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取締役は、会社との間で、報酬や任期等について合意した会社の経営に関する委任契約を締結し(会社法330条)、業務執行を行います。
この委任契約は、同じく会社の業務を行う従業員が会社との間で締結している労働契約(雇用契約)とは、大きく異なっています。
まず、委任契約は、いつでも解除することができます(民法651条)。
そのため、取締役についても、「いつでも株主総会の決議によって解任することができる」(会社法339条1項)とされています。
これは、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法16条)とされ、契約の解除が制限されている雇用契約との大きな違いです。
また、取締役は、業務執行の対価として会社から報酬を受領しますが、会社の業績が悪いと、報酬を大幅に減額される可能性があります。
他方、労働契約では、賃金全額払いの原則が定められている(「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」労働契約法24条1項本文)とされています。
さらに、取締役の任期は、原則として2年とされており(会社法332条1項)、伸長した場合でも最大で10年です(同2項)。
これに対し、労働契約は、定年までの労働契約を締結することができます。
このように、取締役の委任契約は、労働者の労働契約とは大きく異なっていることに留意が必要です。
(弁護士 國安耕太)