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さて、前回、「裁判となった場合に備えて、きちんとした証拠(契約書)を準備しておくこと」が重要であるという話をしました。
では、どのような点に注意して、契約書を作成すればよいのでしょうか。
重要なのは、いつ、どこで、誰が、誰に対し、何を、どうする義務を負うのかを明記することです。
たとえば、売買契約であれば、
・誰が、誰に対し、何を、売るのか。
・誰が、誰に対し、代金を、支払うのか。
・いつまでに、何を、どのように、売るor支払うのか。
といったことを明記しておかなければなりません。
当事者が直接売り買いをするのに「誰が、誰に対し、売るか」なんて争いにならないのではないか、と思うかもしれません。
しかし、一時期話題になった地面師事件では、不動産の所有者とは別の偽者の所有者が登場しましたし、そのような極端に事例ではないにしても、誰が契約当事者なのかによって法的効果が異なってくることもあります。
また、「何を売るか」についても、市場に流通している製品であれば、当事者間に齟齬は生じにくいですから、細かく特定しなくても、「Aという製品」というだけで構わないかもしれません。
しかし、ある特定の物、たとえば、中古車の売買といった場合は、詳細かつ具体的に特定しおかないと、「約束と違う!」といった紛争が生じかねません。
このように、契約書を作成するにあたっては、その契約の性質や目的物に応じて、いつ、どこで、誰が、誰に対し、何を、どうする義務を負うのかが明記されているかをきちんとチェックする必要があります。
(弁護士 國安耕太)