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会社にとって、債権回収は至上命題であり、そのリスク管理は必要不可欠です。
ところが、現実の会社経営にあたって、債権回収のリスク管理は、あまりにも疎かにされていないでしょうか。
どの会社も、自社の利益を上げることに必死です。
そのために、販売戦略を立てたり、多額のコンサルタントフィーを払ったりして、その実現に邁進するのです。
ところが、債権回収については、驚くほど無計画であることが少なくありません。
わたしは、それは、経営者がつぎの3つの落とし穴に陥ってしまっているからではないかと考えています。
①正しい人(会社)が勝つ。
②裁判所は、正しい人(会社)の味方である。
③裁判に勝てば、未払債権を回収できる。
意識的か無意識的かはわかりませんが、このような認識をもっていないでしょうか。
みなさん、一般論としては、必ずしも正しい人が勝つとは限らない、ということは理解していても、なぜか自分のことになると、この理解がすっぽり抜け落ちてしまうことが珍しくありません。
たとえば、Aさんと、商品を30万円で売却する約束をし、商品を引き渡したとします。
しかし、Aさんが本当に30万円を支払ってくれるとは限りません。
当然、30万円を払ってもらう権利はあります。
ですが、Aさんに支払う気がなければ、いくらAさんに支払ってくれと言っても、支払ってもらうことはできません。
また、Aさんがそもそも30万円を持っていなければ、支払ってもらうことは不可能です。
権利があるにもかかわらず、支払ってもらえないというのは理不尽ですが、それが現実なのです。
それゆえ、①正しい人(会社)が勝つという幻想にとらわれないようにしなければなりません。
(弁護士 國安耕太)