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2016年11月の投稿

起業塾16:社内体制の整備7(名ばかり管理職)

みなさんは、数年前、某ファーストフード店の店長が、某ファーストフード店に対し、数百万円の割増賃金の支払を求める訴訟を提起して話題になりましたが、ご存じでしょうか。

これは、某ファーストフード店側が、店長は管理監督者であるとして、割増賃金を支払っていなかったところ、店長側が、某ファーストフード店の店長は管理監督者に該当しないとして、未払いの割増賃金の支払を求めた事案です。

 

みなさんの中には、課長や部長という役職がついていれば、残業代を支払わなくてよいという話を聞いたことがある、という方がいらっしゃるかもしれません。

 

確かに、労働基準法上、割増賃金に関する32条は、(1)農業、畜産・水産業に従事する者、(2)管理監督者および(3)監視・継続労働従事者には適用されないとされています(41条)。

そのため、某ファーストフード店の店長が、この労働基準法41条の「管理監督者」に該当するのであれば、割増賃金の支払義務はありません。

 

しかし、管理監督者にあたるかどうかは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態に即して判断されます。

具体的には、㋐職務内容、権利と権限が、管理者としてふさわしいものであるか、㋑出退勤の自由ないし裁量性が存在しているか、㋒地位にふさわしい待遇を与えているかどうかを総合的に考慮して判断されることになります。

 

これらにかんがみると、管理監督者に該当する人は、意外に少ないということが分かると思います。

 

結果的に上記事案でも、「店長は、その職務の内容、権限および責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない」(東京地判平成20.1.28判時1998号149頁)として、某ファーストフード店側に、数百万円の割増賃金の支払を命じられています。

 

管理職であるというだけで、割増賃金の支払いを拒むことはできません。

自社の制度設計をきちんと見直してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。

*第1回経営者勉強会

日時:平成28年12月20日午前11時30分~午後1時

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(昼食代):1500円

 

*第2回経営者勉強会

日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分

定員:7名

テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)

参加費(朝食代):1500円

 

*第3回経営者勉強会

日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時

定員:7名

テーマ:営業秘密とは

参加費(昼食代):1500円

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起業塾15:社内体制の整備6(残業代請求)

近時、いわゆる未払残業代を請求される事案が増えています。

かなり高額の請求がなさるケースもあるようで、中小企業にとっては、経営の存続にかかわるような大きなダメージを与える可能性があります(もちろん、本来、会社が支払っておかなければならないものですが。)。

 

さて、「いわゆる」未払残業代と記載したのは、法律上「残業代」という概念が存在していないからです。

労働基準法上は、「労働時間を延長し、または休日に労働させた場合においては・・・割増賃金を支払わなければならない」(労働基準法37条1項*)と規定しており、法律上は、あくまでも未払「割増賃金」請求です。

この割増賃金の典型が残業代ですが、上記の定義にもあるように、労働時間を勤務時間前に延長した場合、すなわち、早出の場合や、休日労働の場合にも割増賃金の支払義務が生じることになります。

 

そして、この割増賃金の基準となる「労働時間」に関する規定は、労働基準法32条にあります。

労働基準法32条は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない(1号)」「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない(2号)」と規定しています。

 

結局のところ、いわゆる残業代請求とは、「労基法上の、1日8時間、1週40時間の上限を超えた労働(時間外労働)を行った場合、割増賃金の支払義務が生じているにもかかわらず、これを支払っていない」会社に対し、この支払いを求めていくもの、ということになります。

 

なお、この労働基準法32条の「労働時間」としてカウントできるか否かについて、最高裁は、「労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否か」で、判断しています(最判平成12年3月9日、民集54巻3号801頁、三菱重工長崎造船所事件)。

(弁護士 國安耕太)

 

*労働基準法37条1項

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

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起業塾14:社内体制の整備5(試用期間終了時の本採用拒否)

会社が、労働者と労働契約を締結する際、試用期間が設けられることがあります。

試用期間とは、採用後に従業員としての適格性を観察・評価するために会社が設ける期間をいいます。

そして、試用期間中における会社と仮採用の従業員との関係は、「解約権留保付労働契約」であるというのが判例です*1。

 

ここで、重要なのは、解約留保付きの「労働契約」であるということです。

すなわち、たとえ試用期間満了時の「本採用拒否」であったとしても、これは採用の問題ではなく、労働契約の解消の問題=解雇の問題ということになります。

従業員の解雇に関しては、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たさない限り、無効になります*2。

 

ただし、判例は、「留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない」としており、本採用後の)通常の解雇よりも広い範囲において解雇の自由を認めています。

 

以上をまとめると、試用期間満了時の本採用拒否は、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用され、通常の解雇よりも広い範囲で認められているものの、客観的合理性と社会的相当性の2つの要件を満たしていなければならない、ということになります。

 

試用期間満了時の本採用拒否であるとしても、自由にできるものではない、ということに注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

最判昭和48年12月12日(民集27巻11号1536頁、三菱樹脂事件)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/931/051931_hanrei.pdf

 

*2

労働契約法16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

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場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

 

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起業塾13:社内体制の整備4(解雇権濫用法理)

会社と労働者との間の労働契約が解消される場面としては、つぎの5つが存在します。

①契約当事者の消滅、死亡

②包括的同意(定年に達するなど一定の事由が発生すると当然に労働契約が終了するもの。「当然退職」)

③個別的同意(一般的に、労働者が退職を申込み、使用者が承諾する形で、双方の合意により労働契約を終了させるもの。「合意退職」)

④労働者の単独行為(労働者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「辞職」)

⑤使用者の単独行為(使用者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「解雇」)

 

このうち、もっとも問題となるのが⑤使用者の単独行為である解雇の場合です。

 

法律上、解雇は自由に出来るのが原則です。

労働基準法19条は解雇制限、20条は解雇予告手当に関する条文ですが、いずれも時期等の要件を満たせば、解雇は可能であることを前提としており、解雇そのものを禁止するものではありません。

 

しかし、実際は、判例上解雇権濫用法理が確立されており、現在では労働契約法16条も「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」として、事実上解雇を制限しています。

 

このように従業員の解雇には、大きな制約が課せられています。

そのため、従業員を解雇するにあたっては、社会保険労務士や弁護士等、外部の専門家に相談のうえ、慎重に判断する必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

*経営者交流会「落合会(仮称)」を開催いたします。

開催日時:11月9日(水)19:00~21:00

会場:五反田ワイン酒場「マルミチェ」2F

住所:品川区西五反田1-4-8

定員:36名

参加費:6000円前後

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

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起業塾12:社内体制の整備3(労働契約と業務委託契約)

会社との間で締結される労働の提供に関する契約の典型は、労働契約ですが、このほかに、会社の外にいる者を活用する契約として、請負契約、業務委託契約、派遣契約等も存在します。

通常、このような会社の外にいる者は、当該会社の労働者とはなりません。

しかし、業務の態様によっては、当該会社の労働者であるとして、残業代請求や解雇無効確認請求がなされることがあります。

いわゆる偽装請負、偽装派遣の問題です。

 

そのため、会社としては、どのような場合に自社の「労働者」とみなされるのか、その判断基準、いわゆる労働者性の判断基準を押さえておく必要があります。

 

まず、外形上の契約形態のみによって判断されるものではありません。すなわち、契約の名称では、労働者かどうかの判断はできず、実質的に労働契約といえるかどうかで判断されます。

もちろん、契約の名称は一つの判断材料にはなります。

しかし、たとえば、契約書の名称が業務委託契約や請負契約であったからといって、必ず労働者ではないと判断されるわけではありません。

 

そこで、過去の裁判例では、実質的に労働契約といえるかどうかを、指揮命令関係があるか否かで判断しています。

具体的には、①諾否の自由の有無、②業務遂行上の指揮監督の有無、③時間的・場所的拘束性の有無、④労務提供の代替性の有無、⑤報酬の労務対償性の有無等を総合的に考慮して、指揮命令関係の有無が判断されます。

 

業務委託契約や請負契約を活用している会社は、上記考慮要素に照らして、自社の契約が労働契約とされるおそれはないか、一度きちんと確認してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*経営者交流会「落合会(仮称)」を開催いたします。

開催日時:11月9日(水)19:00~21:00

会場:五反田ワイン酒場「マルミチェ」2F

住所:品川区西五反田1-4-8

定員:36名

参加費:6000円前後

 

*第5回企業法務セミナーを開催いたします。

『あなたの知識が会社を守る!労務管理の基本を習得し、労務リスク対策を』

※労務管理の基本 雇用と業務委託契約の使い方編

開催日時:11月25 日(金)18:30~21:00(18:15開場)

場所:レアルセミナールーム 新宿区西新宿1-3-13 Zenkan Plaza2 七F

対象:経営者、総務・法務担当者

定員:20名(1社2名様まで。定員になり次第締め切らせていただきます。受付にてお名刺2枚をご提出ください。)

参加費:5000円

申込・お問合わせ先:アミエージェンシー(株)セミナー事務局 担当:井上 TEL03-5940-3450

 

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