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民法改正4 法定利率

債務に付けられる利息は、「年10パーセント」のように、一定の期間、一定の割合で発生する旨が定められます。

この利息を算定するための割合を「利率」といいます。

 

この利率には、法定利率と約定利率があり、法定利率は法律で定められた利率をいい、約定利率は当事者間の合意で定められた利率をいいます。

 

約定利率が定められている場合は、原則として約定利率に従います。

これに対し、法定利率は、

(1)利息を支払う合意はあるが約定利率の定めがない場合の利息の算定

(2)約定利率の定めがない金銭債務の遅延損害金の算定

(3)逸失利益などの損害賠償の額を定める際の中間利息控除*1

に用いられます。

 

法定利率は、現行法では、民事の法定利率は年5%(404条)、商事の法定利率は年6%(商法514条)とされています。

 

しかし、昨今では、市中金利を大きく上回る状態が続いており、利息や遅延損害金の額が著しく多額となる一方で、中間利息の控除の場面では不当に賠償額が 抑えられるなど、当事者の公平を害するとの指摘がなされていました。

 

そこで、改正法は、法定利率を市中の金利の変動に合わせて上下させる変動制を導入しています(改正法404条*2)。

具体的には、

(ア)利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による

(イ)当初の法定利率は、年3パーセント

(ウ)法定利率は、3年を一期とし、一期ごとに、変動する

ことになります。

 

なお、約定利率の上限がある場合(利息制限法等)、異なる法定利率が定められている場合(賃金の支払の確保等に関する法律等)もあるので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

*1 中間利息控除とは、不法行為等による損害賠償において死亡被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益を控除することをいいます。

 

*2 改正法404条

「1 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年三パーセントとする。

3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。」

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