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[雑感]ダルビッシュ投手と300日問題

先日(平成27年2月22日)、元レスリング世界王者山本聖子さんが妊娠しており、父親はメジャーリーガーであるダルビッシュ投手であるとの報道がありました。

その中で、ある報道では「300日問題」は大丈夫か?との懸念が示されていました。

 

「300日問題」とは、母が、元夫との離婚後300日以内に子を出産した場合、その子は民法上元夫の子と推定されるため(民法772条2項)、子の血縁上の父と元夫とが異なるときであっても、原則として、元夫を父とする出生の届出しか受理されず、戸籍上も元夫の子として扱われることになってしまうというものです。

(なぜ、このような制度になっているかは、法務省のホームページに詳しく記載されています。*1)

 

詳細な事実は報道されていませんが、山本聖子さんが離婚したのが平成26年9月で、現在妊娠6か月であるとすると、離婚後300日以内に出産する、という事態も確かに考えられるとことです。

 

このように、民法772条2項により、離婚後300日以内に出産した場合は、原則として、元夫の子として取り扱われることになります。

そして、この場合に、元夫との親子関係を争う方法は、①嫡出否認、②親子関係不存在、③強制認知のいずれかの方法をとるしかありません。

 

ただし、②親子関係不存在および③強制認知の手続を取るためには、嫡出推定が及ばない事情、すなわち「妻がその子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合」であることが要件とされています(最判平成26年7月17日、平成25(受)233参照*2)。

また、上記最高裁判決では、「夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできない」と判示されていますから、最高裁は、②親子関係不存在および③強制認知の手続をとることができる場合を、相当限定して考えているといえます。

 

以上を踏まえれば、元妻が離婚後300日以内に出産した場合に、生まれた子どもと元夫との親子関係を争うのであれば、速やかに①嫡出否認の手続をとる、ということになるでしょう。

ダルビッシュ投手と山本聖子さんの場合も、注意が必要かもしれません。

(弁護士 國安耕太)

 

*1 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji175.html#q1-1

*2 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/344/084344_hanrei.pdf

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