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前回は、婚姻前に、夫婦間の財産の帰属に関する契約(「夫婦財産契約」)を締結しない場合に、夫婦間の財産の帰属が民法でどのように決められているのかをご紹介しました。
第2回目のテーマは、夫婦財産契約です。
我が国では、婚姻届出前に、夫婦間の財産の帰属についてあらかじめ契約を締結しておくことができ、これを「夫婦財産契約」といいます(民法第755条)。
夫婦財産契約を締結しておけば、夫婦財産契約の内容に従って夫婦間の財産の帰属が決まることになり、夫婦間の財産の帰属をあらかじめ明確にしておくことができます。
一般的には、夫婦財産契約で以下の内容を決めておくことが多いでしょう。
(1)婚姻前から所有している財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、夫婦の共有にするのか
(2)婚姻中に取得する財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、夫婦の共有にするのか
(3)婚姻費用の負担をどうするのか
(4)離婚の際の財産分与をどうするのか
また、夫婦財産契約を利用する際には、以下の3つの注意点があります。
(1)夫婦財産契約は、婚姻届出前に締結しておく必要がある
(2)夫婦財産契約の内容を登記しておかなければ、夫婦間では有効でも、第三者に対しては夫婦財産契約の内容を主張することができない(民法第756条)
(3)原則として、夫婦財産契約の内容を変更することはできない(民法758条第1項)
我が国では、夫婦財産契約の存在自体があまり知られていないため、夫婦財産契約を締結することはほとんどないのが実情です。
また、離婚時のことを想定して夫婦財産契約を締結しておくことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、会社を自身で経営されている方にとっては、「株式や会社の不動産等の会社関係の財産が、婚姻前後を問わず自己の所有であること」を明確にしておくことができるという意味で、夫婦財産契約は有効であるといえます。
次回は、「再婚禁止期間」についてご紹介します。
(弁護士 松村 彩)