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2019年6月の投稿

取締役の責任とは?7 取締役の刑事責任

犯罪行為に関しては、主として刑法に記載されていますが、会社法上取締役には、特別な刑罰が規定されています。

 

たとえば、取締役は、

①自己もしくは第三者の利益を図りまたは株式会社に損害を加える目的で、

②その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、

10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(特別背任罪、会社法960条1項3号)。

これは、通常の刑法上の背任罪(247条)より重い刑罰を課すことで、株主や会社債権者等会社の利害関係者が、不測の損害を被ることのないよう、取締役の任務違背行為を抑止しようとするものです。

 

また、裁判所や株主総会等で、一定の事項について虚偽の申述を行い、または事実を隠ぺいしたときは、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(会社財産を危うくする罪、会社法963条)。

これも会社の利害関係者が、不測の損害を被ることのないよう、取締役の任務違背行為を抑止しようとするものといえます。

 

このように、会社法上取締役には、特別な刑罰が規定されています。

もちろん、普通に業務を執行している限りは、このような刑罰を科されることはありません。

会社を経営していくにあたっては、取締役の責任の重さをきちんと理解し、適正な業務執行をしていくことが重要といえます。

(弁護士 國安 耕太)

 

 

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取締役の責任とは?6 株主代表訴訟

会社が取締役の責任を追及する場合、監査役が会社を代表するのが原則です。

株主は、監査役に対し、取締役の責任追及をするよう求めることができます。

 

しかし、取締役と監査役の馴れ合いによって、監査役が訴えを提起しない等、うまく機能しない場合があります。

 

そこで定められた制度が株主代表訴訟です。

 

上記のとおり、株主は、監査役に対し、取締役の責任追及をするよう求めることができますが、監査役がこの求めから3か月以内に訴えを提起しない場合は、株主自身が取締役の責任追及の訴えを提起することができます。

これが株主代表訴訟です。

 

なお、株主代表訴訟を提起できる株主は、原則として6か月前から引き続き株式を有する株主に限定されます(会社法847条1項)。

 

また、濫訴を防止するため、株主または第三者の不正な利益を図り、又は当該会社に損害を加えることを目的とする場合には、監査役に対する提訴請求自体ができません(会社法847条1項ただし書き)。

 

このように、不正な行為については、株主から直接責任追及される可能性があります。

(弁護士 國安耕太)

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取締役の責任とは?5 取締役の会社に対する賠償責任

取締役は、会社に対し、任務を怠った(任務懈怠)ことによって生じた損害を賠償する責任を負います(会社法423条1項*)。

 

任務懈怠は、取締役が、会社に対して負ってる善管注意義務(民法644条)および忠実義務(会社法355条)に違反した場合に認められます。

 

ただし、経営にはリスクがつきものであり、会社に損害が生じた場合に常に責任を問われるということになれば、取締役が委縮してしまい、会社にとって効果的な意思決定を行うことができなくなる可能性があります。

 

そこで、取締役の経営判断が会社に損害を与える結果になっても、かかる経営判断が特に不合理・不適切でなければ結果の責任を問われないという「経営判断の原則」が適用されるとされています。

 

具体的には、

①経営判断の基礎となる事実認識に重要かつ不注意な誤りがないこと

②経営判断の過程が合理的であること

③経営判断の内容が通常の企業経営者として明らかに不合理でないこと

という要件を満たしている場合は、会社に損害を与える結果になっても、取締役はかかる結果の責任を問われません。

 

実際、過去の裁判においても、取締役の経営判断に関し「その決定の過程、内容に著しく不合理な点がない限り、取締役としての善管注意義務に違反するものではない」(最判平成22年7月15日、集民第234号225頁)。

 

このように、取締役に任務懈怠がある場合は損害賠償義務を負いますが、それはあくまでも経営判断が不合理・不適切な場合に限られます。

(弁護士 國安耕太)

 

* 会社法423条1項

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

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取締役の責任とは?4 取締役の義務

取締役は、会社に対し、①善管注意義務、②忠実義務、③競業避止義務等の義務を負っています。

 

①善管注意義務

会社と取締役との関係には、民法の委任に関する規定が適用されます(会社法330条)*1。

そのため、取締役は、委任の本旨に従い、その地位にある者に通常期待される注意をもって、委任事務を処理する義務を負うことになります(民法644条)*2。

条文上「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」とされているので、これを一般的に善管注意義務と呼んでいます。

 

②忠実義務

会社法上、取締役は、「法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」(会社法355条)とされており、これを一般的に忠実義務と呼んでいます。

なお、この善管注意義務と忠実義務との関係について、判例は「(忠実義務の規定は)善管義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまるのであつて、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものとは解することができない。」としています(最判昭和45年6月24日、民集24巻6号625頁)。

 

③競業避止義務

取締役は、自己または第三者のために「会社の事業の部類に属する取引」を行うことが制限されています(会社法356条1項1号)。

これを競業避止義務と呼んでいます。

(弁護士)國安 耕太

 

*1 会社法330条

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

 

*2 民法644条

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 

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