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厚生労働省は、高齢者雇用を促進するため、今年4月から定年年齢を「66歳以上」に引き上げた企業に対する助成金を厚くする制度を始めました*1。
同省は、これまで、定年を「70歳以上」とした場合、実際にかかった費用にかかわらず上限額の約65万円を支給してきました。4月からはこの年齢をさらに広げ、定年を66歳以上に引き上げた企業に上限額を助成するとしています。
『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』では、65歳未満の定年を定めている事業主に対し、(1)定年の引上げ、(2)基準を廃止して希望者全員を65歳まで継続雇用する継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じることを義務付けています。
今回の助成金制度は、(1)定年を66歳以上に引き上げ、(2)66歳以上の継続雇用制度の導入(この場合において、定年は65歳以上)、(3)定年の定めの廃止のいずれかの措置を実施した場合に、一定金額(上限が約65万円)を助成するというもので、『高年齢者雇用安定法』の定めを超えて、高齢者の活用を推進しようとする意図があるといえます。
高齢者を積極的に活用しようとしている企業にとっては、この制度を利用し、社内規程を整備できる等の利点があります。
また、中高年を積極的に活用したい事業主には、つぎのような新制度の利用も可能です。
たとえば、キャリア希望実現支援助成金は、65歳を超える社員を雇っている企業が、40歳から65歳未満の転職希望者を移籍により受け入れると1人について、40万円の助成が受けられます。
また、契約社員を期間の定めのない契約に転換した中小企業の事業主に対して、転換した者1人について、30万円助成されるキャリアアップ助成金がありますが、
新制度の高年齢者無期雇用転換コースでは、50歳以上定年年齢未満の契約社員を期間の定めのない契約に転換した中小企業の事業主に対して、転換した者1人について50万円が助成されます。
このように今年度は、高齢者および中高年の雇用に対する助成金がこれまでより、さらに拡大されています。
ぜひ企業の発展に、助成金制度の利用を検討してみてください。
(弁護士 國安耕太、社会保険労務士 村中幸代)
*1
雇用保険二事業助成金 平成28年度予算の整理表(案)5頁
*2
弁護士ドットコムに取材を受けました。こちらもご覧ください。
https://www.bengo4.com/c_5/c_1099/n_4509/