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2019年10月の投稿

近時の労働法改正10

パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法に関し、②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化および③行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備という改正もされています。

 

まず、②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化については、事業主は、パートタイム・有期雇用労働者および派遣労働者を雇い入れる際に雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正社員転換の措置等)に関する説明をする義務を負うことになりました(パートタイム・有期雇用労働法14条1項、労働者派遣法31条の2 2項・3項)。

また、パートタイム・有期雇用労働者および派遣労働者は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができることとされました(パートタイム・有期雇用労働法14条2項、労働者派遣法31条の2 4項)。

さらに、説明を求めた労働者に対する場合の不利益取扱いが禁止されています(パートタイム・有期雇用労働法14条3項、労働者派遣法31条の2 5項)。

 

つぎに、③行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備については、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の均等・均衡待遇等に関する個別労使紛争については、各都道府県労働局の紛争調整委員会に対し、無料かつ非公開の調停を申し立てることができるようになりました。

なお、調停委員は、弁護士や大学教授、家庭裁判所家事調停委員、社会保険労務士などの労働問題の専門家が担当し、高い専門性、公平性、中立性のもとで紛争の解決を図るとされています。

 

以上のとおり、パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法についても重要な改正がなされていますので、自社に影響がないか、一度確認してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

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近時の労働法改正9

パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法に関する主な改正点のうち、もっとも重要なのは、①不合理な待遇差を解消するための規定の整備に関する改正です。

 

まず、パートタイム・有期雇用労働法については、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者に関し、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをすることが禁止されています(パートタイム・有期雇用労働法9条)。

また、同一企業内において、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます(パートタイム・有期雇用労働法8条)。

 

一般的に前者を「均等待遇規定」と呼び、㋐職務内容、㋑職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は、差別的取扱いが禁止されます。

同様に、後者を「均衡待遇規定」と呼び、㋐職務内容、㋑職務内容・配置の変更範囲、㋒その他の事情の内容を考慮して不合理な待遇差が禁止されます。

 

どのような待遇差が不合理、差別的取扱いにあたるかは、ガイドラインに示されていますが*、押さえておきたい重要なポイントは、つぎの点です。

 

(1)㋐職務内容、㋑職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は、同様の待遇としなければならない。

(2)㋐職務内容、㋑職務内容・配置の変更範囲が異なっていても、その待遇差が不合理であってはならない。

 

このため、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の間で、待遇差を設ける場合は、慎重に判断する必要があります。

 

実際、過去の裁判では、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の間で、㋐職務内容および㋑職務内容・配置の変更範囲が異なっていたとしても、労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に必要な費用が異なるわけではない通勤手当や、安全運転および事故防止の必要性は同じ無事故手当といった手当を、通常の労働者にのみ支給する規定は、均衡待遇規定に反する不合理なものと判断されていますので、㋐職務内容および㋑職務内容・配置の変更範囲余程の差異がない限り、不合理とされる可能性が高いでしょう。

 

なお、労働者派遣法については、パートタイム・有期雇用労働法と同様の派遣先均等・均衡方式と、一定の要件を満たす労使協定によって待遇を定める労使協定方式のいずれかの方式により、派遣労働者の待遇を確保することが義務化されています。

(弁護士 國安耕太)

 

*  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html

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近時の労働法改正8

来年(2020年)4月1日(中小企業については、2021年4月1日)から、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者および有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が施行されます。

これまでパートタイム労働者に関しては、パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が制定されていましたが、有期雇用労働者もこの法律の対象に含めることとされました。

 

本改正の主な目的は、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることとされています。

 

同様の目的で、労働者派遣法に関しても、改正が行われています。

 

パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法に関する主な改正点は、つぎの3点です。

①不合理な待遇差を解消するための規定の整備

②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

③行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

次回以降、具体的に解説していきます。

(弁護士 國安耕太)

 

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最低賃金が改訂されました

本年(2019年)8月9日、厚生労働省から最低賃金の改訂額が公表されました。

 

東京都および神奈川県で全国初の時給1000円超え、全国加重平均では時給901円となりました。

東京都は1013円、神奈川県は1011円、埼玉県926円、千葉県923円となり、いずれも本日(2019年10月1日)から適用されます。

 

都内を歩いていると、いまだに時給1000円~という求人を見かけますが、本日以降、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」(4条1項)と定める最低賃金法違反となりますので、自社の応募要項を見直しておきましょう。

 

さて、とうとう1000円を超えた最低賃金ですが、10年前の2009年は、東京都は791円、神奈川県は789円、埼玉県735円、千葉県728円でした。

この10年で約25%も上がったことになります。

 

なお、最低賃金に関する規律を定めている最低賃金法ですが、法律自体には具体的な最低賃金の定めはありません。

法律上は、

・厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域ごとに、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(以下「最低賃金審議会」という。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、地域別最低賃金の決定をしなければならない(10条1項)

と定められており、実際には、各都道府県の労働局に設置されている地方最低賃金審議会が、最低賃金を定めています。

(弁護士 國安耕太)

 

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