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業務委託契約の基礎(IT会社の場合)3
先週まで、契約一般についてみてきましたが、今週から業務委託契約についてみていきましょう。
まず、業務委託は、自社で行っている業務の一部を、他社に代行してもらう、いわゆるアウトソーシングの一形態です。
アウトソーシングには、㋐業務を行う人を受け入れる場合と、㋑業務そのものを外部に出す場合とがあると思いますが、このうち業務委託は、後者の場合を指しています*。
ここで注意しなければならないのは、「業務委託」という概念は非常に曖昧なものであるということです。
システムの開発業務委託、システムの保守業務委託、清掃業務委託、経理業務委託、駐車場の管理業務委託、講師業務委託、商品販売業務委託・・・などあらゆる業務を委託することができます。
そのため、一言で業務委託契約といっても、
どのような業務を委託するのか(されるのか)によって、どのような事項を定めておかなければならないのかも変わってきてしまいます。
このように、業務委託契約は、具体的な契約ごとに検討しなければならない事項が異なってくる、というのが最大の特徴です。
(弁護士 國安耕太)
* 前者は、派遣や出向といった形式でなされることが多いです。
業務委託契約の基礎(IT会社の場合)2
先週、契約書には、㋐契約内容の証拠化、㋑契約内容の明確化、㋒民法、会社法等の規定を変更・排除するという効果があるという話をしました。
では、IT会社と締結する業務委託契約書には、どのような内容を定めればよいのでしょうか。
まず、もっとも重要なのは、(1)契約の基本的な条件です。
たとえば、システム開発に関する業務委託契約であれば、どのような内容のシステムを開発するのか、いつまでに開発するのか、その対価(業務委託料)はいくらか、その支払時期はいつかなど、契約の基本となる条件を定めておく必要があります。
つぎに重要なのは、(2)民法、会社法等の規定を変更・排除するものです。
たとえば、システムのプログラムに不具合(瑕疵)があった場合、IT会社は、民法上、瑕疵担保責任を負います。この瑕疵担保責任の期間は、引渡しから1年とされています(民法637条1項)。
契約書に定めることで、この期間を、6か月にしたり、3か月に変更することができます。
また、民法上、損害賠償額に制限はありませんが、これに上限を設けることもできます。
このほか、(3)法律上、特段の定めがない事項や、(4)法律上、定められている事項を確認するもの、(5)実務上の手続きに関するものについて定めることもできます。
契約締結交渉を行うにあたって、(1)契約の基本的な条件や(2)民法、会社法等の規定を変更・排除するものは、当然のことながら重要なものですが、それ以外の事項についても、㋐契約内容の証拠化、㋑契約内容の明確化という意観点から、当事者間で認識に齟齬が生じないよう、できる限り明確にしておきましょう。
(弁護士 國安耕太)
業務委託契約の基礎(IT会社の場合)1
みなさん、突然ですが、そもそも、契約書は、何のためにあるのでしょうか?
契約書を作成しなければ、契約は成立しないのでしょうか?
実は、契約は、契約書という書面を交わさなくても、口頭でも成立します。
たとえば、物の売り買いというのは、法的には売買契約ですが、スーパーでお菓子を買うときに、契約書なんて作成しませんよね?
「契約書を作成していないから、このお菓子の売買契約は無効だ!」なんてことは、当然有り得ないわけです。
このように、世の中には口頭で契約が成立していることが珍しくありません。
しかし、業務委託契約を締結する場合、契約書の締結は必要不可欠です。
では、なぜ、契約書を作成する必要があるのでしょうか。
実は、契約書には、つぎの効果があるとされています。
㋐契約内容の証拠化
㋑契約内容の明確化
㋒民法、会社法等の規定を変更・排除する
口頭では、後々、どのような約束があったのか分からなくなってしまうことがあります。
そこで、契約書を作成することによって、㋐契約内容を証拠化し、どのような約束があったのかを明らかにすることができます。
また、契約書を作成することによって、自分たちがどのような内容の契約をしようとしているのか、㋑契約内容を明確化することができます。
さらに、民法、会社法等の規定は、特約がない場合に補充的に適用されるものであることから、契約書を作成することによって、自己に不利な㋒民法、会社法等の規定を変更・排除することができます。
このように契約書は、非常に重要な意味を持っています。
(弁護士 國安耕太)
ノースブルー総合法律事務所開設5周年(6年目に入りました。)
私事ですが、当ノースブルー総合法律事務所は、平成30年4月1日で、開設5周年を迎え、6年目に入りました。
5年前、パートナー弁護士と2人きりで、だだっ広いオフィスに、折り畳み式の机1個と椅子3脚、家から持ってきた家庭用のファックス付き電話機のみを持ち込み、スタートしました。
当時は、顧問先も3社ほどで、仕事がほとんどなかったため、朝は10時過ぎに事務所に来て、昼寝をしたり、本を読んだりして、だらだら過ごし、夕方5時くらいには、家に帰っていました。
現在は、弁護士が4名となり、事務局2名が所属しているほか、今年の12月にはもう1人新人の弁護士を採用する予定で、当時の状況からすれば、隔世の感があります。
これもひとえに、クライアントおよびご支援いただいているみなさまのおかげです。
厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
これからも、
「クライアントの進むべき道を真っ直ぐ示す道標となる」
との事務所理念の下、
クライアントの抱える悩みを本質的に解決することを、最も大切な使命とし、上記使命を達成するため、
①クライアントのみなさまと温かく充実したコミュニケーションを通じて深い信頼関係を築くこと
②迅速に、クライアントのみなさまの期待を超える成果を挙げるよう全力を尽くすこと
③プロフェッショナルとして、自己研鑽を怠らないこと
を誓約いたします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(弁護士 國安耕太)