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2015年4月の投稿

助成金活用のススメ

先日、東京都が、国のキャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)に上乗せして助成金を支給するとの報道がありましたが、その支給要件等が公表されました*1。

 

主な支給要件は、

(1)東京労働局管内に事業所があること

(2)国のキャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)の支給決定を受けること

です。

 

つまり、いまなら、契約社員を正規雇用(正社員)に転換した場合、

国のキャリアアップ助成金(1人当たり50万円)に加えて、東京都正規雇用転換促進助成金(1人当たり50万円)の合計100万円(中小企業の場合)の助成金の支給を受けることができる可能性があるということになります。

 

なお、国のキャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)は、正規雇用等転換制度を就業規則に規定し、アルバイトや契約社員等を正規雇用等に転換した事業所に助成されます*2。

 

ただし、

・転換日前後6か月に事業主都合の解雇等がある

・時間給が最低賃金を下回っている

・残業等の未払いがある

等の場合は、支給を受けることができませんので、注意が必要です。

 

助成金を申請するためには、揃えなければならない必要書類が多く、手続きも複雑です。

助成金の申請を検討する場合には、まずは、社会保険労務士等の専門家に相談してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太、社会保険労務士 村中幸代)

 

*1

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/koyo/hiseiki/tenkan/index.html

*2

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

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ストレスチェック制度の義務化(省令、告示、指針の公表)

繰り返しお伝えしているところですが、本年12月1日から、労働者を常時50人以上使用する事業場は、ストレスチェック制度が義務化されます(改正労働安全衛生法第66条の10・附則第4条)*1*2。

ストレスチェック制度とは、従業員の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施等を事業者に義務付ける制度です。

 

このストレスチェック制度に関し、先日(平成27年4月15日)、厚生労働省から具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針が公表されました*3。

 

詳細は、厚生労働省のホームページでご確認いただければと思いますが、検査の実施については、つぎのとおり規定されています。

 

・①職場におけるストレスの原因に関する項目、②ストレスによる心身の自覚症状に関する項目、③職場における他の労働者による支援に関する項目について、毎年1回定期的に検査を行わなければならない。

・検査の実施者は、医師または保健師のほか、厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師または精神保健福祉士とする。

・検査を受ける労働者について、解雇などの直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施の事務に従事してはならない。

・事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合、この結果の記録を作成し、5年間保存しなければならない。

・検査結果は、検査の実施者から、遅滞なく労働者に通知しなければならない。

・検査の実施者が、検査結果を事業者に提供することについて、労働者から同意を取得する場合は、書面または電磁的記録によるものでなければならない。

 

このように検査の実施だけをみても、会社は多くの規定事項を踏まえて実施いなければなりません。

そのため、多くの会社では、独自でシステムを構築するのではなく、EAP(Employee Assistance Program:メンタル面から従業員を支援するプログラム)を提供する専門会社の支援を受けることになると思います。

ただ、EAP会社の質や料金には、かなり差がありますので、導入の際には注意深く検討するようにしてください。

(社会保険労務士 村中幸代、弁護士 國安耕太)

 

*1

本年12月からストレスチェックが義務化されます!

*2 https://north-blue-law.com/blog-child/%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%ab%e3%83%98%e3%83%ab%e3%82%b9%e5%af%be%e7%ad%96%e3%81%ae%e9%87%8d%e8%a6%81%e6%80%a7/

*3

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html

 

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第6回JSH交流会(人事・総務・法務のための交流会)を開催しました!

昨日(4月16日)、社会保険労務士の青木先生と「第6回JSH交流会(人事・総務・法務のための交流会)」を開催しました。

◆第一部 ミニセミナー「労務管理と人事制度」
◆第二部 交流会(フレンチバル&レストランジェイズ)

総務、人事、法務の各部門の責任者や担当の方、経営者の方を中心にお酒を飲みながらの情報交換の場です。

今回は、総勢28名に参加していただき、また、弁護士・社会保険労務士のほか、税理士や一級建築士などの専門家も参加しており、有意義で、かつ楽しい交流会となりました。
次回、第7回JSH交流会は8月6日(木)19時~を予定しております。ぜひご参加ください。

なお、写真は私が話をしているところですが、毎回ミニセミナーの講師は、ゲストスピーカーをお呼びしています。

(弁護士 國安耕太)

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未成年者の事故と親の責任

たとえば、未成年者が自転車に乗っていて、高齢者をはねて怪我をさせてしまったような場合、誰がその責任を負うのでしょうか。

 

まず、未成年者に責任能力(小学校卒業程度の判断能力)がある場合は、原則として、当該未成年者が責任を負います。

 

他方、未成年者に責任能力がない場合は、親権者である親が責任を負うことになります(民法714条1項本文*1)。

ただし、この場合、親が監督義務を怠らなかったような場合は、責任を負いません(民法714条1項ただし書き)。

 

そして、この親の監督義務について、先日(平成27年4月9日)、最高裁は、つぎのような判断を示しました*2。

 

「責任能力のない未成年者の親権者は、その直接的な監視下にない子の行動について、人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務がある」

「親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は、ある程度一般的なものとならざるを得ないから、通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は、当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない」

 

本事案において、原審は、両親に損害賠償義務を認めていましたが、最高裁は、上記のとおり判示し、損害賠償義務を否定しました。

本事案は、小学校の校庭で、フリーキックの練習をしていたところ、蹴ったサッカーボールが、ゴールを外れ、たまたま校門の外に出てしまい、折から自動二輪車を運転していた被害者が、そのボールを避けようとして転倒した、というものであることにかんがみれば、妥当な判断ではないかと思います。

 

ただ、本事案を離れれば、未成年者の行為態様によっては、親が責任を負わなければならないことも十分考えられますから、事前にきちんと対策をしておくことが重要でしょう。

 

なお、本件では、問題とされていなかったようですが、ゴールに向かってボールを蹴るという通常の行為をしているだけにもかかわらず、校門の外に出てしまうような構造自体が、通常有すべき安全性を欠いていたとして、工作物責任(民法717条)を問う余地はあったのではないか、とも思います(工作物責任については、当事務所4月3日付けブログ*3をご覧ください。)。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

民法714条1項

「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」

 

*2

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/032/085032_hanrei.pdf

 

*3

【雑感】プロ野球観戦と損害賠償

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労災事故と労働災害保険

3月20日、大阪地方裁判所は過労自殺した社員の勤務先に約1億円の損害賠償を命じました。原告は、時間外労働時間が月約113~254時間にも及んでいたと主張しています。

http://www.sankei.com/west/news/150320/wst1503200053-n1.html

 

労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 」と定め、また過労死・過労自殺に関する代表的な裁判例である最高裁判所第二小法廷平成12年3月24日は、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」としています。

具体的には、労働者の心身の状況に応じ、長時間労働の抑制、配置転換、休暇の付与、配置人員を増やす、業務体制を見直すなどの措置をとらなければいけません。

これらの義務に違反したことにより健康被害、死亡や自殺が発生したとされる場合には、使用者は損害賠償義務を負います。

 

一方、労働者を1人でも雇用している場合、その使用者はごく一部の例外を除いて労災保険に加入しなければなりません。

しかし、労災保険から支払われる額は、本来損害賠償できる額の一部でしかありません。特に、慰謝料は支払の対象ではありません。

 

従業員が亡くなるような重大事故の場合、慰謝料が極めて高額になります。

そして、労働安全衛生法が改正され、今年12月1日より従業員の医師・保健師などによるストレスチェックが義務化されることに伴い、使用者の負う義務はますます重くなっていく可能性があります。

 

このようなリスクに対応するものとして労働災害総合保険(法定外補償保険・使用者賠償責任保険)があります。これは、労災保険がカバーしない部分について支払対象とする保険です。

 

そもそも労災事故が起きないことが望ましいのはもちろんですが、近時の裁判例の動向を踏まえますと、万一に備えて労働災害総合保険への加入も検討すべき時代になったと言えるでしょう。

(弁護士南部弘樹)

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無期転換の例外

今月1日から、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)が施行されています(*1)。

これは、同一の使用者との間で有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換されるという労働契約法18条(*2)の例外を定めたものです。

 

特例の対象者は、

①「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く専門的知識等を有する有期雇用労働者(有期雇用特別措置法2条3項1号)

および

②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者(有期雇用特別措置法2条3項2号)

です。

 

つぎに、特例の効果は、つぎの各期間、無期転換申込権が発生しないというものです(有期雇用特別措置法8条)。

①専門的知識等を有する有期雇用労働者については、一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(ただし、上限10年)

②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者については、定年後引き続き雇用されている期間

 

ただし、いずれも、雇用管理に関する措置についての計画を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、当該計画が適当である旨の認定を受けていることが条件となります。

 

また、専門的知識等を有する有期雇用労働者には、博士の学位を有する者や弁護士・税理士等の士業の他、大学卒で5年以上の実務経験を有するシステムエンジニア等も含まれています。

ただ、年収1075万円以上との要件も課されていますので、対象は相当限定されると思われます。

 

以上のとおり、無期転換の例外は、かなり範囲を限定されています。

システムエンジニアだから、技術者だから、という理由で無期転換を拒むことはできませんので、ご注意ください。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

http://hyogo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/roudoukeiyakuhou/yuukitokusohou.html

 

*2

労働契約法18条1項

「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」

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メンタルヘルス対策の重要性

労働安全衛生法が改正され、今年12月1日より従業員の医師・保健師などによるストレスチェックが義務化されることに伴い、従業員のメンタルヘルス対策が脚光を浴びています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/

 

パワハラによって、従業員のメンタルヘルスに問題が生じると、うつ病に罹患したり、最悪の場合自殺を図るなどの重大な結果が生じることさえあります。

このような場合、パワハラに直接の責任がある上司等だけでなく、会社自体も損害賠償責任を負う可能性があります。

これは、労働契約法5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 」と定められていることなどから、会社は従業員が心身ともに安全に仕事ができる環境を整える義務があるとされていることによります。

 

そのため、パワハラ事案では、会社側が高額の賠償を命じられる事例も相次いでいます。

平成27年3月18日、病院に勤務する医師に対するパワハラによる自殺が問題となった事件において広島高等裁判所松江支部は、病院の運営者に約1億円の支払を命じました。

http://www.nnn.co.jp/news/150319/20150319008.html

また、平成27年1月13日、金融機関に勤務する営業担当職員に対するパワハラによる自殺が問題となった事件において甲府地方裁判所は、金融機関に対し約3480万円の支払を命じています。

http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015011301002529.html

 

今年の12月以降、同種の裁判では、会社側が法令に従ったメンタルヘルス対策をきちんと実行していたかも大きな争点となるでしょう。メンタルヘルス対策の強化は、従業員の生命・健康を守るという観点からだけでなく、多額の損害賠償請求を回避するという観点からもますます重要性が増しているといえます。

(弁護士南部弘樹)

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【雑感】プロ野球観戦と損害賠償

プロ野球が開幕しました。

みなさんの応援しているチームの調子はどうでしょうか。

私の応援しているホークスは、いまいちのようで、少し残念です。

 

さて、そんなプロ野球ですが、先日、観客が、打者の打ったファウルボールで失明した事故に関し、球団や球場等に損害賠償責任を認める判決が出されました(札幌地裁平成27年3月26日判決)。

*http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/019/085019_hanrei.pdf

 

この判決は、

①座席付近の観客席の前のフェンスの高さは、ファウルボールの飛来を遮断できるものではなかったこと

②これを補完する安全対策においても、打撃から約2秒のごく僅かな時間のうちに高速度の打球が飛来して自らに衝突する可能性があり、投手による投球動作から打者による打撃の後、ボールの行方が判断できるまでの間はボールから目を離してはならないことまで周知されていたものではないこと

から、

③設置されていた安全設備は、ファウルボールへの注意を喚起する安全対策を踏まえても、観客の生命・身体に生じ得る危険を防止するに足りるものではなかったというべき(したがって、安全設備等の内容が通常有すべき安全性を欠いており、工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵があった)

として、球団や球場等に損害賠償責任を認めています。

 

本判決は、被害者の救済という観点からは、理解できる部分もあります。

しかし、本判決のように、結局のところ「ファウルボールの飛来を遮断できるか」を基準とされてしまうと、球団等の側として、損害賠償責任を回避するために、球場全体をネットで覆うといった議論になりかねません。

その点で、もう少し配慮があってもよかったのではないかな、と思います。

 

いずれにしても、報道等によれば、本件は控訴されるようですので、高裁でさらなる検討がなされるものと思います。

 

以上のとおり、プロ野球観戦で負傷した場合、球団等が損害賠償責任を負うという可能性があります。

ただ、あくまでも損害の賠償であり、怪我が完治するとは限りません。

球場で観戦する際には、打球の行方に十分注意してください。

(弁護士 國安耕太)

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自転車事故と保険

平成27年3月18日、兵庫県にて、自転車の使用者に保険への加入を義務づける条例が制定されました。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201410/0007427608.shtml

 

自動車については自動車損害賠償保障法で自賠責保険への加入が義務づけられていますが(同法第5条)、自転車については保険への加入を義務づける法令が制定されるのは日本では初めてのことです。

 

このように法令で保険加入を義務づけることの是非については様々な考え方があると思いますが、実際、自転車を運転して交差点(歩行者側青信号)にさしかかった際に横断歩道上を歩行中の被害者と衝突し、被害者が亡くなったという事案において5437万9673円の支払が命じられた例もありますから(東京地方裁判所平成19年4月11日)、自転車事故の加害者になってしまうリスクに対する備えは必要です。

 

この自転車事故は、個別の保険でなくとも、自動車の任意保険に付帯されている個人賠償責任保険によってもカバーされていることもあります。

自動車の任意保険にご加入の方は一度保険証券をご覧になってみてはいかがでしょうか。

 (弁護士 南部弘樹)

 

 

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