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経営者のためのコンプライアンス入門4

ところで、コンプライアンス違反とは、メディアに大々的に報じられるようなスルガ銀行の不正融資事件やかんぽ生命保険の不適切販売事件のような大事件のみを指すものではありません。

実は従業員が、本人も気付かないうちに就業規則や規範に背く行為をしている等、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)を犯しているというケースもよくあります。

 

たとえば、「会社の経費で、自分の車にガソリンを入れた」ような場合に、これが、刑法上どのような犯罪になるかはわからなくても*、会社の財産を不当に奪う行為で、通常許されないものであることは容易に想像がつくと思います。

 

では、「会社のお金を私的に使用し、あとでその金額を補填すること」については、どうでしょうか。

 

これについては

「後日に補填する意思が行為時にあった」

としても、

「横領金員を補填する意思と資力があった」

としても、原則として、違法であり、横領罪(刑法252条)等が成立します。

 

ただし、

(ア)委任の趣旨にかんがみその取り立てた金銭の一時使用を許さないような特別の事情がないこと

(イ)遅滞なくこれを補填する意思があること

(ウ)何時にてもこれを補填し得うる十分な資力のあること

といった要件を満たす場合は、例外的に、違法とはならず、横領罪(刑法252条)等は成立しないとされています(東京高判昭和31年8月9日、判タ62号71頁、窃盗・詐欺被告事件)。

 

要するに、「会社のお金を私的に使用し、あとでその金額を補填すること」は、「外出している際に財布を落として、たまたま持っていた会社のお金を使用し、すぐにこれを補填した」といった特殊な場合以外は、違法な行為であるということです。

 

このように、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)をしていることもあるので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*

権限や職務内容等によって、窃盗罪(刑法235条)、詐欺罪(刑法246条)、背任罪(247条)または横領罪(刑法252条)が成立する可能性があります。

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