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2020年7月の投稿

感染症と労務管理4

さて、先週まで、新型コロナ等の感染症に基づく休業に関し、休業手当の支払義務が生じるか否かについて検討してきました。   では、休業せずに業務に従事していた従業員が新型コロナに罹患した場合、会社は当該従業員に対し、損害賠償義務を負うのでしょうか。   まず、会社(使用者)は、従業員に対し、安全配慮義務を負っています(労働契約法5条)*。   安全配慮義務とは、会社が負っている従業員が安全で健康に働くことが出来るように配慮しなければならないという義務のことで、労働(雇用)契約書や就業規則に明示されていなかったとしても、労働契約に伴って会社が当然に負うべき義務とされています。   会社は、この安全配慮義務に基づき、従業員が勤務中や通勤中に新型コロナに罹患しないよう必要な措置を取らなければならない、ということになります。   具体的には、新型コロナが接触や飛沫で感染することは広く知られた事実であることから、事業所内を消毒したり、従業員に対しマスク着用・手洗いを呼び掛けたりするなど、新型コロナに罹患しないよう感染防止策を実施する義務があると考えられます。 そのため、これらの感染防止策を怠っていた場合、会社は、安全配慮義務違反を問われる可能性があるといえるでしょう。 (弁護士 國安耕太)   *労働契約法5条 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」  

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感染症と労務管理3

では、つぎに、緊急事態宣言後に、会社が休業することを決定した場合はどうでしょうか。   まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく協力要請(法24条9項)の一環として、休業を要請され、営業を自粛し、労働者を休業させた場合です。   協力要請の一環としての休業要請は、強制力を伴うものではありませんが、法律に基づく要請であることからすれば、休業の原因が事業の外部から発生したということができます。   それゆえ、協力要請の一環としての休業要請をされた場合は、休業手当の支払義務が生じないことが多いと思います。   ただし、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないためには、事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができないといえなくてはなりません。   そのため、テレワーク等で業務を行うことができるような場合は、休業手当の支払義務が生じる可能性があります。   この点について、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」でも、 「・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか ・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか」 との観点から、事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができないといえるかを検討することとされています。   以上のことを踏まえ、休業手当の支払義務が生じるか否か、慎重に判断しましょう。 (弁護士 國安耕太)  

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感染症と労務管理2

さて、前回の続きですが、新型コロナを理由に事業所を閉鎖した場合、不可抗力による休業といえるのでしょうか。   まず、社内感染防止等の観点から、会社が自主的な判断で休業することを決定した場合はどうでしょうか。   新型コロナの発生自体は、会社の事業の外部から発生したものと言うことができると思います。 しかし、新型コロナが発生したとしても、休業するかどうかの判断は、基本的には各会社に委ねられているといえます。 そうすると、休業の原因が事業の外部から発生したとすることは難しいように思います。   このことからすれば、使用者の自主的な判断で休業することを決定した場合、会社には休業手当の支払義務が生じるものと考えられます。   この点について、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」でも、 『自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。』 とされています。 (弁護士 國安耕太)  

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感染症と労務管理1

2020年4月7日、新型コロナウイルス感染症を理由に緊急事態宣言が発令され、5月25日に解除されるまで、多くの企業でリモートワークが導入され、また、従業員の休業措置が採られました。   さて、新型コロナを理由に事業所を閉鎖した場合、従業員に対し、休業手当を支払わなければならないのでしょうか。   労働基準法は、休業手当について、つぎの通り定めています。   *労働基準法26条 「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」   そこで、問題は、新型コロナを理由に事業所を閉鎖した場合、「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたるかどうかです。   この点について、厚生労働省が公表している「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」*では、 「不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。」 「ここでいう不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。」 とされています(4 労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)の問1)。   このため、新型コロナを理由に事業所を閉鎖した場合に、この不可抗力による休業といえるのかを検討する必要があります。 (弁護士 國安耕太)  

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