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男女をめぐる法律関係4 内縁

第4回目のテーマは、内縁です。

今回は、「婚姻」と「内縁」についてご紹介します。

 

近年では、結婚に対する意識の変化により、あえて婚姻届を提出しないカップルが増えています。

特に、我が国では、女性側が婚姻により姓を変更する場合が圧倒的に多く、働く女性が婚姻により姓を変更することの不利益を考慮して、あえて婚姻届を提出しないという選択をとることもあるでしょう。

 

法律上の「婚姻」は、婚姻をしようとする者が、夫婦が称する氏その他法務省令で定める事項を届出に記載して、その旨を届け出ることによって成立します(戸籍法74条)。

「婚姻」により、夫婦は、同居協力扶助義務(民法第752条)、婚姻費用(生活費)の分担義務(民法第760条)、日常家事債務の連帯責任(民法第761条)等といった義務を負うほか、相続権(民法第890条)等といった権利を取得します。

 

一方で、実質的に夫婦としての生活をしていたとしても、婚姻届を提出しなければ、法律上は「婚姻」ではなく、「内縁」と呼ばれる関係にすぎません。

 

もっとも、「内縁」は、「婚姻」に準じた関係であると考えられていますので、「内縁」であっても、「婚姻」に関する民法の規定が準用され、「婚姻」と同様に扱われる場面が多々あります。

たとえば、内縁関係を不当に破棄された者は、婚姻関係に準じてその相手方に対して損害賠償請求をすることが判例で認められています。

 

一方で、内縁関係では相続に関する民法の規定(民法第890条)は準用されませんので、内縁の相手方が死亡したとしても、その財産を相続することはできません。

そのため、自分が死亡した後に、内縁の相手方に財産を残したい場合には、基本的には遺言書を作成しておく必要があります。

 

次回は、「離婚の方法と手続き」についてご紹介します。

(弁護士 松村 彩)

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