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さて、前回、倒産処理手続きには、(1)裁判所が継続的に関与する倒産処理手続である法的整理と、(2)裁判所が関与しない倒産処理手続である私的整理があり、この法的整理および私的整理は、それぞれ(ア)企業を解体する清算型と、(イ)企業を再生させる再建型(再生型)に分かれる、ということをお伝えしました。
今回は、その中でも最も代表的な手続きである、破産手続(法的整理かつ清算型)について、解説していきます。
破産手続は、裁判所が破産手続の開始を決定し、破産管財人を選任し、その破産管財人が破産する企業(債務者)の財産を調査・管理・換価処分して、債権者に弁済または配当する手続です。
破産の申立て(裁判所に対し、破産手続の開始決定を出すよう申し立てること)は、破産しようとする企業のみならず、その債権者も行うことができます。
もちろん、申立てがされれば無条件に、手続が開始されるというものではなく、手続開始の実態的要件として、破産手続開始の原因(破産原因)が必要です。
個人の場合は、支払能力を欠く*ために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(支払不能。破産法2条11項)のみが破産原因となります(破産法15条)。
これに対し、企業等の法人(合名会社および合資会社を除く)においては、支払不能である場合のみならず、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態(債務超過)である場合も、破産原因となります(破産法16条)。
そして、裁判所が破産手続の開始を決定すると、財産の管理処分権は、破産管財人に移行し、破産する企業は、財産の管理処分権を失うことになり、破産管財人が、破産手続開始の決定時点の破産企業の全ての財産を金銭に換えた上で、法律の定めに従って、弁済または配当することになります。
配当が完了した場合、破産手続は終了し、企業も消滅することになります(破産手続の終結。破産法202条)。
配当する財産がないことが判明した場合は、その時点で破産手続は終了し、企業は消滅します(異時廃止。破産法217条)。
なお、一定金額以下の資産しか保有していない個人が破産する場合、この破産管財人が選任されないで、手続が終了することもあります(同時廃止。破産法216条)。
以上のように、破産手続は、裁判所の関与の下、財産も債務もすべて清算され、当該企業は消滅することになるので、「法的整理かつ清算型」の手続となります。
次回は、同じ「法的整理かつ清算型」の手続である特別清算手続を、破産手続と比較しつつ、解説します。
(弁護士 國安耕太)
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弁済能力の欠乏は、財産、信用あるいは労務による収入のいずれをとっても、債務を支払う能力がないことを意味し、たとえ、財産があっても、その換価が困難であれば、支払不能とされる。他方で、財産がなくとも、信用や収入にもとづく弁済能力があれば、支払不能とはされない。