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犯罪行為に関しては、主として刑法に記載されていますが、会社法上取締役には、特別な刑罰が規定されています。
たとえば、取締役は、
①自己もしくは第三者の利益を図りまたは株式会社に損害を加える目的で、
②その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(特別背任罪、会社法960条1項3号)。
これは、通常の刑法上の背任罪(247条)より重い刑罰を課すことで、株主や会社債権者等会社の利害関係者が、不測の損害を被ることのないよう、取締役の任務違背行為を抑止しようとするものです。
また、裁判所や株主総会等で、一定の事項について虚偽の申述を行い、または事実を隠ぺいしたときは、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(会社財産を危うくする罪、会社法963条)。
これも会社の利害関係者が、不測の損害を被ることのないよう、取締役の任務違背行為を抑止しようとするものといえます。
このように、会社法上取締役には、特別な刑罰が規定されています。
もちろん、普通に業務を執行している限りは、このような刑罰を科されることはありません。
会社を経営していくにあたっては、取締役の責任の重さをきちんと理解し、適正な業務執行をしていくことが重要といえます。
(弁護士 國安 耕太)