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2016年4月の投稿

有期労働契約の無期転換ルールにご注意を!

労働契約法18条1項は、有期労働契約の無期転換ルールを定めています。

 

*労働契約法18条1項

「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。」

 

この規定は、要するに、

①同一の使用者との間で、

②有期労働契約が通算で5年を超える労働者は、

③現に締結している有期労働契約の期間満了までに、

④使用者に申し込むことにより、

無期労働契約に転換することができる、というものです。

 

これだけを読むと、有期労働契約の期間が、単に5年を超えなければ、無期転換権は生じないように読めます。

たしかに、1年の有期労働契約の場合、その通算期間が5年を「超える」のは、5回目の更新時、すなわち、有期労働契約が6年目に入った時点ですから、5回目の更新をしなければ、無期転換権は生じないことになります*1。

 

他方、3年の有期労働契約の場合は、1回更新しただけで、その通算期間が5年を超えてしまいます。

そのため、1回目の更新時、すなわち、4年目に入った時点で、無期転換権が生じることになります。

 

「5年経過していないから、大丈夫!」と思っていると思わぬ痛手を被ることになりかねません。

有期労働契約の無期転換ルールを正確に理解しておきましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

ただし、労働契約法19条によって、更新拒絶(雇止め)が無効となる場合があります。

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パワハラにご注意を!

近年、職場のパワーハラスメントに関する都道府県労働局や労働基準監督書等への相談件数が、増加しています。

 

パワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいいます。

 

上司から部下に対する行為が典型例ですが、同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものも含まれます。

 

また、つぎの6つ行為が、パワーハラスメントの典型的な行為とされています(なお、これ以外は問題ないということではありません。)。

(1)身体的な攻撃・・・暴行、傷害など

(2)精神的な攻撃・・・脅迫、名誉棄損、ひどい暴言など

(3)人間関係からの切り離し・・・隔離、仲間外し、無視など

(4)過大な要求・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害など

(5)過小な要求・・・業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないなど

(6)個の侵害・・・私的なことに過度に立ち入るなど

 

このうち、(1)については、どのような場合であっても許容されるものではなく、身体的な攻撃=パワーハラスメントと認定されるのが通常です。

また、(2)および(3)についても、通常、業務遂行に必要な行為であるとはいえないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるもの、すなわちパワーハラスメントと認定される可能性が極めて高いといえます。

 

したがって、自社内で、(1)~(3)に該当する行為がなされているのを見掛けたら、即座に是正する必要があります。

 

つぎに、(4)~(6)の類型ですが、これらについては、程度問題ということもあり、パワーハラスメントかどうかが個別具体的に検討されることになります。

 

部下を熱心に教育していたつもりが、ある日突然パワーハラスメントだと訴えられる。

そういったことがないよう十分ご注意ください。

(弁護士 國安耕太)

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定年を66歳以上に引き上げた企業に、約65万円の助成金が支払われます!

厚生労働省は、高齢者雇用を促進するため、今年4月から定年年齢を「66歳以上」に引き上げた企業に対する助成金を厚くする制度を始めました*1。

同省は、これまで、定年を「70歳以上」とした場合、実際にかかった費用にかかわらず上限額の約65万円を支給してきました。4月からはこの年齢をさらに広げ、定年を66歳以上に引き上げた企業に上限額を助成するとしています。

 

『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』では、65歳未満の定年を定めている事業主に対し、(1)定年の引上げ、(2)基準を廃止して希望者全員を65歳まで継続雇用する継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じることを義務付けています。

 

今回の助成金制度は、(1)定年を66歳以上に引き上げ、(2)66歳以上の継続雇用制度の導入(この場合において、定年は65歳以上)、(3)定年の定めの廃止のいずれかの措置を実施した場合に、一定金額(上限が約65万円)を助成するというもので、『高年齢者雇用安定法』の定めを超えて、高齢者の活用を推進しようとする意図があるといえます。

 

高齢者を積極的に活用しようとしている企業にとっては、この制度を利用し、社内規程を整備できる等の利点があります。

 

また、中高年を積極的に活用したい事業主には、つぎのような新制度の利用も可能です。

 

たとえば、キャリア希望実現支援助成金は、65歳を超える社員を雇っている企業が、40歳から65歳未満の転職希望者を移籍により受け入れると1人について、40万円の助成が受けられます。

また、契約社員を期間の定めのない契約に転換した中小企業の事業主に対して、転換した者1人について、30万円助成されるキャリアアップ助成金がありますが、

新制度の高年齢者無期雇用転換コースでは、50歳以上定年年齢未満の契約社員を期間の定めのない契約に転換した中小企業の事業主に対して、転換した者1人について50万円が助成されます。

 

このように今年度は、高齢者および中高年の雇用に対する助成金がこれまでより、さらに拡大されています。

ぜひ企業の発展に、助成金制度の利用を検討してみてください。

(弁護士 國安耕太、社会保険労務士 村中幸代)

 

*1

雇用保険二事業助成金 平成28年度予算の整理表(案)5頁

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000120305.pdf

 

*2

弁護士ドットコムに取材を受けました。こちらもご覧ください。

https://www.bengo4.com/c_5/c_1099/n_4509/

 

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障害者差別解消法および改正障害者雇用促進法の施行について

平成26年6月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が公布され、本年4月から施行されます。
これまで、いわゆる差別として典型的に考えられてきたものは、たとえば盲導犬を連れた障害者の入店拒否や障害を持つ児童の入学拒否など、障害を理由とする排除や制限でした。これは直接差別と呼ばれてきました。
しかし、この法律は直接差別だけでなく、障害者に合理的な配慮をしないことも差別にあたるとしています。
障害者差別解消法第8条2項は、「事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。」としています(知的障害等により本人自らの意思を表明することが困難な場合には、その家族などが本人を補佐して意思の表明をすることもできるとされています。)。
難解な表現ですが、同法は、事業者に対して、単に直接差別をしないだけでなく、障害者が生活するにあたってのハードルを取り除くよう、民間事業者に合理的な配慮をするよう努力する義務を課しました。これは、単に機会の平等を確保するだけではなく、障害者が他の人々と同じ社会的活動を営めるようにしようという考え方に基づくものです。
つまり、単に入店拒否や入学拒否をしないというだけでは十分ではなく、たとえば施設を利用しようとする障害者を民間事業者はサポートしなければならないとしたのです。具体的には、店舗にスロープを設置すること、障害者が電車やバスへ乗車する際に職員などによる手助けをする体制を整えること、飲食店に入ろうとする車いす利用者のために段差解消のための渡し板を設置するなどの措置をとることなどが考えられます。
そして、直接差別だけでなく、このような合理的配慮をしないことも新たに差別に当たるとされることになったのです。

 

さらに、障害者雇用促進法が改正され、やはり今年4月から施行されます。これにより障害者を雇用している事業主に対しても合理的な配慮をする義務が課されました。
しかもこれは先ほど述べた障害者差別解消法とは異なり努力義務ではありません。事業主は努力するだけでは足りず、法的な義務として合理的な配慮をしなければならなくなりました。
具体的にどのようなことが求められるのかは今後の実務の蓄積を待つことになりますが、たとえば、車いすを利用する方に合わせて机や作業台の高さを調整することや、知的障害をもつ方に合わせて口頭だけでなく分かりやすい文書・絵図を用いて説明することなどが想定されています(なお、障害者が希望する措置が事業主にとって過重な負担に該当する場合は、希望どおりの措置を講じる義務まではありません。ただし、その場合であっても、障害者と話し合い、その意向を十分に尊重した上で、過重な負担にならない範囲で、合理的配慮に係る何らかの措置を講じる必要があるとされています。)。
近年、障害者の雇用は広がりを見せていますが、雇用している事業主としてはきめ細やかな対応をしなければ重大事故に繋がりかねません。そして、万一の事故の際、本年4月以降はこの合理的な配慮をしなかったことが事業主の損害賠償義務を肯定したり、賠償額が増額される要素となることが考えられます。
障害者を雇用している事業主の方は、障害者の方が安全な環境で働けているか、より注意を払わなければならない時代になったといえるでしょう。

(弁護士 南部弘樹)

 

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