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民法改正6 約款

約款とは、大量の同種取引を迅速・効率的に行う等のために作成された定型的な内容の取引条項をいいます。

現代社会においては、大量の取引を迅速に行うため、詳細で画一的な取引条件等を定めた約款を用いることが必要不可欠となっており、たとえば、電車の運送約款、生命保険の保険約款、インターネットサイトの利用規約など、約款は、現実に数多くの場面で広範に利用されています。

このような約款を当事者間の契約内容とするためには、当該約款を契約内容とする旨の合意が必要となるのが原則です。

 

ところが、現行の民法には約款に関する規定がなく、また、確立した解釈も存在していませんでした。

そこで、改正法は、約款(「定型約款」)に関する規定を新設しています(改正法548条の2・1項)。

 

まず、「定型約款」については、「定型取引」において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体とし、

「定型取引」については、①ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、②その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものとしています。

 

そして、定型約款を契約の内容とするための要件についても明らかにしています。

すなわち、

(ア)定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき

(イ)定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき

は、相手方が定型約款の条項の内容を認識していなくても合意したものとみなし、契約内容となるとされています(改正法548条の2・1項)。

 

ただし、(定型取引の特質に照らして)相手方の利益を一方的に害する契約条項であって信義則(民法1条2項)に反する内容の条項については、合意したとはみなされず、契約内容とはなりません(改正法548条の2・2項)。

 

そのため、約款の内容については、専門家にきちんと相談してその有効性について検討しておくことが重要といえます。

(弁護士 國安耕太)

 

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