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起業塾39:インターネット販売の基礎9(インターネット販売と商標権3)
さて、商標権のラストです。
これまで商標権に関する一般的な話をしてきましたが、今回は、インターネット販売で特に気を付けなければならない点について、解説します。
商標権の効力は、一定の場合に制限されています(商標法26条1項)。
たとえば、自社名と同じ会社名が他人によって登録されてしまった場合に、自社名を使用することが出来なくなってしまうと、自社は営業活動をすることが出来なくなってしまいます。
そこで、「自己の名称を普通に用いられる方法で表示する」場合には、商標権の効力は及びません(商標法26条1項1号)。
このほか、判例上認められた制限もあります。
その1つが、用尽(消尽)論です。
用尽論は、一旦商標権者によって販売等拡布された商品についての商標権は、以後の商品の再譲渡や再販売等については及ばないという理論のことです。
この考え方は、裁判例上も支持されていますが、注意しなければならないのは、 たとえ商標権者から購入した真正商品であっても、これに別途の行為を及ぼした場合には、商標権侵害となる場合があるということです。
たとえば、真正商品を購入してきて、これを小分けし、詰め替えた物に同じ登録商標や類似商標を付して販売する行為は、商標権侵害となります(大阪地判昭和51年8月4日、大阪地判平成6年2月24日等)。
また、並行輸入にも注意しなければなりません。
並行輸入とは、知的財産権者が、外国で製造した真正商品の輸入に関し、当該権利者の総代理店等のルートがあるにもかかわらず、知的財産権者より外国の市場に置かれた商品を現地で購入したうえで、総代理店等を通さずに輸入することをいいます。
しかし、商標法上は、我が国の登録商標の指定商品と同一の商品に、登録商標と同一の商標を付したものを輸入し、国内で販売する行為は、商標権者の許諾がない限り、商権侵害となります(商標法2条3項・25条)。
適法な並行輸入となるよう気を付けなければなりません。
このようにインターネット販売をするにあたっては、商標法上の規制にも注意する必要があります。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
第12回経営者勉強会
日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法(第11回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
起業塾38:インターネット販売の基礎8(インターネット販売と商標権2)
さて、先週に引き続き商標権です。
先週お伝えしたとおり、商標権者等は、自己の登録商標と同一または類似の標章を使用する者に対し、差止請求(商標法36条)等をすることができます。
では、商標の同一性または類似性の判断は、どのように行えばいいのでしょうか。
この点に関して、判例は、
「商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断する」(最判昭和43年2月27日、民集22巻2号399頁、氷山印事件)
「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されない」最判平成20年9月8日、判時2021号92頁、つつみのおひなっこや事件)
としています。
ポイントは、
(1)外観、観念、称呼という3つの要素を考慮して類似性を判断する
(2)その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断する
(3)一部を抽出し、その一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されない
という3点です。
ただ、明らかに似ていないものであればともかく、実際に類似性を判断することは、非常に難しいと思いますので、迷ったときは、弁護士・弁理士といった専門家に相談することをお勧めします。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
第12回経営者勉強会
日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法(第11回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
起業塾37:インターネット販売の基礎7(インターネット販売と商標権1)
さて、先週まで、著作権をみてきましたが、今回からは、商標権です。
インターネット販売を行う場合、著作権と共に問題となってくるのが、この商標権です。
商標法は、商標権者は、登録商標の使用をする権利を専有する(商標法25条本文)と定めています(この専有できる権利を、専用権といいます。)。
そして、かかる専用権の効果として、他人が登録商標と同一の標章を使用することを禁止できる、すなわち排他的独占権が認められています。
また、商標法は、商標を使用する専用権の範囲に入る行為ではないが、その範囲に他人が入り込む蓋然性の高い行為を捉えて侵害とみなし、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条1号)。
すなわち、登録商標に類似する標章の使用も禁止することができます。
さらに、侵害の予備的行為も侵害とみなして、その行為を禁止する権利を認めています(商標法37条2号等)。
したがって、第三者が権原なく、これらの行為をした場合、商標権侵害に該当します。
そして、商標権侵害がなされた場合、商標権者等は、差止請求(商標法36条)、損害賠償請求(民法709条)、信用回復請求(商標法39条、特許法106条)等をすることが認められています。
そのため、何らかの標章を使用する際は、当該標章が登録されていないか、調べておいた方が無難です。
また、自社のブランド戦略として、社名や商品名、インターネットサイトの名称等の商標権を取得する、ということも検討してみても良いと思います。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
第12回経営者勉強会
日時:平成29年7月11日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円
起業塾36:インターネット販売の基礎6(インターネット販売と著作権3)
前回、前々回に引き続き、著作権についてです。
前々回、少し触れましたが、一定の場合には著作権者の許諾なく著作物を利用することができます(著作権法30条以下)。
この中でも特に問題となるのが引用(著作権法32条)です。
条文上、引用は、
「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法32条1項)
と規定されています。
ところが、最高裁(最判昭和55年3月28日、民集34巻3号244頁、パロディ事件)は、条文上明示されていない明瞭区分性と主従関係という2つの要件を用いており、この2つの要件と条文上の文言との関係は必ずしも明らかではなく、学説も錯綜しています。
一つの考え方は、「引用」(32条1項)といえるためには、①公表された著作物であること、②公正な慣行に合致するものであること(明瞭区分性と主従関係)、③報道、批評、研究その他の目的上正当な範囲内でなされること、が必要であるとするものです。
ただ、このように引用にあたるかは、一律に判断することができません。
そのため、安易に引用にあたると判断して、著作権者に無断で他人の著作物を利用するのは非常に危険です。
引用をする場合には、このくらいは大丈夫だろうと自己判断せず、きちんと相談することをお勧めします。
(弁護士 國安耕太)
※「法律を学び、攻めの経営を! 第7回企業法務セミナー※インターネット販売の落とし穴編」を開催いたします。
開催日時:6月21日(水)18:30~21:00(18:15開場)
場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 7F
対象:経営者、総務・法務担当者
定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)
参加費:8000円
*席数に限りがありますので、参加をご希望の方は、お問い合わせください。
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
第8回経営者勉強会
日時:平成29年4月18日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネット上のオンライン契約について(第7回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第9回経営者勉強会
日時:平成29年5月9日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権
参加費(昼食代):1500円
第10回経営者勉強会
日時:平成29年5月23日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと著作権(第9回と同内容です。)
参加費(昼食代):1500円
第11回経営者勉強会
日時:平成29年6月6日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:インターネットと特定商取引法
参加費(昼食代):1500円