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インターネット上の名誉棄損6

さて、前回までご紹介した手続を経て、ようやく加害者を特定することができるわけですが、そこで終わりではありません。
むしろ、これまでの手続はあくまでも前哨戦で、ここからが本戦といってもいいくらいです。
加害者を特定できたとしても、被害回復がなされるわけではありませんから、被害回復の手続を別途取らなければならないからです。

 被害回復の手段としては、(1)加害者に対し、(ア)損害賠償や(イ)謝罪広告を求めること、また、(2)サイト管理者等に対し、書き込みの削除請求を行うことが考えられます。

 任意の交渉で応じてもらえればよいですが、応じてもらえなかった場合、訴訟を提起して解決することを検討することになります。

 まず、(1)加害者に対し、(ア)損害賠償請求をする場合を検討してみましょう。

 損害賠償請求が認められるためには、(ア)故意または過失があること(イ)違法な行為であること(ウ)特定個人の名誉権を侵害したこと(エ)損害が発生したことという要件を満たす必要があります。
 このうち、特に問題となるのが(イ)です。

 実は、大前提として、指摘した事実が真実であったとしても、原則として、名誉権の侵害となり、損害賠償義務を負うことになります。
 ただ、真実を指摘した場合に、常に損害賠償義務を負わなければならないとすると、憲法上の権利である表現の自由(21条)が著しく損なわれることになります。

 そこで、
(a)名誉棄損の対象が公共の利害に関することであること
(b)公益を図る目的があること
(c)指摘された事実が真実であることまたは(d)加害者が書き込みをするにあたり、相当な調査をし、指摘した事実が真実だと信じたこと
という要件を満たしている場合には、(イ)違法な行為とはいえない、として損害賠償義務を免れることできるとされています。
 
 そのため、実際の訴訟では、加害者の行為が(イ)違法な行為といえるか、について熾烈な争いとなることが多いです。

 なお、名誉権とは、人の品性、名誉、信用といった客観的な社会的評価のことをいい、「バカ」や「アホ」といった具体的な事実を伴わない侮辱的な書き込みでは、名誉権侵害は認められません。
 また、「特定個人」の名誉を侵害するものでなければなりませんから、たとえば、「日本の飲食店では、諸外国に比べて、コロナ対策が不十分である」といった抽象的な書き込みは、名誉権侵害として認められないということになります。

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