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第6回目のテーマは、法律上の離婚原因です。
前回ご紹介したように、協議離婚や調停離婚によって調整がつかない場合には、「法律上の離婚原因」を主張して離婚訴訟を提起し、判決により離婚を認めてもらうことができます。
民法は、以下の5つの「法律上の離婚原因」を定めています。
①配偶者に不貞行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
①「不貞行為」とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこといいます(最判昭和48年11月15日判タ303号141頁)。
自由な意思に基づく姦通に限定されますので、配偶者が強姦の被害者である場合には、不貞行為は認められないと考えられます。
②「悪意の遺棄」とは、正当な理由もなく夫婦間の同居・協力・扶助義務を継続的に怠っていることをいいます。
具体的には、配偶者の一方が相手方を置き去りにして帰宅しない場合や、相手方を自宅から追い出す場合が挙げられます。
職業上の理由から長期間出張しなければならないケースや、病気療養のために入院するケース等、別居するにつきやむをえない事情がある場合には、「悪意の遺棄」にはあたりません。
③「配偶者の3年以上の生死不明」を理由とする離婚訴訟は、終戦後の戦地からの未帰還者にかかわるものが多く、最近の裁判例ではほとんど問題になりません。
④「回復の見込みがない強度の精神病」とは、重い精神病のために婚姻生活の継続を期待できず、長い療養生活にもかかわらず軽快の見込みが立たない場合をいい、専門医の医学的判断を踏まえて裁判官が判断します。
⑤「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、上記①~④以外の離婚事由で、婚姻の継続を不可能とする事由をいい、配偶者の暴力、侮辱、犯罪行為、性格の不一致等がこれに該当します。
次回は、「財産分与」についてご紹介します。
(弁護士 松村 彩)