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前回の最後に、厚生労働省のモデル就業規則*1には多々問題がありますので、利用には注意が必要です、という話を少ししました。
では、具体的に、モデル就業規則のどのような規定が問題なのでしょうか。
たとえば、モデル就業規則には、「休職」に関する規定があります*2。
「休職」とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。
従業員と会社との間の労働契約は、従業員が会社に対し、労働力を提供することをその内容としていますから、従業員が私傷病によって会社に対し労務提供できない場合、本来は解雇として取り扱われます。
そのため、休職は、従業員が会社に対し労務提供ができないとしても、即時に解雇するのではなく、労働契約関係を維持しながら、一定期間猶予を与えるものといえます。
要するに、従業員を保護するための制度なのです。
ところが、実は、労働基準法をはじめとした労働法には、「休職」に関する規定が一切ありません。
これは、つまり、休職の対象となる従業員や休職期間その他の条件を会社が自由に決められるというにとどまらず、そもそも休職制度を置くかどうかも自由に決められるということです。
スタートアップの会社や、従業員が10数名しかいない会社で、本当に休職制度を設ける必要があるのでしょうか。
休職期間中、給与の支払義務はないとしても、社会保険の支払義務は残ります。
もちろん、考えた結果、制度が必要だ!という判断もあり得るでしょう。
しかし、少なくとも本当に必要なのか、きちんと検討する必要はあるでしょう。
(弁護士 國安耕太)
*1
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
*2
第9条
1 労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
①業務外の傷病による欠勤が か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき: 年以内
②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき:必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。
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*第2回経営者勉強会
日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分
定員:7名
テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)
参加費(朝食代):1500円
*第3回経営者勉強会
日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時
定員:7名
テーマ:営業秘密とは
参加費(昼食代):1500円