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相続をめぐる法律関係3 相続人の廃除

第3回のテーマは、相続人の廃除です。

 

民法に規定されている相続人の欠格事由に該当しない場合であっても、家庭裁判所に対する申立により、推定相続人から相続権を奪うことができる制度があります(民法892条)。

これを「相続人の廃除」といいます。

 

相続人の廃除が認められるためには、以下の廃除事由が存在することを申立書に記載した上で、家庭裁判所に推定相続人廃除の審判の申立を行い、家庭裁判所に廃除の決定を出してもらわなければなりません。

 

民法で規定されている廃除事由としては、以下の2つがあります。

①被相続人に対して虐待したとき、もしくは重大な侮辱を加えたとき

②推定相続人にその他の著しい非行があったとき

 

相続人の廃除は、推定相続人の相続権を裁判所に対する申立により奪う制度ですから、被相続人の主観的、恣意的な廃除は認められません。

そのため、廃除事由としての「虐待」や「侮辱」、「著しい非行」は、相続的共同関係を破壊する程度に客観的に重大なものでなければなりません。

 

例えば、以下の事例では廃除の申立が認められました。

父の金員を無断で費消したり、多額の物品購入代金の支払いを父に負担させた上、これを注意した父に暴力を振るい、その後家出して行方不明となっている長男に対する父からの推定相続人廃除の申立てを認めた事例(岡山家審平成2年8月10日家月43巻1号138頁)

 

なお、廃除により相続権がはく奪された場合であっても、代襲相続が可能です。

そのため、上記の裁判例において、相続権を廃除された長男に子(廃除の申立をした父からみて孫にあたる)がいた場合には、孫が代襲相続することができることになります。

 

次回は、「相続財産管理人」についてご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

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