを明記した返信メールを送信し、返信メールが承諾の意思表示ではないことを明記しています。

 

このようにインターネット販売では、店舗での販売とは異なった配慮が求められるため、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。

 

開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

第7回経営者勉強会

日時:平成29年4月4日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について

参加費(昼食代):1500円

 

第8回経営者勉強会

日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)

参加費(昼食代):1500円

 

第9回経営者勉強会

日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

 

第10回経営者勉強会

日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネットと著作権

参加費(昼食代):1500円

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起業塾30:情報管理4(情報漏えいを起こした者に対する責任追及)

情報管理の最終回は、情報漏えいを起こした者に対する責任追及です。

 

情報漏えいを起こした者に対しては、

①民事上の責任追及

②刑事上の責任追及

③懲戒処分(従業員の場合)

という3つの責任追及をすることが考えられます。

 

まず、①民事上の責任追及ですが、漏えい者が、故意または過失によって、情報漏えいを起こした場合、会社は、当該漏えい者に対し、債務不履行または不法行為を理由に損害賠償請求をすることができます。

 

つぎに、②刑事上の責任追及ですが、たとえば、漏えい者が情報を記録していた媒体を不法に領得した場合、窃盗罪(刑法235条)や業務上横領罪(刑法253条)に該当します。

 

したがって、漏えい者が、故意または過失によって、情報漏えいを起こした場合、会社は、当該漏えい者に対し、警察に被害届を出したり、告訴をする等して、刑事責任を追及することが考えられます。

 

最後に、漏えい者が従業員であったような場合、会社は、就業規則に基づいて、③懲戒処分をすることが考えられます。

この場合、故意・過失や、行為態様、情報流出の規模や会社への影響等を勘案して、処分を検討することになります。

 

以上のとおり、情報漏えいを起こした者に対しては、①民事上の責任追及、②刑事上の責任追及、③懲戒処分(従業員の場合)という3つの責任追及をすることが考えられます。

 

ただ、やはり漏えいを起こしたことの責任追及をするよりも、日頃からきちんと、漏えいが起きないような情報管理体制を整備していただければ幸いです。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第7回経営者勉強会

日時:平成29年4月4日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾29:情報管理3(情報漏えいのリスク3)

前回、残念ながら情報管理がうまくいかず、情報漏えいを起こしてしまった場合、金銭的な損失を迫られたり、評判・信用の低下が起きてしまう可能性についてお伝えしました。

今回は、漏えいした情報が個人情報であったような場合に、これらに加えてさらに刑事罰を受ける可能性があります。

 

個人情報保護法上、「個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」とされています(20条)。

 

また、個人情報取扱事業者は、従業員や委託先に個人データを取り扱わせるにあたっては、これら安全管理措置として、従業員や委託先に対しても、必要かつ適切な監督を行うことが義務付けられています(個人情報保護法21条、22条)。

 

したがって、たとえば、会社が保管していた個人情報を従業員が正当な理由なく漏えいしてしまった場合には、会社は、その従業員に対する個人情報保護法上の安全管理措置の監督義務に違反したとして、個人情報保護委員会の勧告・命令(個人情報保護法34条)の対象となる可能性があります。

 

そして、この命令に違反した場合は、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」とされています(個人情報保護法74条)。

 

このように、情報漏えいが起きた場合、会社は民事上の責任だけでなく、刑事上の責任まで負わなければならない可能性があるのです。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第7回経営者勉強会

日時:平成29年4月4日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾28:情報管理2(情報漏えいのリスク2)

今回は、残念ながら情報管理がうまくいかず、情報漏えいを起こしてしまった場合についてです。

 

2014年に起きたベネッセの個人情報流出事件のほかにも、個人情報が漏えいした事案は多数存在します。

 

たとえば、電気通信サービス事業者が保有していた、会員約450万人分の個人情報が外部に漏えいした事案では、情報漏えいの被害者から訴訟を提起され、1人あたり5500円の損害賠償義務が認められました(大阪高判平成19年6月21日(判タ1230号227頁)。

 

この事案は、外部から不正アクセスされ、会員の個人情報が外部に漏洩したというものですが、裁判所は、会社側に外部からの不正アクセスを防止するための相当な措置を講ずべき注意義務を怠った過失があり、当該過失により不正取得を防ぐことができなかったのであるから、情報漏えいの被害者に対し、その損害を賠償する義務があると判断しました。

 

この事案は、外部から不正アクセスされた事案であり、会社は不正アクセスを行った者との関係では、いわば被害者ともいえる立場ですが、情報漏えいの際は、責任を負わされ、金銭的な損失を迫られてしまうのです。

 

そして、さらに、レピュテーションリスク、評判・信用の低下による影響は計り知れません。

 

このように、情報漏洩によって、会社は甚大な損害を被ることがありうるのです。

また、理論的には、取締役個人としても賠償責任を負う可能性があります。

 

会社としては、自社の従業員や取引先との間で適正に情報を管理するだけでなく、外部からの不正アクセスを防止するための相当な措置を講じる義務を負っていることに注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第7回経営者勉強会

日時:平成29年4月4日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:インターネット上のオンライン契約について

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾27:情報管理1(情報漏えいのリスク1)

前回まで、秘密情報の管理についてお伝えしてきました。

ただ、いかに管理をしっかりしなければならないといっても、実際、情報漏えい事故はどのくらい起きているのでしょうか。

 

少し古い情報ですが、消費者庁が公表している「平成25年度 個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」(平成26年10月)によれば、ここ5年くらいは、苦情相談が5000件強、漏えい事案は、300~500件の間で推移しているようです。

 

これを多いとみるか少ないとみるかは、人によって評価が分れるところかもしれません。

 

しかし、ひとたび情報漏えいが起きると、会社に大きなダメージを与える可能性があります。

最悪の場合、会社が倒産する、という事態も考えられます。

 

2014年に起きたベネッセの個人情報流出事件は記憶に新しいところと思いますが、この事件では、実際に顧客情報に関するデータベースの運用や保守管理受託していたベネッセの子会社が倒産しています。

 

このように、情報漏えい事故による影響は、無視できないものなのです。

 

次回は、どのようなリスクが生じるのか、具体的な事案を参考に見ていきます。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第7回経営者勉強会

日時:平成29年4月4日午前11時30分~午後1時

定員:7名

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参加費(昼食代):1500円

 

 

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起業塾26:秘密情報の管理6(会社外の秘密保持義務2)

前回、秘密保持契約を検討する際には、①秘密情報の対象は何か、②秘密保持義務の内容はどのようなものか、③情報を開示する側か、開示される側か、という視点が重要であるということをお伝えしました。

 

では、なぜこのような視点が重要なのでしょうか。

 

まず、秘密保持契約は、文字通り、「秘密」を保持するための契約書です。

ところが、無限定に秘密情報としてしまうと、本当に秘密とすべき情報が一体どれなのか、分からなくなってしまいます。

その結果、秘密情報として保護されない、という最悪の事態も起こりえます。

 

また、秘密保持義務を課しているにもかかわらず、これに反した場合、最終的には金銭的な解決(損害賠償)がはかられることになります。

この損害賠償の請求にあたっては、被開示者に、秘密情報を漏洩したことについて、故意または過失があることが必要です。

ところが、保護すべき秘密情報がどれかわからないと、故意・過失のいずれも存在しない、とされ、損害賠償義務が認められないということにもなりかねません。

 

そのため、このように秘密情報が特定されていること、すなわち、①秘密情報の対象は何か、というのは秘密保持契約において非常に重要な事項なのです。

 

また、秘密保持義務に限らず、一体どのような義務を負っているのか(②秘密保持義務の内容)は、とても重要ですし、自社がどのような義務を負っているのかを考えるにあたっては、③情報を開示する側か、開示される側なのか、という視点がとても重要になってきます。

 

このような理由から、秘密保持契約を検討する際には、①秘密情報の対象は何か、②秘密保持義務の内容はどのようなものか、③情報を開示する側か、開示される側か、という視点をもっておくとよいでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

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対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

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※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分~午後1時

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テーマ:秘密保持契約とは

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*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾25:秘密情報の管理5(会社外の秘密保持義務1)

前回まで、従業員との関係では、会社は、従業員と個別に秘密保持に関する誓約書を締結したり、秘密保持規程を作成したりして、従業員が守るべき義務として、秘密保持義務を、その対象となる秘密の内容や範囲を明確化しておく必要がある、ということをお伝えしてきました。

 

それでは、会社外部との関係では、どのようにして秘密を秘密として保持していけばよいのでしょうか。

 

まず、押さえておかなければならないのは、会社外部の取引先や協力会社は、当然には秘密保持契約を負うことにはならない、つまり、会社外部の取引先や協力会社に秘密保持義務を課すためには、その旨の契約をしなければならない、ということです。

 

これは、その対象となる秘密の内容や範囲が不明確である等の問題があるものの、労働契約上の付随義務・誠実義務の一環として、秘密保持義務を負っていた従業員の場合と大きく異なる点です。

 

そして、会社外部の取引先や協力会社に秘密保持義務を課すためには、その旨の契約をしなければならないということは、すなわち、秘密情報の対象や秘密保持義務の内容を具体的に定めなければならない、ということです。

 

そこで、秘密保持契約を検討する際には、①秘密情報の対象は何か、②秘密保持義務の内容はどのようなものか、という点に注意しなければなりません。

 

また、③情報を開示する側か、開示される側か、という視点も非常に重要です。

これは、いずれの立場になるかで、条項を検討・変更する方向性が変ってくるからです。

 

次回は、なぜこのような視点が重要なのか、について解説していきます。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは

参加費(昼食代):1500円

 

*第6回経営者勉強会

日時:平成29年3月28日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは(第5回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾24:秘密情報の管理4(従業員の秘密保持義務2)

前回、会社が健全に存続・発展していくためには、営業秘密以外の情報についても、その流出を防止しなければならず、会社は、秘密保持規程を作成したり、従業員と個別に秘密保持に関する誓約書を締結したりして、従業員が守るべき義務として、秘密保持義務をその対象となる秘密の内容や範囲を明確化しておく必要がある、ということをお伝えしました。

 

では、この秘密保持に関する誓約書を、いつの時点で作成しておくべきでしょうか。

 

最も望ましいのは、入社時、具体的なプロジェクト時、退社時と異なるタイミングで、それぞれ誓約書にサインをしてもらうことです。

こうすることで、秘密保持義務を負っているとは知らなかった、何が秘密保持義務の対象かわからなかったといったといった従業員からの反論を封じることができます。

 

これに対し、最悪なのは、退職時に、いきなり誓約書を書かせようとすることです。

これからこの会社で働こうという意欲がある入社時と異なり、退社時は、その会社と縁を切ろうとしている段階です。

そのようなときに会社側が誓約書へのサインを求めたとしても、従業員は、なかなかそれに応じてくれません。

 

したがって、ベストは、入社時、具体的なプロジェクト時、退社時と異なるタイミングで、それぞれ誓約書にサインをしてもらうことです。

そして、それが難しいようであれば、少なくとも、入社時にサインをしてもらうことをお勧めします。

 

次回は、会社外に秘密情報を提供する場合に、どのように保護するのか、いわゆる秘密保持契約書について、検討していこうと思います。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

 

*第4回経営者勉強会

日時:平成29年2月7日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは(第3回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾23:秘密情報の管理3(従業員の秘密保持義務1)

前回、前々回と、会社の秘密情報の保護に関する法律は不正競争防止法という法律1つしかないこと、不正競争防止法の保護を受けるためには、「営業秘密」に該当しなければならないこと、「営業秘密」として保護されるためには①秘密管理性、②有用性、③非公知性の3つの要件を満たしている必要があることについて、お伝えしてきました。

 

しかし、営業秘密にあたらないものであっても、会社としては流出を防止しなければならない情報は多々あります。

 

たとえば、従業員の不祥事に関する情報、従業員が横領や背任等で逮捕されたといった情報は、事業活動に有用な技術上または営業上の情報とはいえないでしょう。

また、社員や役員の人事に関する情報や、人事組織に関する情報は、有用な情報であっても、直ちには、事業活動に有用な技術上または営業上の情報とはいえません。

 

したがって、会社が健全に存続・発展していくためには、営業秘密以外の情報についても、その流出を防止しなければなりません。

 

一応、従業員は、労働契約上の付随義務・誠実義務の一環として、秘密保持義務を負っています。

しかし、労働契約上の付随義務・誠実義務の一環としての秘密保持義務は、その対象となる秘密の内容や範囲が不明確である等の問題があります。

 

そこで、会社は、従業員と個別に秘密保持に関する誓約書を締結したり、秘密保持規程を作成したりして、従業員が守るべき義務として、秘密保持義務をその対象となる秘密の内容や範囲を明確化しておく必要があります。

 

ぜひ情報の適正な管理を行い、会社が発展していく礎を築いてください。

(弁護士 國安耕太)

 

*第6回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!情報管理の基本を習得し、万全な対策を!』

※情報管理の基本 情報漏えいリスクとその対策編

開催日時:3月16日(木)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:8000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第4回経営者勉強会

日時:平成29年2月7日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは(第3回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾22:秘密情報の管理2(営業秘密)

前回、会社の秘密情報の保護に関する法律は不正競争防止法という法律1つしかないこと、そして、不正競争防止法の保護を受けるためには、「営業秘密」に該当しなければならないということをお伝えしました。

 

では、不正競争防止法の保護を受ける「営業秘密」とは、どのようなものなのでしょうか。

 

不正競争防止法は、「営業秘密」について、つぎのとおり定めています。

 

「この法律において営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」(不正競争防止法2条6項)

 

すなわち、

①秘密管理性(「秘密として管理されている」)

②有用性(「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」)

③非公知性(「公然と知られていないもの」)

という3つの要件を満たしているものが、営業秘密として保護されます。

 

この中で最も重要な要件は、①秘密管理性です。

営業秘密として保護されるためには、会社が、「これは営業秘密である」と主観的に認識しているだけでは足りません。

㋐特定の情報を秘密として管理するという意思

㋑経済合理的な秘密管理措置が取られていること

㋒従業員が、当該情報が秘密であると認識できること

が必要です。

 

具体的には、たとえば、紙媒体であれば、ファイルの利用等により一般情報からの合理的な区分を行ったうえで、当該文書に「マル秘」など秘密であることを表示するといった管理を行うことが必要です。

 

なお、次回は、営業秘密にあたらない情報であっても、会社としては流出を防止しなければならない情報をどのように保護していくのか、についてみていきます。

(弁護士 國安耕太)

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

 

*第4回経営者勉強会

日時:平成29年2月7日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは(第3回と同内容となります。)

参加費(昼食代):1500円

 

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾21:秘密情報の管理1(会社の秘密情報の保護)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

2017年、最初のテーマは、秘密情報の管理です。

 

会社は、その事業を行う過程で、様々な情報を獲得し、活用していくことになります。

その中で、対外的に公開したくない、秘匿しておきたい情報(秘密情報)というものがあると思います。

たとえば、技術に関する情報、社員や役員の人事に関する情報などは、一定の時期が経過するまで(または、半永久的に)秘匿しておきたいと考えるのが通常でしょう。

また、顧客に関する情報、社員や役員個人に関する情報も、一般的には公開したくない情報でしょう。

 

では、そのような会社の秘密情報の保護に関する法律は、どのくらいあるのでしょうか。

 

実は、会社の秘密情報の保護に関する法律は、不正競争防止法という法律1つしかありません。

 

しかも、この不正競争防止法だけでは、すべての秘密情報が保護されるわけではありません。

 

不正競争防止法は、「営業秘密」に該当する秘密情報しか保護の対象としていないのです(不正競争防止法2条1項4号ないし10号)。

 

次回は、この「営業秘密」とはどのようなものなのか、見ていくことにします。

(弁護士 國安耕太)

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

 

*第4回経営者勉強会

日時:平成29年2月7日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

 

*第5回経営者勉強会

日時:平成29年2月21日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:秘密保持契約とは

参加費(昼食代):1500円

 

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起業塾20:社内体制の整備11(モデル就業規則の問題点)

前回の最後に、厚生労働省のモデル就業規則*1には多々問題がありますので、利用には注意が必要です、という話を少ししました。

 

では、具体的に、モデル就業規則のどのような規定が問題なのでしょうか。

 

たとえば、モデル就業規則には、「休職」に関する規定があります*2。

「休職」とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。

 

従業員と会社との間の労働契約は、従業員が会社に対し、労働力を提供することをその内容としていますから、従業員が私傷病によって会社に対し労務提供できない場合、本来は解雇として取り扱われます。

そのため、休職は、従業員が会社に対し労務提供ができないとしても、即時に解雇するのではなく、労働契約関係を維持しながら、一定期間猶予を与えるものといえます。

 

要するに、従業員を保護するための制度なのです。

 

ところが、実は、労働基準法をはじめとした労働法には、「休職」に関する規定が一切ありません。

これは、つまり、休職の対象となる従業員や休職期間その他の条件を会社が自由に決められるというにとどまらず、そもそも休職制度を置くかどうかも自由に決められるということです。

 

スタートアップの会社や、従業員が10数名しかいない会社で、本当に休職制度を設ける必要があるのでしょうか。

休職期間中、給与の支払義務はないとしても、社会保険の支払義務は残ります。

 

もちろん、考えた結果、制度が必要だ!という判断もあり得るでしょう。

しかし、少なくとも本当に必要なのか、きちんと検討する必要はあるでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

 

*2

第9条

1 労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

①業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき:  年以内

②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき:必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾19:社内体制の整備10(就業規則の有用性)

常時10人以上の従業員を使用する会社は、労働基準法89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

 

では、従業員が10人未満の会社は、就業規則を作成しなくてもよいのでしょうか。

 

確かに、法律上、従業員が10人未満の会社には、就業規則の作成義務はありません。

しかし、スタートアップの会社等、従業員が10人未満の会社であっても、就業規則を作成しておくメリットは複数あります。

 

まず、最も大きなメリットは、個々の会社の状況に則した服務規律を定めることができるという点です。

たとえば、無断欠勤や、遅刻早退を繰り返す従業員がいたとしても、そのような場合の処分に関する明確なルールが定められていなければ、会社は、当該従業員を減給処分等することはできません。

また、当然ですが、前々回ご紹介した固定残業手当(定額残業代)制度を利用することもできません。

 

また、厚生労働省管轄の助成金の中には、就業規則の作成が前提とされているものがあります。

就業規則を作成しておくで、このような助成金を申請することが可能になります。

 

その他、従業員とのトラブルを未然に防止することができたり、良い人材確保ができたりといった副次的なメリットもあるでしょう。

 

このように、就業規則を作成しておくメリットは複数あります。

 

ただ、就業規則であれば、何でもよいというわけではありません。

実際、社会保険労務士や弁護士に就業規則の作成を依頼せず、厚生労働省が公表しているモデル就業規則*を自社の就業規則としている会社を見かけます。

しかし、モデル就業規則には多々問題がありますので、利用には注意が必要です。

 

次回は、モデル就業規則等ひな形の問題点について、見ていきましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾18:社内体制の整備9(安全配慮義務)

業務が原因で、従業員が死傷した場合、従業員ないしその家族は、会社に対し、不法行為を理由とする損害賠償請求(民法709条)をすることができます。

 

また、債務不履行(安全配慮義務違反)を理由とする損害賠償請求(民法415条)をすることもできます。

安全配慮義務とは、判例上、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命および身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」(最判昭和59.4.10、民集38-6-557、川義事件)とされてきたもので、現在では、労働契約法5条に「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められています。

 

そして、たとえば、過重労働が問題となった過去の裁判例では、「会社は、労働者であるAを雇用し、自らの管理下におき、a駅店での業務に従事させていたのであるから、Aの生命・健康を損なうことがないよう配慮すべき義務を負っていたといえる。具体的には、Aの労働時間を把握し、長時間労働とならないような体制をとり、一時、やむを得ず長時間労働となる期間があったとしても、それが恒常的にならないよう調整するなどし、労働時間、休憩時間及び休日等が適正になるよう注意すべき義務があった。」として、長時間労働を原因とする死亡につき、会社に損害賠償義務を認めています(京都地判平成22年5月25日、労判1011号35頁)。

 

また、昨今では、会社だけでなく、取締役等の役員個人に対する損害賠償訴訟も提起されるようになってきました。そして、実際に損害賠償請求が認められる事案も出てきています。

上記裁判例でも、会社のみならず、役員個人に対しても、会社法429条1項*に基づく損害賠償義務を認めています。

 

会社にとって、事前に専門家によるチェックを受け、適正な労務管理を行うことは非常に重要ですが、会社のみならず、役員個人にとっても、適正な労務管理を行うことが直接的かつ重要な意味を持つといえます。

(弁護士 國安耕太)

 

*会社法429条1項

役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第1回経営者勉強会

日時:平成28年12月20日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(昼食代):1500円

 

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾17:社内体制の整備8(固定残業手当制度)

近時、いわゆる固定残業手当(定額残業代)制度、すなわち、定額の残業手当を支払うことで、時間外労働に対する割増賃金の支払いに代えるとの制度を導入している会社が増えています。

 

固定残業手当制度も、現実の時間外労働時間に基づいて算出される割増賃金額を下回らないかぎり適法です。

 

ただし、そもそも固定残業手当制度として認められるためには、少なくとも、(1)基本給部分と固定残業手当部分とを明確に区別できること、(2)他の支給目的と混同する名称が用いられていないこと、(3)固定分を超えた部分について差額を支払うことが、(4)就業規則・賃金規程・労働条件通知書等に記載されていることが必要とされています。

 

これらの要件を満たしていないと、制度が無効となってしまう可能性があるので、注意が必要です。

 

実際、過去の裁判例では、就業規則および賃金規程が明確性・一義性に欠けること、実際に労働者が自己の毎月の労働による具体的時間外割増賃金額を了知できないこと等から、割増賃金が能力給に含まれるとの会社の主張を認めなかった事案があります(東京地判平成20年3月21日、労判967号35頁、フジビルメンテナンス事件)。

 

また、たとえ労働者と、固定額しか支払わないとの合意をしていたとしても、そのような合意は労働基準法37条に反し無効となります。

 

そして、固定残業手当(定額残業代)制度が無効とされると、当該手当の額が割増賃金算定の基礎金額に算入されてしまい、予想外の金額を支払わなければならなくなる危険性があります。

 

固定残業手当(定額残業代)制度を導入・運用する際は、きちんと弁護士、社会保険労務士等の専門家に相談することをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第1回経営者勉強会

日時:平成28年12月20日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(昼食代):1500円

 

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

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テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾16:社内体制の整備7(名ばかり管理職)

みなさんは、数年前、某ファーストフード店の店長が、某ファーストフード店に対し、数百万円の割増賃金の支払を求める訴訟を提起して話題になりましたが、ご存じでしょうか。

これは、某ファーストフード店側が、店長は管理監督者であるとして、割増賃金を支払っていなかったところ、店長側が、某ファーストフード店の店長は管理監督者に該当しないとして、未払いの割増賃金の支払を求めた事案です。

 

みなさんの中には、課長や部長という役職がついていれば、残業代を支払わなくてよいという話を聞いたことがある、という方がいらっしゃるかもしれません。

 

確かに、労働基準法上、割増賃金に関する32条は、(1)農業、畜産・水産業に従事する者、(2)管理監督者および(3)監視・継続労働従事者には適用されないとされています(41条)。

そのため、某ファーストフード店の店長が、この労働基準法41条の「管理監督者」に該当するのであれば、割増賃金の支払義務はありません。

 

しかし、管理監督者にあたるかどうかは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態に即して判断されます。

具体的には、㋐職務内容、権利と権限が、管理者としてふさわしいものであるか、㋑出退勤の自由ないし裁量性が存在しているか、㋒地位にふさわしい待遇を与えているかどうかを総合的に考慮して判断されることになります。

 

これらにかんがみると、管理監督者に該当する人は、意外に少ないということが分かると思います。

 

結果的に上記事案でも、「店長は、その職務の内容、権限および責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない」(東京地判平成20.1.28判時1998号149頁)として、某ファーストフード店側に、数百万円の割増賃金の支払を命じられています。

 

管理職であるというだけで、割増賃金の支払いを拒むことはできません。

自社の制度設計をきちんと見直してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第1回経営者勉強会

日時:平成28年12月20日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(昼食代):1500円

 

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾15:社内体制の整備6(残業代請求)

近時、いわゆる未払残業代を請求される事案が増えています。

かなり高額の請求がなさるケースもあるようで、中小企業にとっては、経営の存続にかかわるような大きなダメージを与える可能性があります(もちろん、本来、会社が支払っておかなければならないものですが。)。

 

さて、「いわゆる」未払残業代と記載したのは、法律上「残業代」という概念が存在していないからです。

労働基準法上は、「労働時間を延長し、または休日に労働させた場合においては・・・割増賃金を支払わなければならない」(労働基準法37条1項*)と規定しており、法律上は、あくまでも未払「割増賃金」請求です。

この割増賃金の典型が残業代ですが、上記の定義にもあるように、労働時間を勤務時間前に延長した場合、すなわち、早出の場合や、休日労働の場合にも割増賃金の支払義務が生じることになります。

 

そして、この割増賃金の基準となる「労働時間」に関する規定は、労働基準法32条にあります。

労働基準法32条は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない(1号)」「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない(2号)」と規定しています。

 

結局のところ、いわゆる残業代請求とは、「労基法上の、1日8時間、1週40時間の上限を超えた労働(時間外労働)を行った場合、割増賃金の支払義務が生じているにもかかわらず、これを支払っていない」会社に対し、この支払いを求めていくもの、ということになります。

 

なお、この労働基準法32条の「労働時間」としてカウントできるか否かについて、最高裁は、「労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否か」で、判断しています(最判平成12年3月9日、民集54巻3号801頁、三菱重工長崎造船所事件)。

(弁護士 國安耕太)

 

*労働基準法37条1項

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

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起業塾14:社内体制の整備5(試用期間終了時の本採用拒否)

会社が、労働者と労働契約を締結する際、試用期間が設けられることがあります。

試用期間とは、採用後に従業員としての適格性を観察・評価するために会社が設ける期間をいいます。

そして、試用期間中における会社と仮採用の従業員との関係は、「解約権留保付労働契約」であるというのが判例です*1。

 

ここで、重要なのは、解約留保付きの「労働契約」であるということです。

すなわち、たとえ試用期間満了時の「本採用拒否」であったとしても、これは採用の問題ではなく、労働契約の解消の問題=解雇の問題ということになります。

従業員の解雇に関しては、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たさない限り、無効になります*2。

 

ただし、判例は、「留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない」としており、本採用後の)通常の解雇よりも広い範囲において解雇の自由を認めています。

 

以上をまとめると、試用期間満了時の本採用拒否は、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、通常の解雇よりも広い範囲で認められているものの、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たしていなければならない、ということになります。

 

試用期間満了時の本採用拒否であるとしても、自由にできるものではない、ということに注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

最判昭和48年12月12日(民集27巻11号1536頁、三菱樹脂事件)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/931/051931_hanrei.pdf

 

*2

労働契約法16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

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申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

 

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起業塾13:社内体制の整備4(解雇権濫用法理)

会社と労働者との間の労働契約が解消される場面としては、つぎの5つが存在します。

①契約当事者の消滅、死亡

②包括的同意(定年に達するなど一定の事由が発生すると当然に労働契約が終了するもの。「当然退職」)

③個別的同意(一般的に、労働者が退職を申込み、使用者が承諾する形で、双方の合意により労働契約を終了させるもの。「合意退職」)

④労働者の単独行為(労働者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「辞職」)

⑤使用者の単独行為(使用者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「解雇」)

 

このうち、もっとも問題となるのが⑤使用者の単独行為である解雇の場合です。

 

法律上、解雇は自由に出来るのが原則です。

労働基準法19条は解雇制限、20条は解雇予告手当に関する条文ですが、いずれも時期等の要件を満たせば、解雇は可能であることを前提としており、解雇そのものを禁止するものではありません。

 

しかし、実際は、判例上解雇権濫用法理が確立されており、現在では労働契約法16条も「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」として、事実上解雇を制限しています。

 

このように従業員の解雇には、大きな制約が課せられています。

そのため、従業員を解雇するにあたっては、社会保険労務士や弁護士等、外部の専門家に相談のうえ、慎重に判断する必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

*経営者交流会「落合会(仮称)」を開催いたします。

開催日時:11月9日(水)19:00~21:00

会場:五反田ワイン酒場「マルミチェ」2F

住所:品川区西五反田1-4-8

定員:36名

参加費:6000円前後

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

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起業塾12:社内体制の整備3(労働契約と業務委託契約)

会社との間で締結される労働の提供に関する契約の典型は、労働契約ですが、このほかに、会社の外にいる者を活用する契約として、請負契約、業務委託契約、派遣契約等も存在します。

通常、このような会社の外にいる者は、当該会社の労働者とはなりません。

しかし、業務の態様によっては、当該会社の労働者であるとして、残業代請求や解雇無効確認請求がなされることがあります。

いわゆる偽装請負、偽装派遣の問題です。

 

そのため、会社としては、どのような場合に自社の「労働者」とみなされるのか、その判断基準、いわゆる労働者性の判断基準を押さえておく必要があります。

 

まず、外形上の契約形態のみによって判断されるものではありません。すなわち、契約の名称では、労働者かどうかの判断はできず、実質的に労働契約といえるかどうかで判断されます。

もちろん、契約の名称は一つの判断材料にはなります。

しかし、たとえば、契約書の名称が業務委託契約や請負契約であったからといって、必ず労働者ではないと判断されるわけではありません。

 

そこで、過去の裁判例では、実質的に労働契約といえるかどうかを、指揮命令関係があるか否かで判断しています。

具体的には、①諾否の自由の有無、②業務遂行上の指揮監督の有無、③時間的・場所的拘束性の有無、④労務提供の代替性の有無、⑤報酬の労務対償性の有無等を総合的に考慮して、指揮命令関係の有無が判断されます。

 

業務委託契約や請負契約を活用している会社は、上記考慮要素に照らして、自社の契約が労働契約とされるおそれはないか、一度きちんと確認してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*経営者交流会「落合会(仮称)」を開催いたします。

開催日時:11月9日(水)19:00~21:00

会場:五反田ワイン酒場「マルミチェ」2F

住所:品川区西五反田1-4-8

定員:36名

参加費:6000円前後

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

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起業塾11:社内体制の整備2(労働条件明示義務)

会社が、労働者と労働契約を締結する場合、会社は労働者に対し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条1項)。

 

そして、つぎの6項目に関しては、書面で明示しなければなりません(労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条2項・3項・1項1ないし4号の2)。

①労働契約の期間に関する事項

②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

⑤賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 

また、つぎの⑨項目に関しても、書面または口頭等で明示しなければなりません(労働基準法15条1項、労働基準法施行規則1項)。

①昇給に関する事項

②退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

③臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項

④労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

⑤安全及び衛生に関する事項

⑥職業訓練に関する事項

⑦災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑧表彰及び制裁に関する事項

⑨休職に関する事項

 

この労働条件明示義務に違反した場合、会社は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(労働基準法120条1号・15条1項)。

また、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができるとされている点にも注意が必要です(労働基準法15条2項)。

(弁護士 國安耕太)

 

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起業塾10:社内体制の整備1(労働契約と雇用契約)

会社がその事業を発展させていくためには、優秀な従業員を確保し、継続的に事業を担ってもらうことが必要不可欠です。

その際に、会社と従業員との間で締結される労働の提供に関する契約が、労働契約です。

 

ここで、「あれ?労働契約という言葉も聞いたことがあるけれど、雇用契約という言葉もあったような気がする。」

という方もいらっしゃるかもしれません。

 

そうなんです。

労働契約という概念とは別に、雇用契約という概念もあります。

 

まず、雇用契約とは、「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する」契約です(民法623条)。

これに対し、労働契約とは、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって成立する」契約です(労働契約法6条)。

 

定義だけ見ると、「同じものなのでは?」と思うかもしれませんが、厳密には、労働契約と雇用契約とは別のものです。

ただ、会社と従業員との間で締結される労働の提供に関する契約は、一般的には、労働契約かつ雇用契約です。

そして、労働契約に該当する場合、労働契約に関する規定が雇用契約に関する規定に優先して適用されます。

そのため、通常、両者を区別する必要は、あまりありません。

 

しかし、労働契約法や労働基準法は、同居の親族のみを使用する場合には、適用されない旨を明記しています*。

そのため、同居の親族のみを使用しているような会社の場合は、労働契約ではなく、雇用契約として、民法の規定のみが適用されることになります。

 

なお、労働契約に該当する場合、労働契約法のほか、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、最低賃金法、労働安全衛生法等様々な労働にまつわる法律による規制を受けるので注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

*

労働契約法22条2項

この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

 

労働基準法106条2項

この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

 

*第10回JSH交流会(ミニセミナー付き)を開催いたします。

『人事・総務・法務のための交流会』

開催日時:10月21 日(金)19~22時

場所:フレンチバル&レストランジェイズ

TEL 03-3365-0341

東京都新宿区歌舞伎町1-1-16 テイケイトレードビルB1

参加資格:人事、総務、法務担当者の方など(経営者、役員、管理職の方もご興味のある方ならOK)

定員:30名

会 費(飲食代込み):6000円

 

*経営者交流会「落合会(仮称)」

開催日時:11月9日(水)19:00~21:00

会場:五反田ワイン酒場「マルミチェ」2F

住所:品川区西五反田1-4-8

定員:36名

会費:6000円前後

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan PlazaⅡ7F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー㈱セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

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起業塾9:知的財産権の活用5(著作権法)

著作権法は、著作物ならびに実演、レコード、放送および有線放送に関し著作者の権利およびこれに隣接する権利を保護する法律です(著作権法1条)。

著作権法が主として規定しているのは、著作物に関する著作者の権利ですが、この定義のとおり、著作者の権利に隣接する権利(著作隣接権)についても規定されているのが特徴です。

 

ここで著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいい(著作権法2条1項1号)、著作物を創作する者を著作者といいます(著作権法2条1項2号)。

 

そして、著作権法は、著作者は、著作者人格権および著作権を享有すると定め(著作権法17条1項*)、著作者人格権(18条以下)と著作権(21条以下)をそれぞれ規定しています。

 

著作者人格権は、著作物を公表するかどうか(公表権、18条)ならびに公表示に氏名を表示するかどうか(氏名表示権、19条)を決定できる権利および著作物の内容を改変されない権利(同一性保持権、20条)があります。

 

一方、著作権は、複製権(21条)、公衆送信権(23条)、翻案権(27条)等様々な10の権利の集合体で、それぞれの権利を個別に譲渡することも可能です。

 

そして、著作権者(譲渡されない限り、著作者が著作権者です。)の許諾を得ずに、著作権の対象となる行為をした場合、著作権侵害となります。

 

なお、著作権侵害がなされた場合、著作権者は、差止請求(著作権法112条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(著作権法115条)等をすることが認められています。

 

著作権は、権利の対象が広く、また、著作権の制限規定(30条以下)や著作隣接権が存在している等、様々な考慮をする必要があります。

自社にかかわる権利をきちんと管理するとともに、著作物を利用する際は、権利関係をよく調査・確認するようにしてください。

(弁護士 國安耕太)

 

*

著作権法17条1項

著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。

 

*第10回JSH交流会(ミニセミナー付き)を開催いたします。

『人事・総務・法務のための交流会』

開催日時:10月21 日(金)19~22時

場所:フレンチバル&レストランジェイズ

TEL 03-3365-0341

東京都新宿区歌舞伎町1-1-16 テイケイトレードビルB1

参加資格:人事、総務、法務担当者の方など(経営者、役員、管理職の方もご興味のある方ならOK)

定員:30名

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起業塾8:知的財産権の活用4(商標法)

商標法は、特定の商品またはサービスを示すマーク等(標章)*を保護する法律です。

 

商標法は、商標権者は、登録商標の使用をする権利を専有する(商標法25条本文)と定め、商標権者に一定期間(10年)、その商標を独占的排他的に使用できる権利を認めています。

そのため、第三者が権原なく、商標を使用した場合、商標権侵害に該当します。

 

ただ、実務上、登録商標の無断使用が問題となる場面は、そう多くはありません。

 

すなわち、商標法は、商標を使用する専用権の範囲に入る行為ではないが、その範囲に他人が入り込む蓋然性の高い行為を捉えて侵害とみなし、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条1号)。

そのため、登録商標に類似する標章の使用も禁止することができるのです。

 

また、商標法は、侵害の予備的行為も侵害とみなして、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条2号等)。

 

したがって、実務上は、登録商標に類似するといえるか、が争われることがほとんどです。

 

なお、商標権侵害がなされた場合、商標権者等は、差止請求(商標法36条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(商標法39条、特許法106条)等をすることが認められています。

 

以上のことから、何らかの標章を使用する際は、当該標章が登録されていないか、調べておいた方が無難です。

そして、類似か否かの判断は、専門家の間でも意見が分かれることも珍しくありません。できれば事前に専門家に相談しておくことをお勧めします。

また、自社のブランド戦略として、社名や商品名の商標権を取得する、ということも検討してみても良いと思います。

(弁護士 國安耕太)

 

*

商標の典型例は、マークですが、その他にも文字や色彩、音等も商標となりえます。

商標法2条1項

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

 

*第10回JSH交流会(ミニセミナー付き)を開催いたします。

『人事・総務・法務のための交流会』

開催日時:10月21 日(金)19~22時

場所:フレンチバル&レストランジェイズ

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起業塾7:知的財産権の活用3(意匠法)

意匠法は、物品のデザイン(形状、模様、色彩等)を保護する法律です*1。

 

意匠法は、「意匠権者は、業として登録意匠およびこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する」と定め(意匠法23条本文)、意匠権者に一定期間(20年)、その意匠を独占的排他的に使用できる権利を認めています。

前回取り上げた特許と異なり、意匠の場合は、「類似する意匠」にまで専有権が認められています。

そのため、第三者が権原なく、登録意匠を実施*2した場合だけでなく、類似する意匠を実施した場合も、意匠権の直接的な侵害なります。

 

また、意匠法においても、侵害の予備的行為も侵害とみなして、その行為を禁止する権利を認めています(意匠法38条)。

 

そして、意匠権侵害がなされた場合、意匠権者等は、差止請求(意匠法37条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(意匠法41条、特許法106条)等をすることが認められています。

 

なお、意匠の類否は、「需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする」(意匠法24条2項)とされていますが、その判断は容易ではありません。できれば事前に専門家に相談しておくことをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

意匠法2条1項

この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

 

*2

意匠法2条3項

この法律で意匠について「実施」とは、意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいう。

 

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起業塾6:知的財産権の活用2(特許法)

特許法は、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものである発明を保護する法律です。

 

特許法は、「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。」(特許法68条)と定め、特許権者に一定期間(原則20年)、その特許発明を独占的排他的に実施できる権利(排他的独占権)を認めています。

そのため、第三者が権原なく、特許発明の実施をした場合、特許権侵害に該当します。

 

また、特許発明を実施したときのように直接侵害行為を行う場合だけでなく、侵害の予備的ないし幇助的な行為についても、侵害とみなされます(特許法101条)。これは、このような行為を放置しておくと、侵害を誘発する蓋然性が極めて高く、かつ侵害が生じてからでは侵害を補足することが困難であるために設けられた規定とされています。

 

そして、特許権侵害がなされた場合、特許権者等は、差止請求(特許法100条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(特許法106条)等をすることが認められています。

 

なお、発明には、①物の発明、②方法の発明、③物を生産する方法の発明の3種類がありますが(特許法2条3項)、①物の発明および③物を生産する方法の発明の場合、輸出入、譲渡等の行為も実施にあたります。

そのため、商品の輸出入、転売等を業として行っている場合は、当該商品が特許権を侵害していないか、慎重に検討する必要があります。

(弁護士 國安耕太)

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*弁護士ドットコムの取材を受けました。

従業員間の守秘義務について記載しています。

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起業塾5:知的財産権の活用1

起業したての会社にとっても、知的財産戦略はとても重要です。

 

普段、私たちが目にしている商品やサービス(役務)には、様々な知的財産権が用いられています。

財産権は、形のある動産や不動産が一般的ですが、人間の精神活動の結果として創作される技術やブランド、アイデア等無形のものの中に、財産的価値が見出されるものがあります。

このような人間の知的な活動から生じる創造物に関する権利を総称して、知的財産権と呼んでいます。

 

たとえば、フォルクスワーゲン社の自動車。

フォルクスワーゲン社の自動車には、VとWを組み合わせたマーク(標章)があります。この標章は、特許庁に登録することで、商標法上の「商標権」の対象となります。同じく、自動車本体のデザインも、特許庁に登録することで意匠法上の「意匠権」の対象となります。

また、自動車の製造には、数多くの技術が用いられており、これらの技術は、特許庁に登録することで、特許法上の「特許権」や実用新案法上の「実用新案権」の対象となります。

さらに、自動車を作動させるためのプログラムは、著作権法上の「著作物」に該当すれば、「著作権」の対象となります。

このように、1つの商品だけでも、商標権、意匠権、特許権および著作権といった、様々な知的財産権が組み合わされて用いられています。

 

知的財産の保護が不十分な場合、自社の技術やブランドを無断で使用されたり、偽物の商品が出回ることを止めることができない等のリスクが生じえます。

また、他社の情報をきちんと調査しないまま研究開発を進めた場合、他社の特許権や商標権と抵触して、研究成果を製品化できなかったり、他社から損害賠償を請求されてしまう、といった事態も考えられます。

 

ぜひ一度知的財産戦略について、考えてみてください。

(弁護士 國安耕太)

*弁護士ドットコムの取材を受けました。

従業員間の守秘義務について記載しています。

https://www.bengo4.com/houmu/n_5068/

 

 

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起業塾4:資本政策の重要性

起業した会社にとって、資本政策をどのように考えるかは、とても重要です。

 

資本政策とは、一般的に、株式公開(上場)に向けて、株主構成や資金調達等に関する計画を作ることをいいます。

具体的には、いつ、誰に、いくらで、どのような方法で、いくつの株式を割り当てるのかを計画します。

 

また、株式公開を目指していなかったとしても、数人の仲間で会社を始めるような場合には、きちんと資本政策を考えておく必要があります。

 

なぜなら、資本政策を後からやり直すことが非常に難しいからです。

すなわち、上記のとおり、資本政策とは、いつ、誰に、いくらで、どのような方法で、いくつの株式を割り当てるのか、という問題です。

一度株式を割り当て、株主にした場合、株主を追い出すことは容易ではありません。

 

そして、株主には、様々な権利があります。

単独で行使できる権利(議決権、株主総会における議案提案権等)もありますが、一定数以上の株式を有している場合に求められる少数株主権(帳簿閲覧権、株主総会招集権、解散請求権等)もあります。

 

どの株主に、どのような権利まで認めるのかは、その後の会社の方向性を左右しうるものです。

したがって、起業したての会社であったとしても、資本政策をどのように考えるかは、とても重要といえるのです。

(弁護士 國安耕太)

*弁護士ドットコムの取材を受けました。

従業員間の守秘義務について記載しています。

https://www.bengo4.com/houmu/n_5068/

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起業塾3:取締役って何人必要なの?

旧商法では、取締役は必ず3人以上必要とされていました(旧商法255条)。また、必ず取締役会を設置し、監査役も1人以上選任しなければならないとされていました。

 

これに対し、現行の会社法では、このような規制は撤廃されています。

すなわち、取締役は、1人以上であれば何人でもよく、取締役会の設置や監査役の選任も原則として自由です(会社法326条*1)。

 

ただし、取締役会を設置するためには、取締役を3人以上選任しなければなりません(会社法331条5項)。

また、公開会社等は、取締役会を設置しなければならない(会社法327条1項*2)、取締役会設置会社は、原則として監査役を選任しなければならない(会社法327条2項)といった制限があります。

 

なお、取締役会は、会社の業務執行の意思決定機関であり、この取締役会を設置する一番のメリットは、株主総会ではなく取締役会で決定すれば足りる事項が大幅に増加するという点にあります。

すなわち、逐一株主総会を招集して意思決定をしなければならないとすると、株主にとっても会社にとっても煩雑ですし、迅速な意思決定が阻害されてしまうため、会社にとって重要な事項を除き、取締役会の決議で業務執行が可能となります。

 

自社の状況をみて、取締役を何人選任するのか、取締役会、監査役を設置するのかといった機関設計をどのようにするのか、考えてみてください。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

会社法326条

1 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。

2 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。

 

*2

会社法327条1項

次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。

一 公開会社

二  監査役会設置会社

三  監査等委員会設置会社

四  指名委員会等設置会社

 

**本文とは直接関係がありませんが、以前、起業した会社名のメールアドレスを取得した方が、当該メールアドレスを記載した名刺等を作成した後に、メールアドレスの費用を振り込むのを忘れ、当該メールアドレスを取得できていなかったことが発覚した、ということがありました。あまりないとは思いますが、きちんと手続きが完了しているか、慎重に確認するようにしましょう。

***株式会社全国賃貸住宅新聞社発行の「家主と地主」から取材を受けました(8月号の30ページに掲載されています。)。

 

 

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起業塾2:社名に注意!

起業する際、必ずしも会社等の法人を設立しなければならないわけではありません。

会社等の法人を設立せずに、個人事業主として、事業を展開することもできます。

この場合、基本的には、どのような名前を付けても構いません。

 

ただし、商標登録されている商標と同一または類似の名前や、商標登録されていなくても、著名または周知な他人の名称と同一または類似の名前を使用した場合、商標法違反や不正競争防止法違反となる可能性があります。

商標法違反や不正競争防止法違反となった場合、当該名前の使用差止請求や損害賠償請求を受けることがあります。

 

つぎに、会社等の法人の場合ですが、商標法および不正競争防止法に注意しなければならないのは、個人事業主の場合と同様です。

 

また、基本的には、どのような名前を付けても構いませんが、法律上、会社の名称に関する規制があります。

たとえば、会社法上、「会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。」(会社法6条2項)、「会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。」(同3項)とされています。

 

このように、社名一つにも、様々な法的規制があります。

 

自社の社名を使用し続けることができるのか、きちんと調査してから事業を始めることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*株式会社全国賃貸住宅新聞社発行の「家主と地主」から取材を受けました(8月号の30ページに掲載されています。)。

 

*本文とは直接関係がありませんが、以前、起業した会社名のメールアドレスを取得した方が、当該メールアドレスを記載した名刺等を作成した後に、メールアドレスの費用を振り込むのを忘れ、当該メールアドレスを取得できていなかったことが発覚した、ということがありました。あまりないとは思いますが、きちんと手続きが完了しているか、慎重に確認するようにしましょう。

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起業塾1:弁護士にいつ相談すればいいのか

最近、起業したての方から、いつ、どの段階で弁護士に相談したらよいのか、よく相談されます。

 

このことについては、様々な考え方があると思います。

ただ、私の答えは、可能な限り速やかに、です。むしろ、起業前に相談していただいてもよいと思っています。

 

近年、企業のコンプライアンス(法令順守)が重視されています。

会社の規模が拡大していくにつれて求められる程度は異なるとしても、起業当初であっても、最低限、当該事業が適法であることが必要です。

 

事業を長期間継続していくためには、会社の信用が重要であることは論を待ちませんが、信用というものは築くのには時間と労力がかかり、失うのは一瞬です。

そして、事業が違法であった場合、会社の信用は一瞬で失われ、これを取り戻すのは著しく困難です。

また、医者と同じで、事前の対策よりも、事後に対応をすると、結果的に大きな費用と労力を割かなければならなくなってしまいます。

 

そのような事態にならないよう、これからやろうとしている事業が適法なのか、ぜひきちんと相談してから、起業し、事業を始めることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*株式会社全国賃貸住宅新聞社発行の「家主と地主」から取材を受けました(8月号の30ページに掲載されています。)。

 

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創業支援

1月9日、平成26年度補正予算案が閣議決定され、経済産業省関連の補助金の概要が公表されました。

詳細は、後記URLのとおりですが、創業促進支援等が含まれています。
ただ、予算がそもそもあまり用意されていないことと、金額的に低額な上限が定められていますので、費用、時間、労力を掛けてまで申請するメリットがあるかどうかよく検討する必要があります。
また、上記のとおり、予算があまり用意されていないため、利用を検討する方は、早急に手続きを進める必要があります。
中小企業庁HPhttp://www.meti.go.jp/main/yosan2014/hosei/pdf/sme.pdf
(弁護士 國安耕太)

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