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2019年8月の投稿

近時の労働法改正3

本年(2019年)4月1日から、改正労働基準法が施行されています。

主な改正のうち、時間外労働の上限規制とともに、特に中小企業に対する影響が大きいと考えられるものの一つが、月60時間を超える部分の割増賃金率の引き上げです。

 

労働基準法上、使用者が労働者に1日8時間・1週40時間を超える労働をさせた場合、25%の割増賃金を支払う義務があります*1。

たとえば、時給1500円の労働者が10時間労働した場合、通常の給与に加えて、1500円×1.25×2時間=3750円を支払わなければなりません。

 

また、同様に、1か月60時間を超える労働をさせた場合は、50%の割増賃金を支払う義務があるとされていますが、これまでは大企業にのみこの条項が適用され、中小企業に関してはこの条項の適用が猶予されていました。

 

しかし、本改正では、この猶予が撤廃され、2023年以降、中小企業も大企業同様50%の割増賃金を支払う義務を負うことになりました。

 

このため、2023年以降、労働者に60時間を超える時間外労働をさせる場合は注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*1 労働基準法37条1項

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

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近時の労働法改正2

本年(2019年)4月1日から、改正労働基準法が施行されています。

 

主な改正のうち、特に中小企業*1に対する影響が大きいと考えられるものの一つが、時間外労働の上限規制です。

 

本改正では、

(1)時間外労働の上限が、原則として、月45時間・年360時間。

(2)臨時的な特別の事情がある場合、労使が合意をすれば、これを超えることができる。

(3)ただし、その場合でも、(ア)月45時間を超えることができるのは年6か月まで、(イ)時間外労働の合計が年720時間以内、(ウ)時間外労働+休日労働の合計が月100時間未満かつ2~6か月の平均が80時間以内。

とされました(労働基準法36条4項、5項*2)。

 

労働基準法上、労働時間は1日8時間、週40時間までと定められています。

しかし、厚生労働省の通達により、36協定を結べば月45時間、年間360時間までの法定労働時間外の労働が認められており、また、「特別条項付き36協定 」を締結すれば、年6回に限り上限なく時間外労働を行わせることができるようになっていました。

 

本改正は、法律で時間外労働の上限を設け、長時間労働の抑制を図ろうとしています。

 

なお、この上限規制に関しては、自動車運転の業務、建設事業、医師等の職種に関しては、2024年まで適用が猶予されています。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

中小企業かどうかは、資本金の額または出資の総額と常時使用する労働者の数から判断されます。

たとえば、小売業であれば、資本金の額または出資の総額が5000万円以下で、常時使用する労働者の数が50人以下の場合、中小企業となります。

 

*2 労働基準法36条

4 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。

5 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。

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近時の労働法改正1

昨年、労働基準法、労働安全衛生法および労働時間等設定改善法が改正され、本年(2019年)4月1日から施行されています。

 

各法律の主な改正点は、次のとおりです。

 

①労働基準法

・時間外労働の上限規制

・月60時間を超える部分の割増賃金率の引き上げ

・年次有給休暇の取得義務付け

・フレックスタイム制の拡充

・高度プロフェッショナル制度の創設

 

②労働安全衛生法

・労働時間把握義務

・産業医、産業保健機能の強化

 

③労働時間等設定改善法

・勤務間インターバル制度の導入促進

 

これらの改正のうち、特に中小企業に対する影響が大きいと考えられるのが、労働基準法に関する改正です。

時間外労働の上限規制については、2020年4月まで、割増賃金率の引き上げについては、2023年4月までその適用が猶予されていますが、ぎりぎりになって慌てることがないよう、いまのうちにきちんと対応しておきましょう。

 

次回以降、具体的に解説をしていきます。

(弁護士 國安耕太)

 

*8月10日~8月18日まで夏季休業となります。

そのため、次回配信は、8月20日です。

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