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さて、起こりがちなコンプライアンス違反例の二つ目は「他社のホームページに掲載されていた文章を無断で使用すること」です。
実は、これもコンプライアンス違反となりうる行為です。
もちろん、他社のホームページだけではなく、雑誌や書籍に記載されていた文章でも同じです。
他の人が書いた文章は、著作物に該当し、これを無断で使用することは、著作権法違反となる可能性があります。
著作権法上、著作者は、著作者人格権(著作権法18条1項、19条1項および20条1項に規定する権利)および著作財産権(著作権法21条から28条までに規定する権利)を享有し(著作権法17条1項)、「その著作物を複製する権利を専有する。」(著作権法21条)とされています。
そして、複製とは、「既存の著作物に依拠して、その内容および形式を覚知することができる程度のものを有形的に再製」(2条1項15号)する行為をいいます。
このため、他の人が書いた文章を、その著作権者である当該他の人に無断で使用することは、この複製権を侵害するものとして、著作権法違反となる可能性があるのです。
なお、たまに、「文章は、多少書き方を変えていれば、無断で使用することも問題ない」といったことを言っている人がいます。
しかし、文章の内容を多少変更した程度では、元の著作物(これを「原著作物」といいます。)の複製となります。
また、著作権者は、複製権のほか、翻案*権も有しているため、全く別の著作物と認識できる程度に変えない限り、理論的には著作権法違反となるので注意が必要です。
(弁護士 國安耕太)
* 既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為