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取締役は、会社に対し、①善管注意義務、②忠実義務、③競業避止義務等の義務を負っています。
①善管注意義務
会社と取締役との関係には、民法の委任に関する規定が適用されます(会社法330条)*1。
そのため、取締役は、委任の本旨に従い、その地位にある者に通常期待される注意をもって、委任事務を処理する義務を負うことになります(民法644条)*2。
条文上「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」とされているので、これを一般的に善管注意義務と呼んでいます。
②忠実義務
会社法上、取締役は、「法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」(会社法355条)とされており、これを一般的に忠実義務と呼んでいます。
なお、この善管注意義務と忠実義務との関係について、判例は「(忠実義務の規定は)善管義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまるのであつて、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものとは解することができない。」としています(最判昭和45年6月24日、民集24巻6号625頁)。
③競業避止義務
取締役は、自己または第三者のために「会社の事業の部類に属する取引」を行うことが制限されています(会社法356条1項1号)。
これを競業避止義務と呼んでいます。
(弁護士)國安 耕太
*1 会社法330条
株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
*2 民法644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。