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先週、労働者派遣と請負の区別に関する厚生労働省の告示をご紹介しました。
本日は、その続きです。
(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、および(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することという2つの要件を満たしていない限り、たとえ請負契約(業務委託契約)としていたとしても、労働者派遣事業を行う事業主、すなわち偽装請負とされてしまいます*。
では、(1)自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用している、といえるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。
厚労省の告示では、つぎの3つの要件をいずれも満たしていることが必要であるとされています。
(ア)①労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うことにより、「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(イ)①労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く)を自ら行い、また、②労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く)を自ら行うことにより、「労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(ウ)①労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行い、また、②労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うことにより、「企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行う」ものであること。
(ア)ないし(ウ)のいずれも、種々の事情を総合的に勘案して判断されることになりますが、大雑把に言えば、業務遂行・労働時間等・企業秩序等に関し、受託者が、自己の従業員(労働者)を自ら指揮命令監督をしていなければならない、ということを意味しています。
なお、(2)請け負った業務を自己の業務として独立して処理することについては、次週解説していきたいと思います。
(弁護士 國安耕太)
*労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf