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プロ野球が開幕しました。
みなさんの応援しているチームの調子はどうでしょうか。
私の応援しているホークスは、いまいちのようで、少し残念です。
さて、そんなプロ野球ですが、先日、観客が、打者の打ったファウルボールで失明した事故に関し、球団や球場等に損害賠償責任を認める判決が出されました(札幌地裁平成27年3月26日判決)。
*http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/019/085019_hanrei.pdf
この判決は、
①座席付近の観客席の前のフェンスの高さは、ファウルボールの飛来を遮断できるものではなかったこと
②これを補完する安全対策においても、打撃から約2秒のごく僅かな時間のうちに高速度の打球が飛来して自らに衝突する可能性があり、投手による投球動作から打者による打撃の後、ボールの行方が判断できるまでの間はボールから目を離してはならないことまで周知されていたものではないこと
から、
③設置されていた安全設備は、ファウルボールへの注意を喚起する安全対策を踏まえても、観客の生命・身体に生じ得る危険を防止するに足りるものではなかったというべき(したがって、安全設備等の内容が通常有すべき安全性を欠いており、工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵があった)
として、球団や球場等に損害賠償責任を認めています。
本判決は、被害者の救済という観点からは、理解できる部分もあります。
しかし、本判決のように、結局のところ「ファウルボールの飛来を遮断できるか」を基準とされてしまうと、球団等の側として、損害賠償責任を回避するために、球場全体をネットで覆うといった議論になりかねません。
その点で、もう少し配慮があってもよかったのではないかな、と思います。
いずれにしても、報道等によれば、本件は控訴されるようですので、高裁でさらなる検討がなされるものと思います。
以上のとおり、プロ野球観戦で負傷した場合、球団等が損害賠償責任を負うという可能性があります。
ただ、あくまでも損害の賠償であり、怪我が完治するとは限りません。
球場で観戦する際には、打球の行方に十分注意してください。
(弁護士 國安耕太)