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2018年6月の投稿

男女をめぐる法律関係4 内縁

第4回目のテーマは、内縁です。

今回は、「婚姻」と「内縁」についてご紹介します。

 

近年では、結婚に対する意識の変化により、あえて婚姻届を提出しないカップルが増えています。

特に、我が国では、女性側が婚姻により姓を変更する場合が圧倒的に多く、働く女性が婚姻により姓を変更することの不利益を考慮して、あえて婚姻届を提出しないという選択をとることもあるでしょう。

 

法律上の「婚姻」は、婚姻をしようとする者が、夫婦が称する氏その他法務省令で定める事項を届出に記載して、その旨を届け出ることによって成立します(戸籍法74条)。

「婚姻」により、夫婦は、同居協力扶助義務(民法第752条)、婚姻費用(生活費)の分担義務(民法第760条)、日常家事債務の連帯責任(民法第761条)等といった義務を負うほか、相続権(民法第890条)等といった権利を取得します。

 

一方で、実質的に夫婦としての生活をしていたとしても、婚姻届を提出しなければ、法律上は「婚姻」ではなく、「内縁」と呼ばれる関係にすぎません。

 

もっとも、「内縁」は、「婚姻」に準じた関係であると考えられていますので、「内縁」であっても、「婚姻」に関する民法の規定が準用され、「婚姻」と同様に扱われる場面が多々あります。

たとえば、内縁関係を不当に破棄された者は、婚姻関係に準じてその相手方に対して損害賠償請求をすることが判例で認められています。

 

一方で、内縁関係では相続に関する民法の規定(民法第890条)は準用されませんので、内縁の相手方が死亡したとしても、その財産を相続することはできません。

そのため、自分が死亡した後に、内縁の相手方に財産を残したい場合には、基本的には遺言書を作成しておく必要があります。

 

次回は、「離婚の方法と手続き」についてご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

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男女をめぐる法律関係3 再婚禁止期間

第3回目のテーマは、再婚禁止期間です。

みなさんは、女性には再婚禁止期間があるというのをご存知でしょうか。

 

従来、民法では、女性の再婚禁止期間は「前婚の解消又は取消しの日から起算して6か月」、つまり「離婚等をした場合には、6か月間は再婚できない」とされていました。

しかし、女性に一律に6か月の再婚禁止期間を設けることは合理性を欠くものであるとの最高裁判決が出た結果、民法が改正され、平成28年6月7日からは、再婚禁止期間は「100日」に短縮されました(民法第733条第1項)。

 

また、以下のいずれかに該当する場合には、離婚時から100日が経過していなくても、直ちに再婚することができるようになりました(民法第733条第2項)。

(1)前婚の解消又は取消し時に妊娠していない場合

(2)前婚の解消又は取消し後に出産した場合

 

ただし、これらの(1)または(2)を証明するためには、診断をした医師に証明書を作成してもらった上で、婚姻届に当該証明書を添付して戸籍課の窓口に提出する必要があります。

もし、医師の証明書がなければ、離婚時から100日を経過していない場合には、婚姻届を提出しても受理されませんので注意してください。

また、医師に証明書を作成してもらう際には、前婚の解消又は取消日(離婚日等)を申告する必要がありますので、あらかじめ確認して診断を受けるようにしてください。

なお、医師の作成する証明書の様式は、法務省のホームページ* に掲載されています。

 

次回は、「内縁」についてご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

 

*www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00059.html

 

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男女をめぐる法律関係2 夫婦財産契約

前回は、婚姻前に、夫婦間の財産の帰属に関する契約(「夫婦財産契約」)を締結しない場合に、夫婦間の財産の帰属が民法でどのように決められているのかをご紹介しました。

第2回目のテーマは、夫婦財産契約です。

 

我が国では、婚姻届出前に、夫婦間の財産の帰属についてあらかじめ契約を締結しておくことができ、これを「夫婦財産契約」といいます(民法第755条)。

夫婦財産契約を締結しておけば、夫婦財産契約の内容に従って夫婦間の財産の帰属が決まることになり、夫婦間の財産の帰属をあらかじめ明確にしておくことができます。

 

一般的には、夫婦財産契約で以下の内容を決めておくことが多いでしょう。

(1)婚姻前から所有している財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、夫婦の共有にするのか

(2)婚姻中に取得する財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、夫婦の共有にするのか

(3)婚姻費用の負担をどうするのか

(4)離婚の際の財産分与をどうするのか

 

また、夫婦財産契約を利用する際には、以下の3つの注意点があります。

(1)夫婦財産契約は、婚姻届出前に締結しておく必要がある

(2)夫婦財産契約の内容を登記しておかなければ、夫婦間では有効でも、第三者に対しては夫婦財産契約の内容を主張することができない(民法第756条)

(3)原則として、夫婦財産契約の内容を変更することはできない(民法758条第1項)

 

我が国では、夫婦財産契約の存在自体があまり知られていないため、夫婦財産契約を締結することはほとんどないのが実情です。

また、離婚時のことを想定して夫婦財産契約を締結しておくことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、会社を自身で経営されている方にとっては、「株式や会社の不動産等の会社関係の財産が、婚姻前後を問わず自己の所有であること」を明確にしておくことができるという意味で、夫婦財産契約は有効であるといえます。

 

次回は、「再婚禁止期間」についてご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

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男女をめぐる法律関係1 夫婦の財産関係

今回から、男女をめぐる法律関係について、ご紹介していきます。

第1回目のテーマは、夫婦の財産関係です。

 

我が国では、婚姻前に、夫婦の財産関係について、夫婦であらかじめ話し合っておくという人は少ないかもしれません。

みなさんは、夫婦の財産がどのように帰属するのか、ご存知でしょうか。

婚姻前に、夫婦間の財産の帰属に関する契約(これを「夫婦財産契約」といいます。)を締結しない場合には、民法の規定(民法第762条)に従って、夫婦間の財産の帰属が決まります。

 

民法の規定に従うと、一般的には以下の3つに分けられます。

(1)特有財産(夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産で、各自に帰属する財産)

(2)共有財産(共同生活に必要な家財・家具や夫婦の共有名義で取得した財産で、名実ともに共有になる財産)

(3)実質的共有財産(名義は一方に属するものの、婚姻中、夫婦の協力により取得されたことで、実質的には共有になる財産)

 

例えば、夫が婚姻前に購入した不動産は夫の特有財産であり、妻が婚姻前から貯めてきた預貯金は妻の特有財産ですので、婚姻によっても夫婦の共有財産になるわけではありません。

一方で、夫婦が共働きで得た収入で取得した不動産は、夫婦の一方の単独名義になっていたとしても、実質的共有財産であるとして、夫婦の共有に属すると推定されます。

 

夫婦関係が円満である限りは、夫婦間の財産の帰属が問題になることはあまりないかもしれませんが、離婚時に財産分与を行う場合には、当該財産が夫婦の共有財産なのか特有財産なのか、争いになることが多々あります。

 

次回は、契約により、婚姻前後の夫婦の財産関係をあらかじめ契約で決めておくことができるという「夫婦財産契約」をご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

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