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先週、契約書には、㋐契約内容の証拠化、㋑契約内容の明確化、㋒民法、会社法等の規定を変更・排除するという効果があるという話をしました。
では、IT会社と締結する業務委託契約書には、どのような内容を定めればよいのでしょうか。
まず、もっとも重要なのは、(1)契約の基本的な条件です。
たとえば、システム開発に関する業務委託契約であれば、どのような内容のシステムを開発するのか、いつまでに開発するのか、その対価(業務委託料)はいくらか、その支払時期はいつかなど、契約の基本となる条件を定めておく必要があります。
つぎに重要なのは、(2)民法、会社法等の規定を変更・排除するものです。
たとえば、システムのプログラムに不具合(瑕疵)があった場合、IT会社は、民法上、瑕疵担保責任を負います。この瑕疵担保責任の期間は、引渡しから1年とされています(民法637条1項)。
契約書に定めることで、この期間を、6か月にしたり、3か月に変更することができます。
また、民法上、損害賠償額に制限はありませんが、これに上限を設けることもできます。
このほか、(3)法律上、特段の定めがない事項や、(4)法律上、定められている事項を確認するもの、(5)実務上の手続きに関するものについて定めることもできます。
契約締結交渉を行うにあたって、(1)契約の基本的な条件や(2)民法、会社法等の規定を変更・排除するものは、当然のことながら重要なものですが、それ以外の事項についても、㋐契約内容の証拠化、㋑契約内容の明確化という意観点から、当事者間で認識に齟齬が生じないよう、できる限り明確にしておきましょう。
(弁護士 國安耕太)