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リストラと解雇権濫用法理

本日、インターネット上に「東芝赤字転落 リストラ不可避」とのニュースが配信されていました*1。

 

使用者と労働者との労働契約を解消するためには、

①包括的同意(定年に達するなど一定の事由が発生すると当然に労働契約が終了するもの。「当然退職」)

②個別的同意(一般的に、労働者が退職を申込み、使用者が承諾する形で、双方の合意により労働契約を終了させるもの。「合意退職」)

③労働者の単独行為(労働者からの一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「辞職」)

といった方法がありますが、この他、

④使用者の単独行為(使用者からの一方的な意思表示によって労働契約を終了させるもの。「解雇」)

があります。

 

そして、リストラは、このうち④の「解雇」にあたります。

 

労働基準法上、この「解雇」は、自由に出来るのが原則です*2。

しかし、使用者からの一方的な意思表示による労働契約の解消である解雇は、従業員の生活に大きな影響を及ぼします。

そこで、裁判所は、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」として、実質的には解雇を制限してきました(「解雇権濫用の法理」)*3。

 

リストラ(整理解雇)も、解雇の一種ですから、原則的には自由であるものの、解雇権の濫用となるような場合は、無効となります。

そして、整理解雇の正当性を判断する際、多くの裁判例が、①人員削減の必要性、②整理解雇回避の努力の履行、③解雇対象者の人選の妥当性、④解雇手続の相当性の4つ要件を検討してきました。

 

したがって、本件でも、上記4つの要件を満たすよう慎重に手続を検討し、実行していくことになるでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150914-00000112-mai-bus_all

 

*2

労基法19条は解雇制限、20条は解雇予告手当に関する条文ですが、いずれも時期・手当等の要件を満たせば、解雇は可能であることを前提としています。

 

*3

なお、現在では、労働契約法16条に同趣旨の規定がある。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

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