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経営者のためのコンプライアンス入門

経営者のためのコンプライアンス入門8

さて、起こりがちなコンプライアンス違反例の最後は「飲酒した友人の運転する車に同乗すること」です。

 

まず、道路交通法は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」(65条1項)と規定し、酒気帯び運転を禁止しています。

そのため、お酒を飲んだ後、車を運転すれば、当然、道路交通法の規定に抵触し*、コンプライアンス違反となります。

 

これは、みなさんもご存知のことかと思います。

 

また、注意しなければならないのは、自ら飲酒運転をした場合だけでなく、「飲酒した友人の運転する車に同乗」した場合も、道路交通法の規定に抵触するということです。

 

すなわち、道路交通法65条4項は「運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。」場合も、道路交通法違反となる旨、定めています。

 

昨今の飲酒運転に対する世間の厳しい目を踏まえれば、従業員が飲酒運転をすることは当然防止しなければなりません。

 

また、併せて、「飲酒した人の運転する車に同乗」することも道路交通法の規定に抵触することをきちんと伝え、コンプライアンス違反が生じることのないよう注意してください。

(弁護士 國安耕太)

 

*厳密には、罰則が適用されるのは、あくまでも、酒気を帯びて車両等を違反して運転した場合であって、「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたものに限られます。

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経営者のためのコンプライアンス入門7

さて、起こりがちなコンプライアンス違反例の二つ目は「他社のホームページに掲載されていた文章を無断で使用すること」です。

 

実は、これもコンプライアンス違反となりうる行為です。

もちろん、他社のホームページだけではなく、雑誌や書籍に記載されていた文章でも同じです。

 

他の人が書いた文章は、著作物に該当し、これを無断で使用することは、著作権法違反となる可能性があります。

 

著作権法上、著作者は、著作者人格権(著作権法18条1項、19条1項および20条1項に規定する権利)および著作財産権(著作権法21条から28条までに規定する権利)を享有し(著作権法17条1項)、「その著作物を複製する権利を専有する。」(著作権法21条)とされています。

 

そして、複製とは、「既存の著作物に依拠して、その内容および形式を覚知することができる程度のものを有形的に再製」(2条1項15号)する行為をいいます。

 

このため、他の人が書いた文章を、その著作権者である当該他の人に無断で使用することは、この複製権を侵害するものとして、著作権法違反となる可能性があるのです。

 

なお、たまに、「文章は、多少書き方を変えていれば、無断で使用することも問題ない」といったことを言っている人がいます。

しかし、文章の内容を多少変更した程度では、元の著作物(これを「原著作物」といいます。)の複製となります。

 

また、著作権者は、複製権のほか、翻案*権も有しているため、全く別の著作物と認識できる程度に変えない限り、理論的には著作権法違反となるので注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

* 既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為

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経営者のためのコンプライアンス入門6

さて、前回、経営者としては、コンプライアンス違反が起きないよう注意するとともに、コンプライアンス違反が起きたときにそれをすぐに察知し、対応できる体制を整備することが重要、という話をしました。

 

そこで、今回からは、起こりがちなコンプライアンス違反例を3つほどご紹介したいと思います。

 

まず、一つ目は、「会社から支給されたボールペンを自宅に持ち帰って使うこと」です。

 

実は、これもコンプライアンス違反となりうる行為です。

 

ボールペンくらいならいいのではないか・・・と考える方もいるとは思います。

 

しかし、備品の無断持ち出しは、それがたとえボールペン1本、クリップ1個であったとしても、会社の持ち物を自分の物にしようとする行為ですから、刑法上、窃盗罪(刑法235条)または横領罪(刑法252条)となりえます。

 

ボールペン1本の値段は、100円やそこらですが、たとえ値段は安くても、犯罪にあたりうる行為であることは変わりありません。

 

また、いくら1本100円であったとしても、100円のボールペンを1000人に支給すれば、10万円です。

 

このようなことが積み重なっていくと・・・会社にとって看過しえない影響を及ぼす可能性も決して低くはないといえます。

 

さらにいえば、このような小さいコンプライアンス違反の陰に、大きなコンプライアンス違反が隠れていることも珍しくはありません。

大きなコンプライアンス違反から対処していく必要があるのは当然ですが、大きな違反の対処に目途が立ってきたら、このような細かい部分にもメスを入れていく必要があると思います。

(弁護士 國安耕太)

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経営者のためのコンプライアンス入門5

前回、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)をしていることもあるので、注意が必要である、ということをお話ししましたが、このような事象は会社資金の私的流用に限りません。

 

「会社から支給された携帯で、(家族に掛けるなど)私的な電話すること」

「会社から支給されたパソコンで、私的な調べ物をすること」

も、やってしまいがちな行動かもしれませんが、いずれもコンプライアンス違反となりうる行為です。

すなわち、このように会社から支給された携帯やパソコンは、業務で使用するという目的で支給されているものですから、これを私的に使用することは許されません。

 

他方で、休日や休憩中など勤務時間外であっても、従業員に会社貸与の携帯電話に出るよう求めている会社もあります。

このように、勤務時間外の電話対応を義務付けている場合、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働契約上の役務提供がされていると評価されてしまう可能性があります。

そして、労働契約上の役務提供がされていると評価されたときは、割増賃金(残業代)等の支払が必要となります。

このような場合、実際に割増賃金を支払っていることはないでしょうから、これもコンプライアンス違反となります。

 

無意識であったとしても、コンプライアンス違反は、会社の信用を貶めるリスクがある危険な事象です。

経営者としては、そのようなコンプライアンス違反が起きないよう注意するとともに、コンプライアンス違反が起きたときにそれをすぐに察知し、対応できる体制を整備することが重要です。

(弁護士 國安耕太)

 

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経営者のためのコンプライアンス入門4

ところで、コンプライアンス違反とは、メディアに大々的に報じられるようなスルガ銀行の不正融資事件やかんぽ生命保険の不適切販売事件のような大事件のみを指すものではありません。

実は従業員が、本人も気付かないうちに就業規則や規範に背く行為をしている等、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)を犯しているというケースもよくあります。

 

たとえば、「会社の経費で、自分の車にガソリンを入れた」ような場合に、これが、刑法上どのような犯罪になるかはわからなくても*、会社の財産を不当に奪う行為で、通常許されないものであることは容易に想像がつくと思います。

 

では、「会社のお金を私的に使用し、あとでその金額を補填すること」については、どうでしょうか。

 

これについては

「後日に補填する意思が行為時にあった」

としても、

「横領金員を補填する意思と資力があった」

としても、原則として、違法であり、横領罪(刑法252条)等が成立します。

 

ただし、

(ア)委任の趣旨にかんがみその取り立てた金銭の一時使用を許さないような特別の事情がないこと

(イ)遅滞なくこれを補填する意思があること

(ウ)何時にてもこれを補填し得うる十分な資力のあること

といった要件を満たす場合は、例外的に、違法とはならず、横領罪(刑法252条)等は成立しないとされています(東京高判昭和31年8月9日、判タ62号71頁、窃盗・詐欺被告事件)。

 

要するに、「会社のお金を私的に使用し、あとでその金額を補填すること」は、「外出している際に財布を落として、たまたま持っていた会社のお金を使用し、すぐにこれを補填した」といった特殊な場合以外は、違法な行為であるということです。

 

このように、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)をしていることもあるので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*

権限や職務内容等によって、窃盗罪(刑法235条)、詐欺罪(刑法246条)、背任罪(247条)または横領罪(刑法252条)が成立する可能性があります。

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経営者のためのコンプライアンス入門3

さて、前回お伝えしたとおり、コンプライアンス体制を整備することは非常に重要ですが、コンプライアンス体制の整備をしていたとしても、それだけですべて解決するわけではありません。

 

上場会社をはじめ、多くの会社で、コンプライアンス体制の整備・強化を図るようになってきています。

ところが、そのような状況にもかかわらず、2018年に発覚したスルガ銀行の不正融資事件や、2019年に発覚したかんぽ生命保険の不適切販売事件など、不祥事が次々と発覚しています。

 

不祥事が起きた原因は、それぞれですが、不祥事事件に関する報告書等には、

 

「会社が利益追求主義に走るあまり、社員もまた目先の利益を追いかけ既得権益を守ることに躍起となり、それが体質化してしまった」

「組織の中に不正を監視し合い、指摘する風土がない」

「会社全体に倫理観の麻痺、社会常識の喪失がある」

「縦割組織におけるセクショナリズムやリスク意識の希薄さ」

 

といった原因分析が記載されています。

 

ただ、こういった問題を一気に解決する魔法の手段があるわけではありませんので、対処療法的、一過性の方策ではなく、常日頃から社員や役員に対しコンプライアンスの浸透を図ることが重要です。

 

行動規範集や社内規程など指針となる文書を時代に則した内容にして作り直したり、社員に対するコンプライアンス教育や、監査や内部通報のシステムの強化をしたりするなど対策を行うことを検討してください。

(弁護士 國安耕太)

 

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経営者のためのコンプライアンス入門2

前回、社会貢献、会社の信用やブランド力の維持・向上等、さまざまな要素を勘案して、自社がコンプライアンスとして遵守すべき範囲を定めていく必要がある、という話をしました。

 

確かに、どこまでを範囲に含めるのかは、各会社が決めるべき事柄です。

 

しかし、一方で、必ず範囲に含めて、適切な対応をしなければならないものもあります。

 

その1つは、コンプライアンス体制の整備です。

 

人は、必ずしも正しい行動ばかりをとることができるわけではありません。

 

「これくらいならいいだろう」

「今回だけだから仕方ない」

 

と誘惑に負け、過ちを犯してしまう従業員がいるかもしれません。

 

また、

 

「黙っていれば、誰も気づかないだろう」

「正直に報告したら、怒られるので嫌だな」

 

と処分を恐れ、ミスを隠してしまう従業員がいないとも限りません。

 

もちろん、これらは従業員だけでなく、社長をはじめとした役員であっても同様で、誰にでも起こり得ることです。

 

このように、

 

「現実には必ずしも全ての従業員・役員が常に合理的な行動をとることができるわけではない」

 

という前提で、そのような過ちやミスが起こることを防ぐ仕組み、過ちやミスが発生した場合にこれを早期に発見するための仕組みを構築し、それを適正に運用しておく必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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経営者のためのコンプライアンス入門1

さて、突然ですが、みなさんはコンプライアンスという言葉を聞いたことがありますか?

 

コンプライアンスを直訳すると「法令遵守(順守)」です。

これを、文字通り解釈すると、「法律や(行政)命令を遵守すること」つまり「法令違反をしないこと」となります。

 

では、法令に違反していなければ、何をしてもよいのでしょうか?

 

たしかに、法令に違反していなければ、違法な行為ではありません。

実際、法令に違反していなければ問題はないと、違法すれすれのグレーな行為をしている会社もあります。

 

しかし、現代社会は情報化社会です。

会社の悪い評判は、あっという間に広がります。

会社の規模・業種や問題の種類・内容によっては、「法令に違反していない」としても、それでは世間の理解を得ることができないことが多々あります。

特に、上場会社や会社ブランドを「うり」にする会社が、法の不備をつくような行為を繰り返し行なえば、世間の当該会社に対するイメージが悪化し、株価や会社ブランドを大きく棄損してしまう可能性があります。

 

そのため、現代における会社活動においては、単に「法令に違反していない」だけでなく、世間の理解を得ることが必要不可欠となっています。

 

この結果、いまではコンプライアンス=法令遵守において、

単に「法令に違反していない」

というだけでなく、

「社内規程・マニュアルの遵守や、社会貢献や会社倫理への取り組みを積極的におこない、社会的責任(CSR)を果たす」

ことまでが求められており、消費者も、これらの取組み姿勢に応じて会社を評価・選別するようになってきています。

 

ただ、「コンプライアンスとして遵守すべき範囲はここまでだ」という明確な指標はありません。

 

社会貢献、会社の信用やブランド力の維持・向上等、さまざまな要素を勘案して、自社が遵守すべき範囲を定めていく必要があるのです。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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