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休憩時間を除いて、1日8時間もしくは1週間40時間を超えて労働させた場合または休日に労働させた場合に、割増賃金の支払義務が生じます(労働基準法32条、37条1項)。
では、具体的にどのような要件を満たしていれば、労働時間と認められるのでしょうか。
判例では、労働時間といえるかどうかは、
「労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とされ、
使用者の指揮命令下におかれたといえるかどうかは、
「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、または、これを余儀なくされたとき」は、「特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ」る
とされています(最判平成12.3.9民集54巻3号801頁、三菱重工長崎造船所事件)
具体的には、同判例において、「実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられていたなどというのであるから、作業服及び保護具等の着脱等は、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、右着脱等に要する時間は、それが社会通念上必要と認められる限り、労働基準法上の労働時間に該当するというべきである。」とされ、作業服及び保護具等の装着についても、会社の指揮命令下に置かれたものと評価できると判断されています。
このように、労働時間にあたるか否かは、使用者の指揮命令下におかれたといえるかどうか、すなわち、使用者から「義務付けられた」または「余儀なくされた」といえるかどうかによって判断されることになります。
(弁護士 國安耕太)