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起業塾35:インターネット販売の基礎5(インターネット販売と著作権2)
前回に引き続き、著作権についてです。
著作権法上、著作者とは、著作物を創作する者をいい(著作権法2条1項2号)、著作者は、著作者人格権(著作権法18条1項、19条1項及び20条1項に規定する権利)および著作財産権(著作権法21条から28条までに規定する権利)を享有する(著作権法17条1項)とされています。
したがって、著作権者の許諾なく、著作物を利用する行為は、著作権侵害となるのが原則です(ただし、一定の場合には著作権者の許諾なく著作物を利用することができます。著作権法30条以下)。
そして、著作権は、複製権、上演権等の複数の権利の束(これらひとつひとつの権利を「支分権」といいます。)で構成されています。すなわち、各権利は、個別の独立した権利として存在しているということです。
たとえば、著作権者から、複製の許諾を得ていたとしても、ホームページにアップロード(送信可能化、自動公衆送信)するためには、別途その旨の許諾が必要となります。もし、ホームページにアップロード(送信可能化、自動公衆送信)するための許諾を得ていないのであれば、それは、著作権者の許諾なく、著作物を利用する行為となり、著作権侵害となってしまいます。
同様に、音楽の著作物について、演奏の許諾を得ても、その演奏を録音・録画するためには、別途複製について許諾が必要ということになります。
なお、支分権のうち、インターネット販売との関係で、最も問題となりやすいのは、㋐複製権(著作権法21条、2条1項15号)と㋑翻案権(著作権法27条)という2つの支分権です。
①既存の著作物と全く同一の作品を作出した場合や、②既存の著作物に修正増減を加えているが、その修正増減について創作性が認められない場合は、㋐複製権の侵害になり、③既存の著作物の修正増減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われるに至っていない場合は、㋑翻案権の侵害となります。
このため、他の販売サイトに記載されている商品説明をそのままコピーしたり、多少表現を変更しただけで使用することは、㋐複製権または㋑翻案権の侵害になる可能性が高いです。
したがって、このような行為は、極力避けるべきであるといえます。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第9回経営者勉強会
日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権
参加費(昼食代):1500円
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
起業塾34:インターネット販売の基礎4(インターネット販売と著作権1)
インターネット販売を行う場合、販売のためのウェブサイトを作成することになります。
もちろん、自社のホームページを活用する場合や、楽天のようなインターネット上のショッピングモールで販売する場合等その形態は様々であるとは思います。
しかし、いずれの場合でも著作権に関する知識は欠かせません。
たとえば、商品を販売する際に、カタログ写真をコピーして載せることができるのか、他の販売サイトに記載されている商品説明をそのまま使用できるのか、商品の写真に第三者の著作物が写り込んでいた場合どうなるのか等、インターネット販売を行う際には、著作権が関連してきます。
では、そもそも著作権とは、どのような権利なのでしょうか。
著作権法は、主として著作物に関する規律を定めた法律です。
すなわち、著作物の創作者である著作者に「著作者の権利」(著作者人格権および著作権)を定めることによって、著作者の利益を保護するものです。
つぎに、「著作物」とは一体なんなのでしょうか?
著作権法上、著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号)とされています。
「思想または感情」の表現であることが要求されていますから、思想・感情を表現したものとはいえないもの、単なる事実やデータは著作物にはあたりません。
したがって、たとえば、列車の時刻表や料金表は著作物にはあたりません。
また、「創作的な」表現でなければなりませんから、表現が平凡、かつありふれたものである場合には、創作性が否定される場合があります。
したがって、たとえば、機械の部品などのカタログ写真は、機械のメカニズムを利用して被写体を忠実に再製しただけにすぎず、著作物にはあたりません。
したがって、商品を販売する際に、カタログ写真をコピーして載せたとしても、著作権侵害となる可能性は低いでしょう。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第8回経営者勉強会
日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第9回経営者勉強会
日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権
参加費(昼食代):1500円
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
起業塾33:インターネット販売の基礎3
前回、前々回と、インターネット販売に特有の契約の成立に関する問題をみてきました。
このほかにも、インターネット販売に関しては、通常の取引とは異なる電子商取引特有の規定が設けられていることがあります。
特に注意しなければならない規定として、電子契約法3条があります。
「民法第九十五条ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。」
これだけ読んでも、なにをいっているのかよくわからないかもしれません、
この規定は、要するに、
(1)消費者が申込を行う前に、消費者の申込内容等を確認する措置を事業者側が講じた場合、または消費者自らが確認措置が不要である旨意思の表明をした場合を除き、
(2)操作ミスによる消費者の申込の意思表示は無効となる
ということを明らかにしています。
つまり、(1)の場合を除き、後々、消費者から、
「あれは誤操作だった」(全く申込みを行う意思がないにもかかわらず、操作を誤って申込みを行ってしまった)、「あれは契約内容を勘違いしていた」(操作を誤って申込みの内容を入力してしまったにもかかわらず、それを訂正しないままに内心の意思と異なる内容の申込みであると表示から推断される表示行為を行ってしまったような場合)として、契約の無効を主張されてしまう危険性がある、ということです。
したがって、インターネット販売を行う場合は、このような問題が生じないよう、きちんと消費者の申込内容等を確認する措置を講じておく必要があります。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第8回経営者勉強会
日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第9回経営者勉強会
日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権
参加費(昼食代):1500円
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
起業塾32:インターネット販売の基礎2
前回、契約は、申込の意思表示と、承諾の意思表示の合致によって成立するということを例にとり、インターネット販売では、店舗での販売とは異なった配慮が求められるため、注意が必要であるという話をしました。
その際には触れなかったのですが、実は、法律上、承諾の意思表示の効力発生時期に関する規定があります。
まず、隔地者に対する意思表示は、「その通知が相手方に到達した時」から効力が生じます(民法97条1項)。
ただし、こと契約に関しては、「承諾の通知を発した時」に効力が生じるとされています(民法526条1項)。
したがって、郵送で契約を締結する場合、承諾の通知の発信時に契約が成立することになります。
これが大原則です。
ところが、電子消費者契約および電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法電)4条は、「民法第五百二十六条第一項および第五百二十七条の規定は、隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、適用しない。」と定めています。
そのため、電子商取引の場合は、承諾の通知の到達時に契約が成立することになります。
通常、この違いが大きな問題となることはありませんが、契約の成否が争われた場合等には問題となりうるところですから、インターネット販売を行う方は覚えておくとよいでしょう。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第8回経営者勉強会
日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第9回経営者勉強会
日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権
参加費(昼食代):1500円
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円