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来月19日に、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*1。
相続事件を多数手掛ける税理士、司法書士、弁護士がそれぞれの経験と専門的見地から、相続事案を分析・解説します。
ぜひ参加をご検討ください。
さて、法的な婚姻関係にはないものの、夫婦生活を営んでいる場合を、一般的に内縁関係と呼んでいます。
この内縁は、判例上、婚姻に準ずる関係として取り扱われています(最高裁昭和33年4月11日判決、最高裁判所民事判例集12巻5号789頁)。
男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではない、というのが理由です。
したがって、内縁を解消する場合には、離婚における財産分与の規定(民法768条)が類推適用される等、婚姻関係に準じた保護を受けることができます。
しかし、内縁の配偶者が死亡した場合、すなわち、相続が発生した場合については、解釈が異なります。
すなわち、「内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」(最高裁平成12年3月10日判決、最高裁判所民事判例集54巻3号1040頁)として、内縁の配偶者の相続権を否定するのが判例の考え方です。
それゆえ、たとえば内縁の夫が死亡した場合、その妻は、内縁の夫の財産を相続することは出来ない、ということになります(相続人がいない場合は、特別縁故者*2として、相続財産を取得することができることがあります(民法958条の3))。
したがって、内縁の配偶者に財産を残したい場合は、遺言書等を作成しておかなければならない、ということになります。
なお、相続人には遺留分*3という権利がありますので、遺言書等を作成する場合は、専門家にきちんと依頼することをお勧めします。
(弁護士 國安耕太)
*1
時間:19時~21時
場所:東京都港区新橋1-18-19
キムラヤオオツカビル7階
会費:2000円(税込)
定員:15名
*2
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者です。特別縁故者には、家庭裁判所の判断により、相続財産の一部または全部が与えられます。
*3
一定の相続人に留保されていて、遺言による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益。