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2019年7月の投稿

債権回収と民事執行法改正5

前回、金融機関等に対し、どのような相手方の財産の開示を求めることができるようになった、ということをお伝えしました。

 

このほかにも、重要な改正がなされています。

 

それが、「国内の子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化」と「国際的な子の返還の強制執行に関する規律の見直し」です。

 

国内の子の引渡しの強制執行については、現行法において明文がありませんでした。

そこで、今回の改正では、裁判の実効性を確保しつつ、子の利益に配慮する等の観点から、規律を明確化しています。

具体的には、

(1)裁判所が、執行官に子の引渡しの実施を命ずる旨を決定

(2)執行官が執行場所に赴き、債務者による子の監護を解いて債権者に引渡す

という手続きが明文化されました(民事執行法174条、175条)。

 

つぎに、国際的な子の返還の強制執行については、現行法上、間接強制前置とされていましたが、一定の場合に間接強制を経なくても申し立てられるようになりました(新ハーグ条約実施法136条)。

また、執行の際に、子と債務者が共にいること(同時存在)が必要とされていましたが、これも不要となりました(新ハーグ条約実施法140条)。

 

この改正の根底にあるのは、世界的に、一方の親が子どもを連れ去ることは、原則として違法であり、犯罪となりうるということです。

特に、国外からの連れ去りは、非常に大きな問題となりますので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収と民事執行法改正4

前回、民事執行法の改正により、「債務者以外の第三者からの情報取得手続」が新設され、金融機関等に対し、相手方の財産の開示を求めることができるようになった、ということをお伝えしました。

 

そこで、今回は、具体的に、誰に対し、どのような情報の開示を請求できるようになったのか見ていきましょう。

 

まず、金融機関(銀行、信金、労金、信組、農協、証券会社等)から、①預貯金債権や②上場株式、国債等に関する情報を取得することができるようになりました(207条)。

 

つぎに、登記所から、③土地・建物に関する情報を取得することができるようになりました(205条)。

 

さらに、市町村、日本年金機構等から、④給与債権(勤務先)に関する情報を取得することができるようになりました(206条)。

ただし、給与債権に関する情報取得手続は、養育費等の債権や生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者のみが申立て可能とされているので注意が必要です。

 

この改正により、強制執行がしやすくなることが期待されています。

 

なお、保険に関する情報は、今回の改正では対象外となっています。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収と民事執行法改正3

前回、強制執行手続においては、相手方の財産がどこにあるのかを調査することが重要となってくる、という話をしました。

 

たとえば、差し押さえたい対象が不動産である場合には、その不動産所在地を特定する必要があります。

預金債権である場合には、預金債権の内容および銀行支店名を、売掛先に対する債権である場合には、その債権の具体的内容、売掛先の名前および住所地を特定する必要があります。

動産についても、動産の具体的内容および当該動産の存在する住所地を、特定しなければなりません。

 

当然ですが、これらの情報を、相手方が支払えなくなってから集めるのは至難の業です。

 

ところが、現行法では、裁判所は取引先の保有する財産を調査してはくれず、あくまでも、自分たちで、相手方の財産の所在を調査しなければなりませんでした。

 

そこで、今般、民事執行法を改正し、「債務者以外の第三者からの情報取得手続」を新設し、金融機関等に対し、相手方の財産の開示を求めることができるようになりました。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収と民事執行法改正2

さて、前回、債権回収のポイントは、事前準備・債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることである、ということをお伝えしました。

 

しかし、事前準備・債権管理をいかにきちんとしていたとしても、相手方からの支払いが滞ってしまうことは当然あります。

また、契約内容そのものや、契約の履行に関してトラブルとなってしまうこともあり得ます。

 

このような場合、最終的には訴訟を提起し、裁判所で決着をつけることになりますが、強制的に回収するためには、別途強制執行手続きを経なければなりません。

そして、強制執行手続は、判決をもって裁判所に強制執行の申立てをして、裁判所に相手方の財産を差し押さえてもらい、差し押さえた財産から配当を受けるという過程を経る必要があります。

 

ところが、この場合に、大きな障害となるのが、相手方の財産がどこにあるのかわからないと、相手方の財産を差し押さえてもらうことができない、ということです。

 

相手方の財産がどこにあるのかわからないと、仮に勝訴したとしても、実際に回収することはできないのです。

 

そのため、相手方の財産がどこにあるのかを調査することが重要となってきます。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収と民事執行法改正1

債権回収のポイントは、事前準備・債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることです。

 

債権回収(売掛金の回収)が出来ないことは、会社にとって最悪の事態です。

いかに高額な売掛金が存在しているとしても、会社の現預金が尽きてしまえば、会社は立ち行かなくなってしまいます。

 

しかし、何の準備もせずに、危機状態にある相手方から、債権を回収することなど、基本的にはできません。

 

取引開始前に、相手方の登記事項証明書やインターネットの情報を確認するだけでも、売掛金を回収できないというリスクは低減することができます。

また、取引開始時に、相手方の決算書を分析したうえで、契約書を作成し、担保をとれば、売掛金の回収可能性が上がります。

 

ただし、自社を取り巻く環境は、刻一刻と変化していっていますから、取引開始時には問題がなかったとしても、債権回収時には信用に不安が生じている、ということも珍しくありません。

 

事前準備・債権管理をきちんとするとともに、売掛先の信用不安を表わす徴候(主要な取引先が倒産・契約打切りになった、中心的な社員・従業員が退任・退職した等)を見逃さないよう、こまめに情報収集を行うことが重要です。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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