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2017年11月の投稿

労務管理4

休憩時間を除いて、1日8時間もしくは1週間40時間を超えて労働させた場合または休日に労働させた場合に、割増賃金の支払義務が生じます(労働基準法32条、37条1項)。

 

では、具体的にどのような要件を満たしていれば、労働時間と認められるのでしょうか。

 

判例では、労働時間といえるかどうかは、

 

「労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とされ、

 

使用者の指揮命令下におかれたといえるかどうかは、

 

「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、または、これを余儀なくされたとき」は、「特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ」る

 

とされています(最判平成12.3.9民集54巻3号801頁、三菱重工長崎造船所事件)

 

具体的には、同判例において、「実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられていたなどというのであるから、作業服及び保護具等の着脱等は、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、右着脱等に要する時間は、それが社会通念上必要と認められる限り、労働基準法上の労働時間に該当するというべきである。」とされ、作業服及び保護具等の装着についても、会社の指揮命令下に置かれたものと評価できると判断されています。

 

このように、労働時間にあたるか否かは、使用者の指揮命令下におかれたといえるかどうか、すなわち、使用者から「義務付けられた」または「余儀なくされた」といえるかどうかによって判断されることになります。

(弁護士 國安耕太)

 

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労務管理3

法律上「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては・・・割増賃金を支払わなければならない」(労働基準法37条1項)とされていることから、一般的に、残業代請求と呼ばれているものには、早出の場合や、休日労働の場合も含まれており、法律上は、「割増賃金」の請求です。

 

さて、ここで「労働時間を延長」とあるので、つぎに、労働時間とは何なのか、という問題が出てきます。

 

原則となる所定の労働時間に関する規定は、労働基準法32条にあります。

この規定を、法律で定められた労働時間という意味で「法定労働時間」と呼んでいます。

 

(労働基準法32条)

1 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

労働基準法が規定する労働時間は、「休憩時間を除」いた時間であり、現に労働させる時間を指します。

 

そうすると、休憩時間を除いて、1日8時間もしくは1週間40時間を超えて労働させた場合または休日に労働させた場合に、割増賃金の支払義務が生じる、ということになります。

 

なお、ここでいう1日とは、就業規則その他に別段の定めがない限り、午前0時から午後12時まで、1週とは、日曜日から土曜日までを指しています。

(弁護士 國安耕太)

 

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労務管理2

平成25年の統計では、1年間に、賃金手当等に関する紛争(主に未払残業代請求)は、労働審判1456件、民事訴訟1929件の合計3385件が申し立てられています。

 

ちなみに、一般的に未払残業代請求と言われていますが、法律上「残業代」という概念は存在しません。

ご存知でしたか?

 

実は、法律上は、「割増賃金」という概念が存在しているだけなのです。

 

割増賃金については、労働基準法37条1項が規定しています。

 

(労働基準法37条1項)

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

一読しただけでは、よくわからないかもしれませんが、ここで重要なのは、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては・・・割増賃金を支払わなければならない」とされていることです。

 

つまり、割増賃金は、いわゆる残業の場合のほか、所定の労働時間を勤務時間前に延長した場合に支払義務が生じる、すなわち、残業の場合のほか、早出の場合や、休日労働の場合にも支払義務が生じるということになります。

 

このように、一般的に、残業代請求と呼ばれているものには、早出の場合や、休日労働の場合も含まれており、法律上は、「割増賃金」の請求、ということになります。

(弁護士 國安耕太)

 

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労務管理1

先日(平成29年10月20日)、つぎのような報道がありました*。

 

「日本放送協会(NHK)の山口放送局(山口市)で残業代の未払いがあったとして、山口労働基準監督署(同)が先月、労働基準法違反で同放送局に是正勧告を出していたことがわかった。勧告は9月29日付。

関係者やNHKの説明によると、同放送局に勤める一部の職員が申請した勤務時間が、タイムカードで記録された労働時間より短くなっていたことが労基署の調査で判明。労基署から残業代が未払いになっている可能性があると指摘されたことを受け、NHK側が同放送局内の勤務時間の実態を調べた結果、今年4~6月に、11人の職員に計約9万2千円分の未払い残業代があることがわかり、労基署から是正勧告を受けたという。」

 

この事件は、NHKの山口放送局が、山口労働基準監督署から、労働基準法違反で是正勧告を出されていた、というものです。

このように、近時、未払残業代をめぐって、労基署の調査や勧告がなされたり、訴訟や労働審判が申し立てられることが増えています。

 

確かに、実際に賃金手当等に関する紛争が生じる会社は一握りかもしれません。

 

しかし、賃金手当等に関する紛争が生じた場合、マクドナルド事件のように、1人あたり数百万円の支払いを求められる可能性もあり、会社の経営基盤に重大なダメージを与える可能性があります。

 

また、近時、働き方改革が叫ばれ、労働時間を巡る世間の視線は厳しいものになってきています。

 

そのため、労働時間の管理を適切に行っていくことは、会社の維持発展には必要不可欠といえます。

(弁護士 國安耕太)

 

*

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171020-00000017-asahi-soci

 

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