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偽装請負

偽装請負に注意しましょう 3

先週、先々週と、労働者派遣と請負の区別に関する厚生労働省の告示をご紹介してきました。

本日は、その3回目です。

 

(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主、すなわち偽装請負とされてしまいます*1。

 

では、(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理している、といえるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。

厚労省の告示では、つぎの3つの要件をいずれも満たしていることが必要であるとされています。

 

(ア)業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。

(イ)業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。

(ウ)①自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く)又は材料若しくは資材により、業務を処理しているか、または、②労自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること、のいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。

 

なお、厚生労働省から、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集も公表されていますので、こちらも参考にしてみてください*2。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf

 

*2

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03_02.pdf

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偽装請負に注意しましょう 2

先週、労働者派遣と請負の区別に関する厚生労働省の告示をご紹介しました。

本日は、その続きです。

 

(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主、すなわち偽装請負とされてしまいます*。

 

では、(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用している、といえるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。

厚労省の告示では、つぎの3つの要件をいずれも満たしていることが必要であるとされています。

 

(ア)①労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うことにより、「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。

(イ)①労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く)を自ら行い、また、②労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く)を自ら行うことにより、「労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。

(ウ)①労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うことにより、「企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行う」ものであること。

 

(ア)ないし(ウ)のいずれも、種々の事情を総合的に勘案して判断されることになりますが、大雑把に言えば、業務遂行・労働時間等・企業秩序等に関し、受託者が、自己の従業員(労働者)を自ら指揮命令監督をしていなければならない、ということを意味しています。

 

なお、(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することについては、次週解説していきたいと思います。

(弁護士 國安耕太)

 

*労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf

 

 

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偽装請負に注意しましょう 1

先日開催した第4回企業法務セミナー「契約書を学び、攻めの経営を!」*1でも少し触れましたが、請負契約や業務委託契約を締結するにあたっては、偽装請負とならないよう注意する必要があります。

 

偽装請負とは、実質は労働者派遣(場合によっては労働者供給)でありながら、請負契約や業務委託契約の形式で行う労務提供を指します。

実質的には労働者派遣であるにもかかわらず、形式的に請負契約(業務委託契約)とすることにより、派遣法により課された元事業主および派遣先事業主の義務を回避し、ひいては派遣労働者の保護という派遣法の趣旨を没却することが問題視されています。

 

そのため、偽装請負と判断されると、受託者は、派遣事業主と判断され、派遣法違反として罰則を受け、委託者も派遣法違反となり、行政処分の対象となります。

したがって、請負契約や業務委託契約を締結するにあたっては、偽装請負との指摘を受けないよう、注意する必要があります。

 

そして、労働者派遣と請負の区別に関しては、厚生労働省から基準が示されています*2。

具体的には、(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主とされてしまいます。

すなわち、偽装請負と判断されてしまうことになります。

 

では、どうすれば、この(1)および(2)を満たしているといえるのか、については、次週解説することにします。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

https://north-blue-law.com/blog-child/%e7%ac%ac%ef%bc%94%e5%9b%9e%e4%bc%81%e6%a5%ad%e6%b3%95%e5%8b%99%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%92%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%81%97%e3%88%be%e3%81%97%e3%81%9f%ef%bc%81/

 

*2

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)

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