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会社の不祥事と取締役の責任

早いもので、本日(3月23日)で、35歳になりました。

これまで大きな病気もなく、健康でこれたことおよび不安なく仕事に打ち込める環境を整えてくれていることを両親・義母そして家族に感謝します。

また、公私に渡り支援してくれる諸先輩方、事務所の仲間そして友人達に深く感謝します。

みなさま、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

 

さて、先日来、東洋ゴム工業株式会社(以下「東洋ゴム」)の販売する、免震ゴムの性能偽装問題が話題となっています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000556-san-soci

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150322-00050109-yom-soci

 

事実関係については、まだ明らかになっていない部分も多いですが、一部の報道では、偽装問題が発覚した後も、出荷をしていたとされています。

 

本件では、東洋ゴムの取締役等の役員が、偽装の事実を認識していたのかは明らかではありません。

しかし、仮に、偽装の事実を認識していたにもかかわらず、これを公表していなかったような場合には、取締役等に損害賠償責任が課される可能性があります。

 

実際、過去の裁判例では、食品衛生法上、使用の認められていない添加物を使用した商品が販売されていたことを認識したにもかかわらず、その事実を公表しなかった取締役等に、巨額の損害賠償責任が認められたものがあります(大阪高判平成18年6月9日判時1979号115頁、ダスキン肉まん事件)。

 

もちろん、会社経営に損失はつきものであり、会社に損失(損害)が生じたからといって、常に取締役に損害賠償責任が生じるわけではありません。

ただ、経営上の判断の内容およびその決定過程に不合理な点が存する場合は、取締役の善管注意義務(会社法330条・民法644条)、忠実義務(会社法355条)に違反すると判断され、損害賠償責任を負う可能性があります。

 

たしかに偽装のような不祥事に関する事実は、会社の評判を毀損するものですから、これを隠したくなる心理はわからないでもありません。

しかし、上記のとおり、事実の隠匿は、損害賠償責任を負わされる可能性があります。

また、過去の不祥事事案をみる限り、不祥事を起こしたことそのものよりも、その後の対応の悪さ(隠匿、ごまかし、開き直り等)による影響の方が大きいといえます。

 

いずれにしても、不祥事が起きた際は、初動が大事です。

速やかに弁護士等の専門家に相談し、対応するようにしてください。

(弁護士 國安耕太)

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