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消費者の利益を不当に害するものとして無効となる条項の続きです。
(エ)消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項(法9条)
キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害額を超える賠償額を定めた条項や、遅延損害金について年14.6%を超える割合を定めた条項は、無効となります。
たとえば、飲食店の予約で、「1か月前のキャンセルは、料金の80%」としたり、「遅延損害金は年40%」としたりする条項です。
(オ)消費者の利益を一方的に害する条項(法10条)
法律の規定と比べて、消費者の権利を制限または消費者の義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項は、無効となります。
消費者の権利を制限または消費者の義務を加重する条項であるか否かは、客観的に判断できる場合が多いと思います。
他方で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるかどうかは、多分に解釈を含んでおり、一律に判断することが難しいところです。
実際、これまでも各種裁判例で、この部分の解釈が争われています。
ただ、消費者契約法が、そもそも消費者を保護するという目的で作られている法律であることにかんがみれば、消費者の権利を制限または消費者の義務を加重する条項は、その合理性をきちんと説明できなければ、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であると判断されてしまう危険があるといえます。
そのため、消費者の権利を制限または消費者の義務を加重する条項を定める場合には、その合理性について慎重に検討する必要がるといえます。
(弁護士 國安耕太)