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第8回目のテーマは、離婚後の親権です。
父母が離婚した場合、いずれか一方が未成年である子の単独親権者になります。
協議離婚では、父母の協議で未成年者の親権者を定め、離婚届に記載します。
親権者の記載がない離婚届は受理されません。
父母の協議がまとまらない場合には、親権者指定の調停または審判を家庭裁判所に申し立てることにより親権者を定めることができます。
家庭裁判所の手続きを利用する場合、家庭裁判所調査官による事実の調査が実施されることが一般的です(家事事件手続法58条)。
家庭裁判所調査官は、父母や子との面接、子が親の一方といる場面における子の状況の観察、保育園や学校の先生との面接、家庭訪問といった方法により、①子の監護状況・非監護親の看護体制、②子の意向確認、③親権者としての適格性等の事実の調査をし、調査結果を家庭裁判所に報告します。
親権者指定の判断基準については、明文の規定があるわけではありません。
しかし、一般的には、①監護の継続性、②子の意向、③母性尊重、④兄弟の不分離、⑤親の状況、⑥面会交流に対する当事者の意向といった要素を総合的に考慮して親権者を決めることになります。
家庭裁判所は、子の意向に拘束されるわけではありませんが、実務上、子の意向は重視されます。
ただし、未成年者は監護親の影響を受けやすく、言葉と真意が一致しない場合もあるため、事案ごとの子の発達段階に応じて評価することが必要になります。
また、面会交流は基本的に子の健全な育成に有益なものであって、その実施によりかえって子の福祉が害されるおそれがある特段の事情がある場合を除き、面会交流を認めるべきであると考えられています。
そのため、非親権者・非監護者による面会交流を認める体勢にあるかどうかも、親権の適格性を判断するための1つの要素になります。
(弁護士 松村 彩)