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【雑感】採用活動を行っています。
現在、当事務所では、新人弁護士の採用活動を行っています。
かつては、弁護士の数が少なく、いわゆる就職活動というものは存在しなかったようですが、私が修習生になる頃から、本格的に就職活動が行われるようになってきました。
また、小泉改革で司法試験合格者が増大したことにより、就職したいのに就職できない弁護士も出てきています。
そのせいか、当事務所は、まだ弁護士3名の小さな事務所ですが、それでも多くの応募をいただいております。
ただ、その中で、非常に気になることもでてきています。
通常の就職(転職)活動にも応用できると思いますので、備忘録的に失敗例を書き留めておきます。
①募集要項を読んでいない。
当事務所は、意図的に郵送でのみエントリーを受け付けています。
ところが、事務所のEメールアドレスに履歴書を送り付けてくる方がいます。
また、要求している資料をきちんと添付してこない方もいます。
形式的要件を満たしていないのは、論外でしょう。
②志望動機が書かれていない。
確かに、履歴書の書式は自由としています。
しかし、履歴書は、応募者の人となりをみるものです。
単に経歴のみを書いているだけでは、話になりません。
③志望動機がコピペ。
本当に考えて書かれたものかどうかは、読めば一目で分かります。
当事務所は、中小企業法務(リスク管理・労務管理)が専門ですが、単に、「企業法務に興味があるので!」ということが書かれていることが非常に多いです。
しかし、採用側が知りたいのは、応募者のポテンシャルです。
なぜ企業法務がやりたいのか、なぜほかの業務ではないのか、その背景や理由を深掘りしておく必要があります。
この他にもいろいろありますが、これから就職活動をされる方は、少し考えてみてください。
(弁護士 國安耕太)
キャリアアップ助成金が拡充されました。
先日(平成28年2月10日)、キャリアアップ助成金のうち、①正規雇用等転換コース、②多様な正社員コースおよび③人材育成コースが、一部拡充されました*。
①正規雇用等転換コース
正規雇用等転換コースは、転換制度を就業規則に規定し、アルバイトや契約社員等を正社員等に転換した企業に助成金が支給されます。
たとえば、期間の定めのあるアルバイトや契約社員を、2月10日以降に正社員に転換した場合、中小企業では、1人あたり60万円(改正前より10万円アップ)が助成されることになりました。
事業所が東京都にある場合は更に、東京都からも50万円が助成されますので、合わせて110万円の助成となります。
②多様な正社員コース
また、今回の改正では、新たに、多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)を正社員に転換した企業に助成金が支給されることになりました。
たとえば、職務限定正社員を、2月10日以降に通常の正社員に転換した場合、中小企業では、1人あたり20万円が助成されます。
③人材育成コース
さらに、今回の改正では、有期実習型訓練修了後、対象者を正規雇⽤労働者等に転換した場合、OFF-JTにかかる経費助成の上限額が引き上げられました。
具体的には、訓練計画提出の日が2月10以降のものについて、
・100h未満=1人当たり15万円(改正前10万円)
・100h以上200h未満=1人当たり30万円(改正前20万円)
・200h以上=1人当たり50万円(改正前30万円)
と変更されています。
ぜひ会社の発展に、助成金を活用していただければと思います。
なお、助成金を申請するための手続きは複雑で、必要な書類も多くなります。
ご自身の会社で手続きをすることが難しい場合には、専門家である社会保険労務士にぜひご相談ください。
(社会保険労務士 村中幸代)
*
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000112383.pdf
偽装請負に注意しましょう 3
先週、先々週と、労働者派遣と請負の区別に関する厚生労働省の告示をご紹介してきました。
本日は、その3回目です。
(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主、すなわち偽装請負とされてしまいます*1。
では、(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理している、といえるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。
厚労省の告示では、つぎの3つの要件をいずれも満たしていることが必要であるとされています。
(ア)業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。
(イ)業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
(ウ)①自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く)又は材料若しくは資材により、業務を処理しているか、または、②労自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること、のいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
なお、厚生労働省から、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集も公表されていますので、こちらも参考にしてみてください*2。
(弁護士 國安耕太)
*1
労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf
*2
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03_02.pdf
偽装請負に注意しましょう 2
先週、労働者派遣と請負の区別に関する厚生労働省の告示をご紹介しました。
本日は、その続きです。
(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主、すなわち偽装請負とされてしまいます*。
では、(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用している、といえるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。
厚労省の告示では、つぎの3つの要件をいずれも満たしていることが必要であるとされています。
(ア)①労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うことにより、「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(イ)①労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く)を自ら行い、また、②労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く)を自ら行うことにより、「労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(ウ)①労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うことにより、「企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(ア)ないし(ウ)のいずれも、種々の事情を総合的に勘案して判断されることになりますが、大雑把に言えば、業務遂行・労働時間等・企業秩序等に関し、受託者が、自己の従業員(労働者)を自ら指揮命令監督をしていなければならない、ということを意味しています。
なお、(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することについては、次週解説していきたいと思います。
(弁護士 國安耕太)
*労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf