最新の記事
アーカイブ
カテゴリー
先日、とあるマーケティングに関するセミナーに参加しました。
内容は非常に面白かったのですが、その中で、一つ気になることがありました。
それは、「本セミナー参加者限定で、通常30万円の合宿に3万円で参加できます!」という表現です。
もちろん、この表現自体が直ちに違法となるわけではありません。
しかし、高額なセミナー参加者限定での大幅な値引きである等、何らかの特別な事情があるのであればともかく、このセミナーは、無料セミナーで、特別な事情もないようでした。
そうであれば、通常30万円の商品を10分の1の値段で販売することは通常あり得ません。
もしかしたら、本来3万円で参加できる合宿を、割安に見せるために「通常30万円」と表現しているのでは・・・と勘ぐってしまいます。
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、自己が提供するサービスの販売価格について、実際に販売価格よりも著しく有利であると誤認させる表示を不当表示として禁止しています(景品表示法5条2号*)。
そして、他の価格と比較対照する二重価格表示を行う場合は、当該比較対照する価格を事実に基づいて表示する必要があり、比較対照する価格が虚偽のものである場合、不当表示に該当する可能性があります。
また、比較対照する価格が曖昧な場合も不当表示に該当する可能性があります。
もし、本来3万円で参加できる合宿を、割安に見せるために「通常30万円」と表現しているような場合は、比較対照する価格が虚偽のものであるとして、不当表示に該当する可能性があります。
このように、値引き(表示)は、違法となってしまう可能性があるので注意が必要です。
なお、次週は、具体的にどのような値引き表示に気を付けなければならないか、について話を進めていきたいと思います。
(弁護士 國安耕太)
* 景品表示法5条
「 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
1 (略)
2 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
3 (略)」