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相続と連帯保証
来月19日に、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*。
相続事件を多数手掛ける税理士、司法書士、弁護士がそれぞれの経験と専門的見地から、相続事案を分析・解説します。
ぜひ参加をご検討ください。
さて、相続の際に顕在化する問題として、連帯保証契約があります。
相続が発生すると、預金のような金銭債権は、法定相続分に応じて当然に分割されますが、このとき、借金のような負債も、法定相続分に応じて当然に分割されてしまいます。
これは、たとえ相続人間で、一人の相続人を当該連帯保証債務の債務者と定めた場合であっても同じです。
たとえば、被相続人Aさんの相続人が、BさんとCさんであった場合に、BさんとCさんとの間で、Bさんだけが負債を相続すると合意をしていたとしても、これは当事者であるBさんとCさんとの間でのみ効力が生じるにすぎず、これを債権者に対し、対抗することはできません。
すなわち、対債権者との関係では、Bさんだけでなく、Cさんも相続したものとして、債務者として取り扱われることになります。
もちろん、当事者であるBさんとCさんとの間では、有効な合意となりますから、Cさんが借金を返済したような場合には、その返済額をBさんに求償することはできます。
ただ、上記のとおり、債権者に対しては、支払義務を負ってしまうことになりますので、注意が必要です。
もし、一切の債務を負わないようにするのであれば、相続放棄をするしかありません。
したがって、財産を相続する気がないのであれば、遺産分割協議書で財産を受け取らないようにするのではなく、相続放棄をすることをお勧めします。
正しい知識を持って、円満かつ円滑な相続を目指しましょう。
(弁護士 國安耕太)
*
時間:19時~21時
場所:東京都港区新橋1-18-19
キムラヤオオツカビル7階
会費:2000円(税込)
定員:15名
内縁と相続
来月19日に、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*1。
相続事件を多数手掛ける税理士、司法書士、弁護士がそれぞれの経験と専門的見地から、相続事案を分析・解説します。
ぜひ参加をご検討ください。
さて、法的な婚姻関係にはないものの、夫婦生活を営んでいる場合を、一般的に内縁関係と呼んでいます。
この内縁は、判例上、婚姻に準ずる関係として取り扱われています(最高裁昭和33年4月11日判決、最高裁判所民事判例集12巻5号789頁)。
男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではない、というのが理由です。
したがって、内縁を解消する場合には、離婚における財産分与の規定(民法768条)が類推適用される等、婚姻関係に準じた保護を受けることができます。
しかし、内縁の配偶者が死亡した場合、すなわち、相続が発生した場合については、解釈が異なります。
すなわち、「内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」(最高裁平成12年3月10日判決、最高裁判所民事判例集54巻3号1040頁)として、内縁の配偶者の相続権を否定するのが判例の考え方です。
それゆえ、たとえば内縁の夫が死亡した場合、その妻は、内縁の夫の財産を相続することは出来ない、ということになります(相続人がいない場合は、特別縁故者*2として、相続財産を取得することができることがあります(民法958条の3))。
したがって、内縁の配偶者に財産を残したい場合は、遺言書等を作成しておかなければならない、ということになります。
なお、相続人には遺留分*3という権利がありますので、遺言書等を作成する場合は、専門家にきちんと依頼することをお勧めします。
(弁護士 國安耕太)
*1
時間:19時~21時
場所:東京都港区新橋1-18-19
キムラヤオオツカビル7階
会費:2000円(税込)
定員:15名
*2
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者です。特別縁故者には、家庭裁判所の判断により、相続財産の一部または全部が与えられます。
*3
一定の相続人に留保されていて、遺言による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益。
相続セミナーを開催します!
きたる11月19日、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*。
「うちの家族は仲が良いから」
「相続で揉めるほど財産がないから」
「相続のことを考えるなんてまだ早い」
等の理由で、将来の相続対策をしていない方も多いと思います。
しかし、相続紛争は後を絶たちません。
毎年新規に1万件を超える紛争が家庭裁判所に持ち込まれているという統計もあります。
また、相続紛争の9割が、相続財産の合計額が5000万円以下とも言われています。
このように相続紛争は、どの家族でも起こりうるものであり、そうであるからこそ、相続対策が必要不可欠なのです。
ちなみに、相続が紛争に発展する原因は、大きく分けて2つあります。
1つは、相続人が複数おり、そのうちの一部の者が相続額ないし相続割合に不満を持つ場合です。
そして、もう1つは、相続税を支払わなければならない場合です。
したがって、相続対策を行うにあたっては、①相続トラブル(争続)の回避、②納税資金の確保、そして、③節税という3つの視点を持つことが必要です。
つまり、この①から③の順番で重要度が下がっていきます。
ところが、いわゆる相続対策を行おうとする場合、多くの方が③節税ということに重きを置き、①および②という本来より重視すべき項目を疎かにしてしまいます。
本セミナーでは、弁護士、税理士および司法書士が、それぞれの立場からこの①相続トラブル(争続)の回避、②納税資金の確保、③節税という3つの視点から必要となる相続対策について解説いたします。
お時間のある方は、ぜひお問い合わせください。
(弁護士 國安耕太)
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時間:19時~21時
場所:東京都港区新橋1-18-19
キムラヤオオツカビル7階
会費:2000円(税込)
定員:15名
【雑感】プロ野球と賭博
昨日(2015年10月5日)、現役のプロ野球選手が、野球賭博に関与していたとの報道がありました*1。
この報道が事実であれば、非常に残念です。
さて、この報道によれば、当該選手に関し、刑法の賭博罪(185条*2)と野球協約(177条1項)違反が問題となっているようです。
まず、刑法の賭博罪ですが、結果が偶然の事情にかかっていることについて、財物を賭ける行為(賭博行為)が禁止されています。
当事者の能力が結果に及ぼすような場合でも賭博行為に該当しますから、野球やサッカー等のスポーツや、将棋や囲碁のようなゲームに関し、財物を賭けた場合も賭博行為に該当します。
また、現実に財物を提供していなくても、財物を賭ける行為があれば犯罪として成立します。
そうすると、当該選手は「プロ野球と大リーグの試合でそれぞれ10試合、賭けをした」「最終的に百数十万円の損になっていた」という報道が事実であれば、賭博罪が成立することになりそうです。
つぎに、野球協約違反ですが、野球協約177条1項は、様々な不正行為を禁止しており、これに違反した者は永久失格処分となり、組織内のいかなる職務につくことも禁止されます*3。
ここでの不正行為は、原則として、自己が所属する球団に関するものに限定されています。
たとえば、1号は、「所属球団のチームの試合において、故意に敗れ、又は敗れることを試み、あるいは勝つための最善の努力を怠る等の敗退行為をすること。」を禁止しています。
同様に、賭博行為についても、「所属球団が直接関与する試合について賭をすること。」に限定されています(6号)。
本件では、当該選手が出場していた試合は賭博の対象となっていなかったようですが、所属する球団の試合についても賭博の対象となっていたようですので、野球協約177条1項6号違反で、永久失格処分となる可能性は十分あるといえます。
なお、2010年には、大相撲でも賭博が発覚し、大関らが解雇となる等大きな騒ぎとなりました(ただし、一部の力士に関しては、後に裁判所で解雇無効との判断がされていますので、解雇処分については慎重に判断する必要があります。)。
本件についても、日本野球機構がどのような判断をするのか、永久失格処分(解雇)となった場合に、当該解雇が有効か、今後の推移が気になります。
(弁護士 國安耕太)
*1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151006-00000021-spnannex-base
*2 刑法185条
「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
*3 野球協約177条1項柱書き
「選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の不正行為をした場合、コミッショナーは、該当する者を永久失格処分とし、以後、この組織内のいかなる職務につくことも禁止される。」