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債権回収

債権回収16

さて、どんなに取引先の信用調査を行い、 しっかりした契約書も作成し、万全の体勢で取引が開始できたとしても、それだけでは十分ではありません。

 

その後の与信管理をおろそかにすると、結果的に債権回収に支障が生じてしまうからです。

 

では、与信管理とは、いったいどうすればよいのでしょうか。

 

まず重要なのは、取引先に対し、現在いくらの債権・債務があるかを正確に把握することです。

たとえば、取引基本契約に基づいて、継続的に取引するような場合は、少なくとも注文書・注文請書といった書面を取り交わし、どのような債権・債務が生じているのか、きちんと証拠に残すようにして、現在いくらの債権・債務があるかを正確に把握します。

これをしておかないと、取引先に未払が発生しているのかどうかもわからないからです。

 

つぎに、入金があったらただちに請求額と入金額をつき合わせます。

おおよそ一致しているかどうかではなく、1円単位で一致しているかどうかを確認しましょう。

合理的な理由がないにもかかわらず、請求したのに支払わないというのは、取引先が資金的な問題を抱えているという、もっとも顕著な徴候だからです。

 

また、支払金額の値下げや支払期限(納期)の延期を求めてくるといったことも、危険な兆候の一つです。

 

与信管理は、このような様々な危険な兆候を素早くキャッチするため、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることに尽きるといえます。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収15

つぎに不動産の登記事項証明書です。

 

不動産の登記事項証明書には、権利部(甲区)という記載があります。

 

「権利部(甲区)」には当該不動産の所有権に関する事項が記録されています。

たとえば、甲区欄に取引先ではなく、第三者の名前が記載されている場合には、取引先は不動産の賃貸を受けており、不動産資産を保有していないことを把握することができます。

 

また、甲区欄に取引先の名前があったとしても、国税や他の債権者の差押えが登記されているようなときは、税金や他の債権者に対し、支払いができないほどに資金繰りに行き詰まっていることが分かります。

 

したがって、そのような会社と取引をしても支払を受けられる見込みは薄いですから、その会社との取引は断念すべきといえます。

同様に、代表取締役の自宅に差押えがなされているような場合も、取引先として信用できるか、かなり疑問があるといえます。

 

このほかにも、不動産の登記事項証明書から読み取ることができる情報はいくつもあります。

取引開始前には、不動産の登記事項証明書を取得し、分析しておくことを強くお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

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債権回収14

このほか、法人や不動産の登記事項証明書を読み解くことで、貴重な情報を得られる可能性もあります。

 

まず、法人の登記事項証明書であれば、商号変更の履歴を見るだけで、重要な情報が得られることもあります。

 

たとえば、商号が頻繁に変更されているような会社は、会社が乗っ取られたり、支配権を巡って争いがあったりする可能性があるので、要注意です。

過去ご相談いただいた案件でも、現在の商号をインターネットで検索しても何も出てこなかったが、過去の商号で検索を掛けてみたら、詐欺会社として数多くの書き込みが見付かった、ということもありました。

 

また、本店の記載からも重要な情報が得られることがあります。

たとえば、本店が頻繁に移転している場合には、その理由について説明を求めた方がよいでしょう。

 

もちろん、世の中には引越マニアと呼ばれる人もいますので、頻繁に移転しているだけで危ない会社ということが確定するわけではありません。

また、会社が急激な成長を続けて短期間に引っ越しを繰り返しているというような特別な事情があることもあります。

しかし、一般的には、引越には相当の労力と手間がかかりますので、特別な事情がないにもかかわらず、頻繁に移転しているのは、移転しなければならないようなマイナスな事情が隠されている可能性があります。

特に商号変更と共に本店移転を繰り返している場合は、かなり「あやしい」といえます。

 

このほかにも、法人の登記事項証明書から読み取ることができる情報はいくつもあります。

取引開始前には、相手方の会社の登記事項証明書を取得し、分析しておくことを強くお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収13

つぎに、調査会社の調査報告書です。

 

代表的な信用調査会社として、株式会社帝国データバンクや、株式会社東京商工リサーチ等があります。

 

調査報告書には様々な情報が記載されています。

従業員・設備概要、系列・沿革、業績、取引先、銀行取引・資金現況、現況と見通し、貸借対照表や損益計算書等の財務諸表情報、株主資本等変動計算書、財務諸表分析表、推定キャッシュフロー計算書・分析表等を取得することができます。

また、企業が健全な経営活動を行っているか、支払能力があるか、安全な取引ができるか等について100点満点で評価がされていることがあります。

 

そのため、決算書が手に入らなくても、ある程度の情報を得ることができます。

 

決算書を取得できなかったような場合や第三者機関による客観的な評価を自社による分析に併せて参考にしたいような場合には、取得してみるものよいかもしれません。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収12

さて、前回まで、取引先の調査の基本は、ヒアリング・現場調査と決算書であるということをお伝えしてきました。

 

しかし、これらは取引先の協力があって初めてできることです。

 

では、取引先の協力が得られない限り、取引先の調査はできないのでしょうか。

まず思い付くのは、インターネットを活用することです。

 

インターネットを活用することで、その取引先が公式に発表している情報を取得することができます。

取引先の公式ホームページをみれば、取扱商品やサービスの説明の他、会社概要、会社の沿革等を知ることができます。

 

また、取引先やその代表者の評判や口コミを得ることも出来ます。

検索エンジンで、取引先やその代表者名を検索ワードとして検索することで、取引先やその代表者に対する顧客による口コミや評判が掲載されたブログや掲示板が発見できることがあります。

これにより、取引先やその代表者が、どのような姿勢で仕事をしているのか、信頼に値するのか等を知ることができる可能性があります。

 

特に最近では、会社代表者が、フェイスブックやツイッター等を利用していることも多く、会社代表者の人となりや事業に対する取り組み方、交友関係等を確認できる場合があります。

 

インターネットの情報は、玉石混交ですが、社会からどのような評価を得ているのか、参考になります。

良く調べてみましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

※第11回企業法務セミナーを開催します。

【内容】

・たったこれだけ!信用できる取引先の見極め方

・連鎖倒産リスクを抑えるためにすべき取引先との付き合い方

・慌てないために覚えておこう!未回収発生時に真っ先にすべきこと

【日時】2020年5月20日(水) 18:30~21:00 (18:15開場) ※配布資料がございますので、途中からのご参加も可能です。

【場所】東京都新宿区西新宿1-3-13 Zenken PlazaⅡ7Fレアルセミナールーム

【対象】経営者、総務・法務担当者

【定員】先着15名様(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせて頂きます。受付にてお名刺2枚をご提出下さい。)

【参加費】8,000円(税込)  ※当日会場にてお支払いください。領収書もご用意可能ですので当日お問い合わせください。

【お問い合わせ先】ノースブルー総合法律事務所 担当:三原 TEL:03-3269-8700

【キャンセルについて】参加申込み後のキャンセルは5月13日 (水) までにご連絡下さい。以降はキャンセル料をいただきます。

 

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債権回収11

つぎは、決算書です。

 

決算書からは、多くの情報を読み取ることができます。

 

しかし、株式会社は、会社法上、貸借対照表(大会社は貸借対照表及び損益計算書)を公告する義務が定められているにもかかわらず、中小企業の場合、履行されていない場合が多いです。

そのため、決算書を入手するには、相手方から直接交付を受ける必要があるのが通常です。

決算書の交付を嫌がる取引先もあるかもしれませんが、債権回収リスクを少しでも下げるためには、ぜひとも入手したい書類です。

 

決算書で特に重要なのは、貸借対照表と損益計算書です。

 

貸借対照表とは、決算日における会社の財政状態を表したもので、会社債権者の立場から見れば、会社がどこから資金を調達し、どこへ運用しているかという会社資金の調達と運用の状態を表すものです。

 

損益計算書は、会社の努力を費用・成果を収益としてそれぞれ表示し、結果的に獲得した儲けを利益として表した報告書をいいます。

 

これらの資料を分析することで、短期的な支払能力の有無や財務面の安定性を判断したり、取扱商品の商品力や営業効率を分析することができます。

 

もちろん、決算書上、問題が無いからといって、それだけで安心してしまうのは危険です。

世の中、粉飾決算を行っている会社も珍しくありません。

 

やはり、決算書等紙の上の情報のみを信用するのではなく、きちんとヒアリング・現場調査を行い、生の取引相手を見るようにしてください。

(弁護士 國安耕太)

 

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【お問い合わせ先】ノースブルー総合法律事務所 担当:三原 TEL:03-3269-8700

【キャンセルについて】参加申込み後のキャンセルは5月13日 (水) までにご連絡下さい。以降はキャンセル料をいただきます。

 

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債権回収10

では、実際に、新規の顧客と取引を開始する場合、どのようなチェックをすれば良いのでしょうか。

 

調査の基本となるのは、ヒアリング・現場調査と決算書です。

 

ヒアリング・現場調査は、思っている以上に重要です。

取引を開始する際、取引先を訪問しないで、電話やメールでのやりとりだけで、取引を開始してしまう場合が多々見受けられますが、それはとても危険なことです。

 

取引先のオフィスを訪問し、取引先の代表者や取引担当者から話を聞く等、「直接」見聞きすることで得られる情報は意外に多くまた参考になります。

たとえば、詐欺会社は、(1)すぐに逃げられるように必要最小限の備品しか置いていない、逆に信用度を増そうとして(2)必要以上に華美な調度品を揃えている等の特徴があると言われています。

 

また、把握した事項を端的に確認するため、取引先調査票を導入するということも考えられるところです。

取引先調査票には、会社名、所在地、代表者、担当者、従業員数、創立年月、主な仕入先等の記載を求めることが多いです。

 

債権回収を見据えて、可能な限り、様々な情報を入手しておくことが重要です。

(弁護士 國安耕太)

 

※第11回企業法務セミナーを開催します。

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【お問い合わせ先】ノースブルー総合法律事務所 担当:三原 TEL:03-3269-8700

【キャンセルについて】参加申込み後のキャンセルは5月13日 (水) までにご連絡下さい。以降はキャンセル料をいただきます。

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債権回収9

さて、前回まで、「裁判となった場合に備えて、きちんとした証拠(契約書)を準備しておくこと」が重要であるという話をしました。

 

しかし、取引である以上、どんなに事前に調査していたとしても、取引先とのトラブルが発生してしまうことはありえますし、取引先の財務状況が悪化してしまうことはあり得ます。

 

この場合、どんなに立派な契約書があったとしても、契約書があるだけでは回収できない、という可能性があります。

 

そこで、そのような事態に備えて、担保(物的、人的)をあらかじめ取っておくことが重要です。

担保があれば、取引先が支払えなくなったとしても、売掛金等の債権を回収できる可能性が出てきます。

 

なお、担保の優先順位としては、物⇒代表者以外⇒代表者、です。

 

不動産に対する抵当権のような物的担保は、会社が破産してしまってもその効力を主張することができます。

しかし、会社代表者を保証人した場合、中小企業の場合、会社が支払不能となったときには、代表者も支払不能になっていることが多く、会社とともに代表者が破産することになってしまったら、担保としての効力が亡くなってしまうからです。

 

そのため、会社の代表者を保証人とすることは、担保としては最低限の効果しかなく、あまり効果的なものではないのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収8

さて、前回、「裁判となった場合に備えて、きちんとした証拠(契約書)を準備しておくこと」が重要であるという話をしました。

 

では、どのような点に注意して、契約書を作成すればよいのでしょうか。

 

重要なのは、いつ、どこで、誰が、誰に対し、何を、どうする義務を負うのかを明記することです。

 

たとえば、売買契約であれば、

・誰が、誰に対し、何を、売るのか。

・誰が、誰に対し、代金を、支払うのか。

・いつまでに、何を、どのように、売るor支払うのか。

といったことを明記しておかなければなりません。

 

当事者が直接売り買いをするのに「誰が、誰に対し、売るか」なんて争いにならないのではないか、と思うかもしれません。

 

しかし、一時期話題になった地面師事件では、不動産の所有者とは別の偽者の所有者が登場しましたし、そのような極端に事例ではないにしても、誰が契約当事者なのかによって法的効果が異なってくることもあります。

 

また、「何を売るか」についても、市場に流通している製品であれば、当事者間に齟齬は生じにくいですから、細かく特定しなくても、「Aという製品」というだけで構わないかもしれません。

しかし、ある特定の物、たとえば、中古車の売買といった場合は、詳細かつ具体的に特定しおかないと、「約束と違う!」といった紛争が生じかねません。

 

このように、契約書を作成するにあたっては、その契約の性質や目的物に応じて、いつ、どこで、誰が、誰に対し、何を、どうする義務を負うのかが明記されているかをきちんとチェックする必要があります。

(弁護士 國安耕太)

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債権回収7

さて、前回、「取引を始める前に、できるだけ相手方の情報を手に入れて、分析をしておくこと」が重要であるという話をしました。

 

しかし、取引である以上、どんなに事前に調査していたとしても、取引先とのトラブルが発生してしまうことはありえます。

 

トラブルが発生した場合、当事者間での話し合いで決着がつけば良いですが、決着がつかないときは、最終的には、裁判で決着をつけることになります。

 

裁判となった場合、自分の権利を実現するためには、自己の主張の根拠となる事実を証拠によって証明する必要があります。

 

繰り返しますが、裁判所は、正しい人(会社)を勝たせる機関ではありません。

あくまでも、証拠に基づいて、どちらの主張が確からしいか、を判断する機関にすぎません。

如何に自分が正しくても、証拠がなければ、裁判所は勝たせてくれないのです。

 

それゆえ、裁判となった場合に備えて、きちんとした証拠を準備しておくことが重要です。

 

そして、証拠としてもっとも効力が高いものの一つが、相手方の署名捺印のある契約書です。

 

みなさんの会社は、きちんとした契約書を用意していますか?

また、相手方から提示された契約書をきちんと分析して、内容を精査していますか?

 

このことが将来的に、債権回収の可否の分水嶺となるかもしれません。

 

自社の契約書をいま一度見直してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収6

さて、前回、債権回収におけるリスクの管理として重要なことは、

 

「取引開始前に、信用できる取引先か入念にチェックすること」、すなわち

 

「将来にわたって相手方のことを信用できるかをきちんと検討すること」、それも

「抽象的な理由ではなく、具体的な根拠に基づいて、信用できるかをきちんと判断するようにすること」

である、ということを述べました。

 

では、どうやって、具体的な根拠に基づいて、将来にわたって相手方のことを信用できるか、を検討すればよいのでしょうか。

 

まず、ぜひ最初にやっていただきたいことは、取引を始める前に、できるだけ相手方の情報を手に入れて、分析をしておく、ということです。

 

出来れば直近2年分の決算書の写しをもらって、貸借対照表から資金の調達と運用の状態を分析し、損益計算書から、費用・成果・利益の状況を分析したいところです。

 

もっとも、そうはいっても、相手方が自社よりも大きい会社の場合、なかなか決算書の写しが欲しいということが難しい場合もあると思います。

 

そのような場合は、調査会社の調査報告書を活用するということも考えられます。

 

いずれにしても、会社間の事業としての取引である以上、相手方の財務状況を客観的な資料に基づいてきちんと分析しておきましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収5

さて、前回まで、①正しい人(会社)が勝つ、②裁判所は、正しい人(会社)の味方である、③裁判に勝てば、未払債権を回収できるというのが幻想である、ということを説明してきました。

 

人(会社)を信用するのは大事なことですが、自分の会社は、自分で守らなければなりません。

会社経営者は、この現実を直視する必要があります。

 

では、どのように債権回収におけるリスクの管理をしていけばいいのでしょうか。

 

まず、なんといっても重要なことは「取引開始前に、信用できる取引先か入念にチェックすること」です。

 

「そんなこと、当たり前じゃないか」

「当然、信用できるかできないかチェックしているよ」

 

と思うかもしれません。

 

しかし、みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、世の中で起きている紛争の多くは、

「信用して取引を始めた相手方とのトラブルである」

ということです。

 

これはある意味、当たり前です。

誰しも、信用できない相手となんて、最初から取引をしませんから、トラブルにもなりません。

 

では、なぜ、「信用して取引を始めたにもかかわらず、その信用が裏切られる事態が生じてしまう」のでしょうか。

 

ここで重要なのは、「いまここで相手方のことを信用できるか」ではなく、「将来にわたって相手方のことを信用できるか」をきちんと検討したかどうかです。

 

 

「もともと知っていて、信用できるから」

「信頼できる人からの紹介だから」

 

という抽象的な理由ではなく、具体的な根拠に基づいて、信用できるかをきちんと判断するようにしましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収4

前回、経営者が陥ってしまっている3つの落とし穴の2つ目を紹介しました。

今回は、3つ目の落とし穴を紹介したいと思います。

 

裁判を起こして、仮に勝訴したとしても、それだけで債権の回収ができるわけではありません。

 

実は、裁判所がしてくれるのは、「被告は原告に対し、金30万円を支払え」という文字を紙(判決書)に書いて渡してくれることだけです。

 

これで相手方が支払をしてくれればいいですが、世の中、そう簡単に事は運びません。

金30万円を支払え、との判決を出されても、支払わない人などいくらでもいるのです。

そして、たとえ裁判に勝ったとしても、裁判所が債権を回収してきて、お金を渡してくれることはありません。

 

そのため、勝訴したとしても、実際に回収するためには、自分で、強制執行という別の裁判をしなければならないのです。

そして、この強制執行をするためには、その対象となる財産を特定しなければなりません。

しかし、裁判所が、被告の財産がここにあるよ、と教えてくれるということもありません。

 

あくまでも、自分たちで、被告の財産の所在を調査しておかなければならないのです。

 

それゆえ、③裁判に勝てば、未払債権を回収できるというのも大きな幻想にすぎないのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収3

前回、経営者が陥ってしまっている3つの落とし穴の1つを紹介しました。

今回は、2つ目の落とし穴を紹介したいと思います。

 

たとえば、Aさんと、商品を30万円で売却する約束をし、商品を引き渡したとします。

Aさんが、支払期日までに支払ってくれない場合、請求書を送ったり、内容証明郵便を送ってみたりして、それでも支払ってくれない場合は、最終的には、諦めるか裁判をする、ということになります。

 

では、裁判所は、この請求を必ず認めてくれるのでしょうか。

30万円の商品を引き渡している以上、認めてくれるのでしょうか。

 

結論としては、証拠があれば、請求を認めてくれますが、証拠がなければ、認めてくれません。

 

裁判所は、正しい側を勝たせる機関ではありません。

また、真実を探求してくれる機関でもありません。

あくまでも、当事者の提出した証拠に基づいて、どちらの主張が確からしいか、を判断する機関にすぎません。

 

当事者の提出した証拠のみで、請求が認められるかどうかが決まります。

そこに情けはありません。

いくら真実30万円の商品を引き渡していたとしても、裁判所が自ら、その真実を探求し、真実を明らかにしてくれる、なんてことは、絶対にないのです。

 

それゆえ、②裁判所は、正しい人(会社)の味方であるという幻想は捨てなければなりません。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収2

会社にとって、債権回収は至上命題であり、そのリスク管理は必要不可欠です。

 

ところが、現実の会社経営にあたって、債権回収のリスク管理は、あまりにも疎かにされていないでしょうか。

 

どの会社も、自社の利益を上げることに必死です。

そのために、販売戦略を立てたり、多額のコンサルタントフィーを払ったりして、その実現に邁進するのです。

 

ところが、債権回収については、驚くほど無計画であることが少なくありません。

 

わたしは、それは、経営者がつぎの3つの落とし穴に陥ってしまっているからではないかと考えています。

 

①正しい人(会社)が勝つ。

②裁判所は、正しい人(会社)の味方である。

③裁判に勝てば、未払債権を回収できる。

 

意識的か無意識的かはわかりませんが、このような認識をもっていないでしょうか。

 

みなさん、一般論としては、必ずしも正しい人が勝つとは限らない、ということは理解していても、なぜか自分のことになると、この理解がすっぽり抜け落ちてしまうことが珍しくありません。

 

たとえば、Aさんと、商品を30万円で売却する約束をし、商品を引き渡したとします。

しかし、Aさんが本当に30万円を支払ってくれるとは限りません。

 

当然、30万円を払ってもらう権利はあります。

ですが、Aさんに支払う気がなければ、いくらAさんに支払ってくれと言っても、支払ってもらうことはできません。

また、Aさんがそもそも30万円を持っていなければ、支払ってもらうことは不可能です。

 

権利があるにもかかわらず、支払ってもらえないというのは理不尽ですが、それが現実なのです。

 

それゆえ、①正しい人(会社)が勝つという幻想にとらわれないようにしなければなりません。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収1

さて、新年最初のトピックスとして、債権回収について話をしていきたいと思います。

 

会社を維持し発展させるためには、リスクを適切にコントロールして、企業の維持や発展に大きな影響が生じることのないようにしなければなりません。

 

そのためには、自社の取引や自社の体制のどこにリスクがあるのか、分析し、必要に応じて対処することが重要です。

特に、債権回収におけるリスクの管理は非常に重要です。

 

なぜ、債権回収におけるリスクの管理が必要なのでしょうか。

 

それは、債権回収が出来ないことは、会社にとって最悪の事態だからです。

 

なぜ、最悪の事態なのでしょうか。

 

それは、債権回収が出来ないことは、会社のキャッシュが不足する、要するに会社に現預金がないことに繋がり、黒字倒産という事態にもなりかねません。

 

たとえば、事務所の賃料や従業員の給与等諸々の支払いとして、月々400万円の支払をしなければならない会社があるとします。

この会社が、売掛金として5000万円の債権を持っていれば、損益計算書上は黒字です。

しかし、売掛金の支払期限が1年後で、この売掛金以外に売上がないとすれば、その間、会社には1円の現金も入ってこないことになります。

 

いくら1年後に5000万円が入ってくるとしても、これでは賃料の不払いで事務所から追い出されてしまいますし、従業員もいなくなってしまうでしょう。

 

これは極端な例ですが、このように、会社にとって、債権管理・債権回収は至上命題であり、そのリスク管理は必要不可欠といえるのです。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収と民事執行法改正5

前回、金融機関等に対し、どのような相手方の財産の開示を求めることができるようになった、ということをお伝えしました。

 

このほかにも、重要な改正がなされています。

 

それが、「国内の子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化」と「国際的な子の返還の強制執行に関する規律の見直し」です。

 

国内の子の引渡しの強制執行については、現行法において明文がありませんでした。

そこで、今回の改正では、裁判の実効性を確保しつつ、子の利益に配慮する等の観点から、規律を明確化しています。

具体的には、

(1)裁判所が、執行官に子の引渡しの実施を命ずる旨を決定

(2)執行官が執行場所に赴き、債務者による子の監護を解いて債権者に引渡す

という手続きが明文化されました(民事執行法174条、175条)。

 

つぎに、国際的な子の返還の強制執行については、現行法上、間接強制前置とされていましたが、一定の場合に間接強制を経なくても申し立てられるようになりました(新ハーグ条約実施法136条)。

また、執行の際に、子と債務者が共にいること(同時存在)が必要とされていましたが、これも不要となりました(新ハーグ条約実施法140条)。

 

この改正の根底にあるのは、世界的に、一方の親が子どもを連れ去ることは、原則として違法であり、犯罪となりうるということです。

特に、国外からの連れ去りは、非常に大きな問題となりますので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収と民事執行法改正4

前回、民事執行法の改正により、「債務者以外の第三者からの情報取得手続」が新設され、金融機関等に対し、相手方の財産の開示を求めることができるようになった、ということをお伝えしました。

 

そこで、今回は、具体的に、誰に対し、どのような情報の開示を請求できるようになったのか見ていきましょう。

 

まず、金融機関(銀行、信金、労金、信組、農協、証券会社等)から、①預貯金債権や②上場株式、国債等に関する情報を取得することができるようになりました(207条)。

 

つぎに、登記所から、③土地・建物に関する情報を取得することができるようになりました(205条)。

 

さらに、市町村、日本年金機構等から、④給与債権(勤務先)に関する情報を取得することができるようになりました(206条)。

ただし、給与債権に関する情報取得手続は、養育費等の債権や生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者のみが申立て可能とされているので注意が必要です。

 

この改正により、強制執行がしやすくなることが期待されています。

 

なお、保険に関する情報は、今回の改正では対象外となっています。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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債権回収と民事執行法改正3

前回、強制執行手続においては、相手方の財産がどこにあるのかを調査することが重要となってくる、という話をしました。

 

たとえば、差し押さえたい対象が不動産である場合には、その不動産所在地を特定する必要があります。

預金債権である場合には、預金債権の内容および銀行支店名を、売掛先に対する債権である場合には、その債権の具体的内容、売掛先の名前および住所地を特定する必要があります。

動産についても、動産の具体的内容および当該動産の存在する住所地を、特定しなければなりません。

 

当然ですが、これらの情報を、相手方が支払えなくなってから集めるのは至難の業です。

 

ところが、現行法では、裁判所は取引先の保有する財産を調査してはくれず、あくまでも、自分たちで、相手方の財産の所在を調査しなければなりませんでした。

 

そこで、今般、民事執行法を改正し、「債務者以外の第三者からの情報取得手続」を新設し、金融機関等に対し、相手方の財産の開示を求めることができるようになりました。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収と民事執行法改正2

さて、前回、債権回収のポイントは、事前準備・債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることである、ということをお伝えしました。

 

しかし、事前準備・債権管理をいかにきちんとしていたとしても、相手方からの支払いが滞ってしまうことは当然あります。

また、契約内容そのものや、契約の履行に関してトラブルとなってしまうこともあり得ます。

 

このような場合、最終的には訴訟を提起し、裁判所で決着をつけることになりますが、強制的に回収するためには、別途強制執行手続きを経なければなりません。

そして、強制執行手続は、判決をもって裁判所に強制執行の申立てをして、裁判所に相手方の財産を差し押さえてもらい、差し押さえた財産から配当を受けるという過程を経る必要があります。

 

ところが、この場合に、大きな障害となるのが、相手方の財産がどこにあるのかわからないと、相手方の財産を差し押さえてもらうことができない、ということです。

 

相手方の財産がどこにあるのかわからないと、仮に勝訴したとしても、実際に回収することはできないのです。

 

そのため、相手方の財産がどこにあるのかを調査することが重要となってきます。

(弁護士 國安耕太)

 

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債権回収と民事執行法改正1

債権回収のポイントは、事前準備・債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることです。

 

債権回収(売掛金の回収)が出来ないことは、会社にとって最悪の事態です。

いかに高額な売掛金が存在しているとしても、会社の現預金が尽きてしまえば、会社は立ち行かなくなってしまいます。

 

しかし、何の準備もせずに、危機状態にある相手方から、債権を回収することなど、基本的にはできません。

 

取引開始前に、相手方の登記事項証明書やインターネットの情報を確認するだけでも、売掛金を回収できないというリスクは低減することができます。

また、取引開始時に、相手方の決算書を分析したうえで、契約書を作成し、担保をとれば、売掛金の回収可能性が上がります。

 

ただし、自社を取り巻く環境は、刻一刻と変化していっていますから、取引開始時には問題がなかったとしても、債権回収時には信用に不安が生じている、ということも珍しくありません。

 

事前準備・債権管理をきちんとするとともに、売掛先の信用不安を表わす徴候(主要な取引先が倒産・契約打切りになった、中心的な社員・従業員が退任・退職した等)を見逃さないよう、こまめに情報収集を行うことが重要です。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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続・債権管理のススメ

先日(平成27年7月9日)、アミエージェンシー社会保険労務士事務所・アミエージェンシー株式会社と共催で、「事業拡大と会社の守りを両立しよう!( 第2回企業法務セミナー)」を開催しました。

当初の定員20名を大幅に超える33名の方にお申し込みをいただき、急遽座席数を増やして、実施いたしました。

お忙しい中、ご出席いただいたみなさまに感謝すると共に、ぜひ今後の会社経営に活かしていただけたら幸いです。

 

さて、上記セミナーでも触れましたが、債権回収のポイントは、事前準備・債権管理をきちんとしたうえで、取引先に対し、興味を持ち続け、情報を収集し続けることです。

 

債権回収(売掛金の回収)が出来ないことは、会社にとって最悪の事態です。

いかに高額な売掛金が存在しているとしても、会社の現預金が尽きてしまえば、会社は立ち行かなくなってしまいます。

しかし、何の準備もせずに、危機状態にある相手方から、債権を回収することなど、基本的にはできません。

取引開始前に、相手方の登記事項証明書やインターネットの情報を確認するだけでも、売掛金を回収できないというリスクは低減することができます。

また、取引開始時に、相手方の決算書を分析したうえで、契約書を作成し、担保をとれば、売掛金の回収可能性が上がります。

ただし、自社を取り巻く環境は、刻一刻と変化していっていますから、取引開始時には問題がなかったとしても、債権回収時には信用に不安が生じている、ということも珍しくありません。

 

事前準備・債権管理をきちんとするとともに、売掛先の信用不安を表わす徴候(主要な取引先が倒産・契約打切りになった、中心的な社員・従業員が退任・退職した等)を見逃さないよう、情報収集を怠らないようにしましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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