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最近、従業員に退職してもらいたい、との相談が増えてきました。
なぜこのような相談が増えてきているのか、正確なところはわかりません。
ただ、コロナの影響で業績が悪化したものの、各種助成金や補助金、融資で急場を凌いでいた会社が、緊急事態宣言の解除後も業績が十分回復していないといった状況もあるのかもしれません。
さて、上記のように、会社が従業員に退職してもらいたいと考えた場合、いきなり当該従業員を解雇してしまうということがありますが、このような対応は、正直、考えものです。
たしかに、法律上、解雇は自由に出来るのが原則です。
労働基準法19条は解雇制限、20条は解雇予告手当に関する条文ですが、いずれも時期等の要件を満たせば、解雇は可能であることを前提としており、解雇そのものを禁止するものではありません。
しかし、判例上、解雇権濫用法理が確立されており、これをうけて労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」として、事実上解雇を制限しています。
それゆえ、たとえコロナの影響で業績が悪化したとしても、それだけでは、解雇が無効となってしまう可能性があるのです。
会社は、このことを肝に銘じて、解雇ではなく、労働者が話し合いによって退職する合意退職となるよう努力すべきといえます。
(弁護士 國安耕太)