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会社が、労働者と労働契約を締結する際、試用期間が設けられることがあります。
試用期間とは、採用後に従業員としての適格性を観察・評価するために会社が設ける期間をいいます。
そして、試用期間中における会社と仮採用の従業員との関係は、「解約権留保付労働契約」であるというのが判例です*1。
ここで、重要なのは、解約留保付きの「労働契約」であるということです。
すなわち、たとえ試用期間満了時の「本採用拒否」であったとしても、これは採用の問題ではなく、労働契約の解消の問題=解雇の問題ということになります。
従業員の解雇に関しては、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たさない限り、無効になります*2。
ただし、判例は、「留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない」としており、本採用後の)通常の解雇よりも広い範囲において解雇の自由を認めています。
以上をまとめると、試用期間満了時の本採用拒否は、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、通常の解雇よりも広い範囲で認められているものの、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たしていなければならない、ということになります。
試用期間満了時の本採用拒否であるとしても、自由にできるものではない、ということに注意が必要です。
(弁護士 國安耕太)
*1
最判昭和48年12月12日(民集27巻11号1536頁、三菱樹脂事件)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/931/051931_hanrei.pdf
*2
労働契約法16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
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