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起業のすゝめ 12 中小企業は上場を目指せ!?
では、最後、3つ目の仕組みです。
会社内部の仕組みを整え、対外的な仕組みを整えることによって、会社としての体制が整うことになります。
しかし、実はこれだけでは、将来的に事業を安定的に伸ばしていくための事業を支える仕組みとしては不十分なのです。
では、会社内部の仕組み、対外的な仕組みのほかにどのような仕組みが必要なのでしょうか?
前回、前々回と話をしてきた会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みは、いずれもハード面の話です。
要するに、後々トラブルとなった際に、解決の指針になるものです。
しかし、いかに立派なハード面の仕組みを整えたとしても、そこに入るソフト面の仕組みを整えなければ、ただの飾りにすぎません。
会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みをきちんと活用するため、役員・従業員を教育するための仕組み、すなわち、役員・従業員に、自分の行っている行為が不正なものなのかどうかを理解させる機会を設けるようにしてください。
多くの経営者は、会社内外の仕組みを作ることで満足してしまい、その仕組みを適正に運用するというところまで考えていません。
ぜひみなさんは、会社内部の仕組み、そして、対外的な仕組みを活用するため、役員・従業員を教育するための仕組みを整えていただければと思います。
(弁護士 國安耕太)
起業のすゝめ 11 中小企業は上場を目指せ!?
2つ目の仕組みは、対外的な仕組みです。
対外的な仕組みは、契約書・約款・利用規約等対外的な契約にかかわる文書を整備することです。
契約は、契約書という書面を交わさなくても、口頭でも成立します。
しかし、口頭では、後々、どのような約束があったのか分からなくなってしまうことがあります。
そこで、契約書という「書面」を作成することによって、契約の内容を証拠化し、将来的な紛争を回避していくことが重要になります。
そして、契約書という「書面」を作成するにあたり、最も重要なことは、自社そして当該取引に適した契約書等を準備することであり、それにつきます。
たとえば、同じ「売買契約書」、「業務委託契約書」や「ライセンス契約書」であったとしても、契約の実態や業種により内容が異なる場合があります。
そのため、本来は、契約実態に合った契約書を作成しなければならないにもかかわらず、定型のひな型を使用して、自社に不利な契約を締結してしまうといったことが珍しくありません。
トラブルを回避するための契約書が、逆に余計なトラブルになってしまう可能性すらあるのです。
毎回ゼロから契約書を作成していると、時間も手間もとても多くかかってしまいますので、ひな形を利用することが悪いというわけではありません。
しかし、ひな形を使用する場合には、自社そして当該取引に、どの条項が必要で、どのような条項が不足しているかを判断し、適切に修正する技術が要求されるのです。
(弁護士 國安耕太)
起業のすゝめ 10 中小企業は上場を目指せ!?
前回、創業当初から、事業を支えるための仕組みづくりをしておく必要がある、ということをお伝えしました。
では、どのような仕組みを整えておけばいいのでしょうか。
整えなければならないのは、大きく分けて3つの仕組みです。
まず、1つ目は、会社内部の仕組みです。
実際、上場するためには、社内規程を整備しなければなりません。
社内規程は、従業員、役員が遵守すべき事項を具体化したものであり、規程の整備は内部統制の浸透や運用にとって重要となります。
社内規程は、大別すると、①基本規程、②組織規程、③人事労務規程、④総務庶務規程、⑤業務規程の5種類に分けられます。
各規程の作成にあたっては、会社のすべての業務を過不足なく網羅していることが必要です。
業務上のルールや処理手順が規程として明文化されていないと、各業務処理に内在する問題点を継続的に改善できず、ノウハウが会社に蓄積されない等の弊害が生じる可能性があります。
また、業務範囲や責任関係が暖昧となり業務に支障をきたす可能性もあります。
このような意味で、社内規定の整備は必要不可欠なものなのです。
(弁護士 國安耕太)
起業のすゝめ 9 中小企業は上場を目指せ!?
さて、前回、最終的に上場するかどうかは、メリット、デメリットを勘案して、総合的に判断すべきですが、上場できるような体制を整えておくという意味では、上場を目指すべきという話をしました。
では、なぜ、上場できるような体制を整えておく必要があるのでしょうか。
このことについては、いろいろな考え方があると思いますが、私は、つぎのように考えています。
会社が、安定的に伸びていくためには、将来性のある事業を行っているだけでなく、事業を支えるための仕組みを整えておくことが必要不可欠です。
どんなに売上があっても、現金が枯渇すれば、会社は潰れます。
実際、1億円以上の売上があるにもかかわらず、うまくいっていない会社はたくさんありますし、何10億の売上があったにもかかわらず、潰れてしまった会社はたくさんあります。
そうならないように、事業を支えるための仕組みづくりが重要なのです。
また、現実問題として、実際にトラブルとなってしまった後に、そのトラブルを解決しようとすると、多大な時間と費用が掛かります。
そのため、仕組みの整備は、できるだけ早く行うことが重要なのです。
(弁護士 國安耕太)
起業のすゝめ 8 中小企業は上場を目指せ!?
先日(平成29年9月13日)、「中小企業の上場戦略~本気で会社を発展させたいなら中小企業は上場を目指せ!!~」というタイトルのセミナーを開催しました。
たしかに、上場することで生じるメリットはたくさんあります。
株主である創業者にとっては、創業者利潤の実現、株式価値の増大というメリットが、会社にとっても、資金調達能力の向上、知名度や信用度の向上、優秀な人材の確保が可能となるというメリットがあるといわれています。
他方、上場することで生じるデメリットもあります。
一般的には、情報の開示義務の発生、創業者の経営権の喪失、上場維持コストの発生というデメリットがあるといわれています。
このように、上場には、メリットもありますが、デメリットもあります。
そのため、すべての会社において、上場することが、ベストなわけではありません。
しかし、本気で会社を発展させたいなら、上場できるような体制を整えなくてはなりません。
最終的に上場するかどうかは、メリット、デメリットを勘案して、総合的に判断すべきですが、上場できるような体制を整えておくという意味では、上場を目指すべきなのです。
(弁護士 國安耕太)